【読書メモ】カウンセリングの理論⑵

第4章行動主義

◆精神分析やロジャーズ理論が推論に基づいて「行動の動機となる心」を対象にしているのに対して、行動主義は事実に基づいて「目に見える反応」を対象にしている

◆行動主義は創始者はおらず共同作業で構築されてきた

第1節行動主義の概説

◆条件反射理論(古典的条件づけ)と試行錯誤理論(オペランと条件づけ)が一つに合体したものが行動主義

◆条件反射理論(古典的条件づけ)はパブロフのイヌが有名。パブロフの条件反射理論は⑴生理学志向⑵主体性はない

◆パブロフの考えを人間に応用したのがワトソンであり、彼は人間の感情は後天的な条件づけによって生じると考えた。パブロフと違うところは、生理学的志向ではなく心理学的志向で考えたことである。


◆試行錯誤理論(オペラント条件づけ)はソーンダイクのネコが有名。ネコが檻の中でめちゃくちゃにしてる時にたまたまレバーを押したら餌が落ちてくるとわかったら、次第に餌を求めてわざとレバーを押すようになるのと同じように人間も、「どうすれば報酬がもらえるかを発見するや否やその行動をとるようになる」という考え。

◆この両理論を統合しようとした世代が、ハルやスキナーの世代であり、新行動主義や学習理論と呼ばれる

◆ハルは、「心理学とは生物としての個体が環境との間に生物学的な順応をしていくプロセスを研究するものだ」と考えた(ワトソンと同じ考え)
人間の行動は欲求充足のプロセスであり、全ての行動には欲求充足という目標があるという考え。(今はこう考えられていない)

◆スキナーは両理論ともS(刺激)とR(反応)の2つに単純化して説明できると考えた。条件反射理論はSがあってRが生じてSRとなる。逆に試行錯誤理論はRが先でたまたまSが生じてRSとなる。

◆古典的条件づけ(レスポンデント条件づけ)は刺激に対して反応して(レスポンス)できた条件づけというニュアンス

◆道具的条件づけ(オペラント条件づけ)は、行動を欲求充足の道具として考えており、刺激がなくても自発的に(オペラント)動くという意味である。


第2節行動主義の人間観と性格論


◆精神分析と同じく、生物主義(人間は犬猫と同じだ!)であるが、本能を認めるというよりも、環境論がより強く、条件づけられる前の人間は白紙であると考える。

◆人間は元々善でも悪でもなく、条件付けによって善にも悪にもなりうる

◆生物は元来先天的に持っているのは「学習能力」であり、この学習能力があるからこそ条件づけが成立する

◆行動主義が求める人物像は、「病理的症状のない人間」である

◆行動主義では、人間の性格は無数の反応の束と考える。反応が固着化すると習慣となる。反応の束なので、一概にこういう人間だと表すことはできないし、再学習や学習解除によって変わる可能性もあると考えられる。

◆性格の健全不健全の判断ポイントは⑴般化(対象の識別ができずに非現実的な反応を示す人=不健全)⑵学習不足(状況に応じた相応しい反応を学習できていない人=不健全)

第3節行動療法

◆古典的条件づけに基づく行動療法
⑴系統的脱感作法⑵集団脱感作法⑶アサーショントレーニング⑷性的反応⑸情動心像法(イメージによる不安・恐怖・緊張の軽減)

◆オペラントに基づく行動療法・・・強化・回避・消去の応用
⑴強化法⑵思考停止法(強迫観念に対してストップをかける)⑶嫌悪療法⑷消去法

第4節行動カウンセリング

◆古典的条件づけに基づく行動カウンセリング・・・逆条件づけ
行動療法との違いは行動療法ほど段階的ではないという点

◆オペラントに基づく行動カウンセリング
⑴構成・強化法(下位目標を決めて実践させ、ThがFBする)⑵ロールプレイ・強化法⑶行動契約法⑷強化法(何を褒めるか設定し、なるべくその場のタイミングで、しっかりと褒める。注意したいことはあっても無視。家庭や学校で対応を一致させる)⑸モデル提示法

第5節行動療法・カウンセリングが示唆するもの

◆行動主義は「教えることを躊躇ってはいけない」「操作主義を恐れてはいけない」「鶏頭切るのに牛刀は不要」「洞察万能にあらず」ということを示唆する。


第5章 特性・因子理論

心理テストを用いたカウンセリングの基礎理論

第1節心理テストの軽視と再認識

◆元々心理テストは、依存性の高さからカウンセリングに用いることを避けられてきたが、使用技術の工夫次第ではクライエントの自己決断を促す刺激になる

◆どんな心理テストにも揺れがある。なので、ただ一つだけのテストに頼らず、また得点そのものに固執しない幅のある解釈を心がけることが必要である。幅のある解釈をするためにはCLの情報が必要になる。

◆心理テストは一般化されたものであり特定個人について語るものではないのでこの全体像が掴めないが、主観的理解に陥らないためにも客観的資料として必要なものであろう。

◆カウンセリングの対象者が健常者(現実検討能力を持っている)まで拡大したことで、心理テストのFBをすれば自ら考えられる(知的レベルでやり取りできる)ようになった

◆CLの幅が広がったことで、カウンセリングの内容にも多様性が生まれ、その中には心理検査による客観的資料がないと援助が難しい内容も含まれていた(知能の発達など)

◆診断の際に精神科医の面接が信頼度が高いものとは言えず、また面接よりも妥当性が高かったので診断に心理テストは必要

◆科学性を高めるためには心理検査が必要

第2節特性・因子理論のカウンセリング観

◆特性とは観察し測定し得る反応であり、行動主義でいう習慣と似た概念。ただし特性がどうしてあるのかは説明できない。

◆テストを選ぶ際は、受験者により近い同質集団を標準集団にして構成されたテストを選ばなければならない。

◆信頼度数が0のテストというのはほぼあり得ない。様々な要因(採点者の捉え方、環境、テストの慣れなど)で点数のズレは生じうる。測定誤差が5とすると、たまたま120だったAくんは115〜125の範囲にいるらしいという見方をする。

◆妥当性は測りたいものを測れているのかというポイントである。時代や文化が変われば妥当性を失うこともあるため、使用するテストがいつどこで作成されたものなのかを確認し、必要に応じて改訂版を使用する必要がある

◆何を持って優秀とするのか(クライテリア)の設定が難しい。

心理テスト使用上の留意点

◆テストが本当に必要かを測るために、面接してから実施する。
◆必ずFBする
◆一つのテストに頼らない
◆カウンセラーのFBに対して、どういう気持ちか、それはどうしてなど表明する機会を与えること、質問させること、受け止め方を述べさせることを心がけ今後の面談に続ける。
◆優れた箇所から説明する
◆専門用語は使わない

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