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三浦春馬さん作品レビュー:TWO WEEKS

三浦春馬さん再発見の旅、1作目は「TWO WEEKS」にしました。比較的最近の作品で、ちょっとチンピラっぽいカッコよさ、男の色気、父性、優しさなどがバランスよく感じられる結城大地という役を、振り返ってみたくなったのが理由です。

あらすじ

質屋の雇われ店長(明らかにまっとうではない気配が漂う感じの質屋)として働く結城大地はクズ同然の生活を送っている。ある日質屋に元恋人(比嘉愛未さん)が訪ねてきて、8年前に生まれた、白血病の娘の骨髄適合検査を受けてほしいと頼む・・・というところから始まるストーリー。

無実の罪を着せられた結城大地が、なんだかんだで白血病の娘の手術日までの2週間逃亡生活を送る。2週間以内に無実の罪は晴らせるのか?というのがメインの話。この話を最初に聞いたとき、ずいぶんご都合主義のストーリーだな、それで2週間逃げられるのか? と思いましたが、ストーリー的にはスピーディーで、こちらを飽きさせることもなく、最後まで手に汗を握りながら観られます。

一度観ているので、最終的にどうなるかはわかっていつつも、高嶋政伸さん演じる柴崎はとっても怖いし、はなちゃんは可愛いし、比嘉愛未さん演じるすみれは美しく強いです。

そして、ひとり4K映像とも言うべき、三浦春馬さんのお芝居の解像度の高さはここでも健在。視線の配りかた、眼球の動き、瞬きの数、表情筋の動かし方、声色。まったくもって一人だけ映像と音声からもらう情報量が多くて、こちらが処理しきれません。

「父」としての結城大地

はなちゃんと最初に出会ったときには、戸惑いのほうが大きかった結城大地ですが、次第に父性が芽生え始め、表情も変わっていきます。夢の中(白昼夢を含む)で、はなちゃんと話すたびに「ろくでもないチンピラ」から「優しく強い父」へと変わっていく結城大地の姿を、細やかに丁寧に紡ぎだす三浦春馬さん。子どもの存在が、親に力を与えてくれている。そんなシンプルで力強いメッセージが伝わってきます。

一方、最終話で明らかになる柴崎と灰谷(磯村勇斗さん)の関係。柴崎に対する灰谷の心が、ちょくちょく気になりつつイマイチ読み切れないところがあったのですが、ここまで引っ張りましたか。いや、引っ張ることにこそ意味があったのか。生物学上父になるということは、「父」になるということと必ずしも一致しない。そういう意味では、すみれの恋人である有馬刑事(三浦貴大さん)の存在も、作品中で父としての結城大地を違う角度から照らし出すものだったように思えてきます。

はなちゃん(稲垣来泉ちゃん)の存在

はなちゃんが、とにかく最初から最後までいじらしくて可愛らしいです。辛い病気にかかっていて、苦しいにもかかわらず母であるすみれさんを気遣い、母の交際相手である有馬刑事にも気を遣っているはなちゃんの姿を見ていると、何だか胸が締め付けられます。父・結城大地に力を与える存在でもあるはなちゃんは、全体的に暗いトーンのこの物語にさす、一筋の光のようでした。

3人のこれから(妄想)

結城大地は、父としてまともな自分になるまでははなちゃんのそばには居られないと、一度離れます。しかし、2週間の逃亡劇の果てに得たすみれさん、はなちゃんとの絆がそう簡単に切れる事はないでしょう。きっと、今は3人で暮らす準備を始めている頃ではないでしょうか。カッコよくて優しいパパのいる、はなちゃんが少し羨ましいです。でもリアルだと多分、8年という月日の長さは…どうなんだろうな。

番外編:アクション

結城大地の役は、アクションは「受ける」ほうがほとんどで、キレ具合はそれほど目立ちませんがメイキングの映像を見る限り、スタントマンは使ってないようでした。一部使ってはいるのでしょうが、受け身の取り方やその他もろもろ、受けるほうのアクション(蹴られたふりで体をくの字にさせたまま飛ぶとか)も大変そうで、むしろそっちのほうが凄いんじゃないかとかなり贔屓目に思いました(磯村勇斗さん、ごめんなさい)。

終わりに

カッコよさの中に、優しさと父性を見せてくれる結城大地。それを支えているのは、比嘉愛未さん演じるすみれさんと稲垣来泉ちゃん演じるはなちゃん。特に、ラストのはなちゃんとのシーンは印象的でした。

メイキング映像でも、稲垣来泉ちゃんと三浦春馬さんは本当の親子のように仲良しで、良い関係だったのだろうなと思いました。稲垣来泉ちゃん、これからもずっと応援したいと思います。

おまけ

主題歌「Fight for your heart」のこと書くのすっかり忘れてました。三浦春馬さんは歌手デビューと同時に、とんでもないハイトーンが綺麗に出る実力派歌手の仲間入りを果たします。このドラマのエンディングで初めて彼の歌を聴いた人はさぞ驚いたことでしょう。

そう、彼はいつだって、一切の妥協を許さない表現者なのです。歌も、ダンスも、お芝居も。


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