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観劇記録:7/8DaiwaHouseSpecial音楽劇『クラウディア』

今年6作品目の舞台鑑賞。地球ゴージャスさんの『クラウディア』
この作品は2004年に初演をされており、今回は18年ぶりの再演。

脚本・演出を手がける岸谷五朗さんは、その時代に即したテーマで作品を創られることに拘りを持っているそうで、その為に”時代が後退しない限り”再演はしないそうだ。

今回の『クラウディア』は反戦3部作の1作目。
初演当時は戦争からだいぶ遠かった時代だからこそ、その愚かさを忘れないようにと創ったそうだ。

2022年の今、初演当時よりも戦争というものが身近になってしまった。
最早教科書の中の遠い世界の話ではなく、遠い他国の話でもなく。
直接的に戦地に赴いていない、戦地になっていないだけで生活には戦争の影が見え隠れしているのだ。

更に観劇した当日は安倍晋三元総理が応援演説中に銃弾に倒れた日になってしまった。
民主主義国家の日本において、まさか暴力の力によって元総理が落命するとは露にも思っていなかった。
もう平和ボケをしている場合ではなく、自分のことを自分で守らなければならない時代になってしまったのかもしれない。

そんな日にこの作品を観ることになったのは何かの運命だったのかもしれない。

作品は、愛を禁じられ、戦いに明け暮れる「根國」と「幹國」という2つの民族しかいない世界のお話。
神が定めた絶対の掟に背いて、2つの愛が芽生える。
民族を超えて密かに育まれる愛と、自覚せぬままお互いを想い合う愛。

私が観た回は、主人公の亜細羅に甲斐翔真さん。ヒロインのクラウディアに田村芽実さん。毘子蔵に廣瀬友祐さん。ヤンに中河内雅貴さん。龍の子に平間壮一さんの回でした。

山本寛斎事務所のデザインによる、カラフルな衣装。
根國が炎の様な真紅。
幹國が海の様な青。
龍の子が緑。
神親殿が純白。
色合いでそれぞれの立場がはっきりとわかる、そしてダンスによって美しく宙に舞う裾や袖が鮮やかでした。

音楽はサザンオールスターズ。
昔懐かしいナンバーから割と最近の曲まで。
私がサザンを好きになったきっかけになった曲も含まれていて嬉しかった。
また、春馬君を想う私にとっては色々と彷彿とさせてしまう1曲もあり涙が止まらなかった。

演者さんたちはと言うと。
実は甲斐翔真君の舞台作品を観るのが今回初めてだったのですが、出てきた瞬間から堂々と王子然とされていて主人公としての存在感がしっかりとありました。
ロミジュリ的な要素もあるからか本当に王子様みたいだったな。
コメディタッチのところにも頑張っていました。
彼を慕っていた後輩が活躍されてるのはとても嬉しいことです。

クラウディアを演じた田村芽実さんの歌声には痺れました。
ナイトクラブでの歌声に「あんな細くて小さな身体の何処から出てくるの?」と言いたくなるパワフルな声に完全に惚れました。
歌っていない時は、あどけない少女の様な雰囲気も醸し出しているのに…。
これは完全にギャップ萌えでした。

神親殿を演じられた湖月わたるさん。素敵過ぎました。
どうやら私は元宝塚の方が大好きのようで。
今回のダンスシーンにうっとりしました。

そして、なんと言っても今回私が一番心を奪われたのが平間壮一さん演じる龍の子。
登場のシーンから目が釘付け。
佇まい、横顔、ちょっとした首の動き、指先の色気にクラクラしました。
ダンスは軽やかで迫力があって、舞台に立つ俳優さんの中では割と小柄な方だと思うのだけど、そんなことを感じさせないダンスと演技でした。
特に櫓の上にちょこんとしゃがむ横顔が本当に美しくて色気たっぷりで。

予習なしで行ったので、クライアマックスに度肝を抜かれました。
やはり争いによって生まれるものは何もないんだなって。

観るきっかけは、春馬くんが初めて地球ゴージャスに触れた作品で、舞台に憧れを抱いた作品だった…というものだったけど、出逢えてよかった。

初演の時、クラウディアは本田美奈子さんが演じてるんですよね。
彼女にとって生涯最後の舞台作品になってしまった作品です。
初演の映像は残っていないのだけど、YouTubeで「FRIENDS」を歌っている姿を観ることができて、本当に心が震えました。
凄い迫力。鬼気迫るものを感じました。

田村芽実さんは本田美奈子さんに憧れてこの世界に入ったと語っていました。
こうして今ここに肉体はなくても心は生きていると思うと、二度死ぬことはないんだな…と思った。

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