スーパールッキズム

小4のある日、肩が突然痛くなり、アンビリーバボーで重病奇病特集を観まくっていた自分は何かめちゃくちゃ酷い病気なのではないかとものすごく不安になったことがある。父と母に訴えると「あんたそれ、肩こりじゃないの?」と笑われたのを忘れられない。

その日以来、私はずっと肩こり村の住人である。

絵を描くのが好き、本や漫画を読むのが好き、猫背。下を向きっぱなしの生活で小4にして肩こりに悩まされるようになるのも頷ける。
さまざまな整体やマッサージを受けてきたがなかなか治らないので最近では諦めてリラックスのための娯楽としてマッサージを受けるようになった。
先日、仕事終わりのバスの中で暇つぶしにホットペッパーを見ていたら家の徒歩5分圏内にリンパマッサージをやっているところがあるという情報を入手した。
いいなぁ、リンパマッサージ、、、。
何も考えず行くことにした。
癒されたい。癒されたすぎる。

当日。指定された場所に自転車で向かうと民家にリンパマッサージというミスマッチな看板が掲げられている建物を発見。
「エステや整体の入口」というより「よそのお宅の玄関」が「ご自由にお入りください。」と言わんばかりに開けてある。
チキンなので躊躇していると中から太った中年のエプロン姿のオバはんが出てきた。
看板あるからここだろうけどまさかこの人が施術するんじゃないよな?「どうぞ〜」オバはんが言う。え、この人がやるんか?
人は見た目で判断してはいけないことは重々承知しているが目の前でオイルの効能を説明しだしたオバはんはどう見てもエステの人って感じではない。
例えるなら、そう、肝っ玉母ちゃんだ。そんな風貌である。
そんなことに気を取られていて効能の話を半分しか聞いていなかった私はなんか適当にオイルを選んでしまった。
「こちらでごゆっくり着替えてくださいね。」

服を脱ぎ紙パンツに履き替える時にハッとした。

他人のうちで全裸になっている。

私今、他人の家で全裸になってるな。何やってんだろう、私。カーテンの向こうにはオバはんもいるんだぞ。よくよく考えると変な話だ。途端に恥ずかしくなってきた。おかしなところで我に帰り勝手に恥ずかしくなり帰りたくなってきた。この一瞬我に帰るやつ実は皆さんも経験したことあるのでは?
オバはんに声をかけられる。もう観念してリンパマッサージを受けるしかない。


・・・・めっちゃ気持ちえぇ〜。天国すぎ。

上手い。めちゃくちゃ上手い。マッサージが上手いというのもあるがまずアホみたいに手が暖かい。
しかも相手がやたら綺麗なエステのお姉さんだと緊張してしまうのにむしろ安心感があってマッサージに集中出来ている自分がいる。

ルッキズムの中で生きてきたから良くないとは思いつつ人を見た目で判断する癖が付いている。良くないよなぁ。エステの綺麗なお姉さんもいつかはオバはんになるし、うん。とりあえずオバはんありがとう。オバはん万歳!

天国を体験した私はまた仕事や制作の待つ日常の生活にもどり、体を酷使し、肩こり村へ帰っていくのだった。

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