デジタルが連れたきた奇跡【シロクマ文芸部】参加記事
新しいことを始めたい。そんな軽い気持ちだった。流行にはすっかり乗り遅れたけれど、冬期休暇が終わらぬ内に始めたい。自分のPCにバーチャルボーカリストのソフトをインストールする。マニュアルに首っ引きで、何とかソフトを立ち上げた。
フィン、と微かな電子音がする。その後にはモニターにボーカリストが姿を表す……はずだった。
だが、目の前のモニターは沈黙を保っている。スピーカーからは音一つ聞こえてこない。おかしいな、故障だろうか。それともインストール作業をミスったのか?少しだけ焦る。
“はじめまして。お逢い出来て嬉しいです、Master”
椅子に座る僕の目の前、2メートルほど離れたところに、青い髪をツィンテールにまとめた少女が立ち、僕に微笑みかけている。なんだこれ、明晰夢?いつの間に僕は眠ったのだろうか。
“いいえ。これは現実です、Master。あなたは覚醒していて、私を見つめています。今日は日本のニューイヤー休暇の中日です。どうですか?私の答えは間違っているでしょうか?”
「い、いや。間違っていないよ。えっと…….はじめまして。キミをなんて呼んだらいいのかな?」
僕の問いに「では、あなたが私に名前を付けてください。それが1番だと思うのです」と、今までより肉声に近づいた音声が答えを返す。
どうやら、今年は1人同居人が増えるらしい。平凡なはずの毎日に、デジタルの灯火が灯った、そんな不思議な年の始まり。
拙稿題名:デジタルが連れてきた奇跡
総字数:608字(原稿用紙一枚半相当)
よろしくお願い申し上げます。以下はBingAIによる、ボーカロイドのイメージ画です(AI画像)
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拙稿をお心のどこかに置いて頂ければ、これ以上の喜びはありません。ありがとうございます。