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じぶん語りその1 

娘に顔がヘンだよ、と言われることがよくある。
たいてい、目に周囲の映像は映っているけど、脳内に描いたイメージが動き始めて、そちらを追うのに没頭しているときだ。

妄想のなかの人物が動き始めて、そちらに惹かれていると現実世界の自分がおかしくなる。テレビドラマや映画のように長いストーリーにはならない。せいぜい15秒程度のコマーシャルと同じ程度。壮大な物語でもなければ、劇的な出来事でもない。だがこの瞬間は、わたしにとって無くてはならない、大切な時間だ。

仕事でほかの人にお願いしなくてはいけないこと、調べなくてはならないこと、同僚にお願いしたタスクの確認。家族の食事作り、家の掃除、子どものスケジュール把握、声掛け。

日常のTODOリストにはいつも、項目が山積みになっている。夜になると減るけれど、翌朝また元に戻っている。普通に生きていると、「やらなくてはならない」に押しつぶされてしまうのじゃないかと、不安になる。

「顔がヘン」になっている間に、脳のデトックスをしているような気がするのだ。周りの考える「あるべき姿」からの逃避、とも言えるかもしれない。わたしがわたしであり続けるために、「顔がヘン」になる瞬間があるんじゃないかな。

逃避している間に、自分の中に生まれる感情はさまざまだ。短い時間の中でもほっこりしたり、涙がにじんだり、口角が片方だけ上がったり、身体の反応もバラバラである。

頭の中の逃げ場はわたしにとって、こころを健やかに保つための場なのだ。


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