見出し画像

【毎日ショートショートnote】水平線に愛を告げる

 #毎週ショートショートnote 告白水平線 参加します。


ひとり、バイクを走らせていた。
向かう先は海。真夜中の国道、行き交う車が灯すストップランプの赤が湾曲した線を無数に引いて、バイクにまたがる私の頬を掠めて後ろに消えていく。
小一時間で海に着く。空は夜の漆黒から茜をまとった群青と紫に色を変えていた。さざん、と音と立てて波が砂を洗う。私の心も洗い流してくれたらいいのに。バイクを防波堤の近くに停め、私は心の中で呟いた。
私は物語の主人公ではないから、肩を叩き慰めてくれる人などいない。海辺だからといって人っ子一人いない、などということはなく、後ろを振り返ればコンビニの灯りが見える。何か飲み物を買おう。私はコンビニの入り口に足を向けた。

好きだよ。ずっと好きだったんだよ。せめて嫌わせないで、莫迦

あの人は人の話を聞かない。水平線だけが私の告白を聞いていた。ここで泣けたなら私はヒロインになれるけど、コンビニで買ったのはミルクティー。夜明けのコーヒーなんて私には永遠に似合わない。


水平線に愛を告げる
【fin】
文字数410字

#毎週ショートショートnote
#告白水平線
#短編小説
#ショートショート
#ほぼ毎日note
#102日目
#お題で書いてみる
#たはらかにさん
#noteで書く
#みんなのフォトギャラリーから画像を挿入
#ショートショートnote


拙稿をお心のどこかに置いて頂ければ、これ以上の喜びはありません。ありがとうございます。