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ご報告 青森に引っ越しました

こんにちは。このharunire0321のアカウントでnoteを書いている三浦 夕昇(みうら ゆうひ)です。

今回の記事ではいつもの樹木ネタではなく、少々身の上話を。

突然ですが、ご報告。5月より、青森県に引っ越しました。
記事についている写真の撮影地をよく見てくださっていた方は気づいたかもしれませんが、ぼくの出身は兵庫県。
だから、いままで植物の写真は、自然と関西圏で撮ったものが多くなっていました。しかしこれからは図鑑の写真が東北の植物たちで埋め尽くされることになると思います。

ではなぜ突然本州最北の県まで引っ越したのかというと………

青森に行くまでの経緯

もともとぼくは、環境学を学ぶためにオーストラリアの大学を目指していました。高校3年の時、受験料がバカ高い英語検定を受け、なんとか入学資格をクリア、安心しているとコロナの影響で希望のコースが2022年まで開講されないという知らせが。マジかよ。

高校卒業からの1年間が極相林にできたギャップのごとくガラ空きになってしまった。最初は結構落ち込みました。

しかし見方を変えれば、この1年間は、今後二度と来ない、人生でもっとも自由な1年間なのではないか。せっかくだから有効活用したい。そう思い、自分が一生続けたいと思っているネイチャー関係のことを極めようと決めました。父親に協力してもらってその方法を探していたところ、「おいけん(奥入瀬自然観光資源研究会)」から声をかけていただき、1年間そこで修行をさせていただくことになりました。

おいけんが活動しているのは、青森県十和田市の奥入瀬渓流。十和田湖から太平洋へと流れ出る奥入瀬川のうち上流14キロの区間にある、美しい渓流です。日本有数の大自然が広がるこの地で、ぼくはこれから1年間、環境調査・エコツーリズムなどの活動に携わらせていただき、自然環境についての理解を深めるべく頑張っていこうと思います。

初•青森

4月初旬、下見のために人生で初めて青森に向かいました。神戸空港から1時間半の短めのフライト。神戸は桜が咲いていたけれど、飛行機の窓から見える八甲田山は雪で覆われてる。
「すごい場所に来たな〜」
景色のドラマチックな変化が、未知の街に降り立つワクワク感を誘います。

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↑八甲田に空から初対面で感動。

空港から青森市街までの10キロちょっとを歩いて沿道の植物を観察してみると、関西との植生の違いがよく分かって面白かった。例えば、シラカバ、カラマツなど、関西の低地ではまず見られない北方系の樹種が道路脇の法面に雑草のように生えていたり、公園の植栽がアカエゾマツ、トドマツ、モンタナマツなどの見慣れない針葉樹で占拠されていたり。

↑カラマツが関西で言うアカメガシワのようなテンションで生えているのを見ると北国へ来たんだなあという実感がわく。

初めての場所に来ると、こんな感じでいろんな植物と「はじめまして」ができるので、普通に道路や公園を歩くだけでも気分が高揚します。雪が積もった歩道を長い距離歩いたせいで靴はびしょびしょになったけれど、遠方への移動の楽しさを何倍にも増幅させてくれる植物たちの偉大さを改めて実感しました。

青森の寒冷地植物のみなさん、これからよろしくお願いします。
そうご挨拶しながら青森市内を歩いた翌日、いよいよ奥入瀬へ。

恨むぞ奥入瀬の森

↑青森に来た初日に見たブナの森。絵本の世界のような美しい風景に感激。


これから1年間お世話になる奥入瀬の森と初対面したとき、最初に頭に浮かんだ言葉は「なんじゃこりゃあ」。

1本1本の樹木が、とにかく巨大なのです。自分が小さくなったのかと疑ってしまうぐらい、樹木たちのサイズ感が他の森とは明らかに違う。温暖な関西で細々と分布しているブナ林ではお目にかかれないような大迫力のブナの古木や、関西では天然記念物に指定されそうな貫禄のあるトチノキやカツラの大木が、そこかしこに生えている。
「巨木の巣」とも言えるような森を歩いていると、いままで関西の小規模な原生林を歩いて感動していた自分がなんだか恥ずかしくなってくる。想像を超える森の素晴らしさに、鼻血が出るほど感動すると同時に、ちょっぴり心配になってきました。


↑こんな見事なカツラの巨木は、関西では稀。こんなんが普通にニョキニョキ生えている環境に衝撃を受けました。

奥入瀬の森を見てしまったら、もう他の森に行っても感動できなくなるんじゃないか。

自分はまだ18歳。これからの人生のほうが長い。植物とは一生関わり続けたいと思っているので、死ぬまでのあいだにいろんな森を見ることになると思います。奥入瀬の森に匹敵するぐらいエキサイティングな森と、もう一度出会えるんだろうか。これよりも素晴らしい森を探すって結構難しい気がする。
1年も奥入瀬にいたら、他の森を見ても何も思わなくなる気がして仕方がない。残りの人生が心配になってくる。それぐらい、魅力的な森なのです。

18歳の未来ある若者にこんなすごいもの見せつけやがって。恨むぞ、奥入瀬の森(笑)。

ぼくが奥入瀬でしたいこと

↑我がアカウント名、ハルニレの巨木も奥入瀬ではそこかしこにいらっしゃる。

おいけんには、奥入瀬の自然を知り尽くしたプロフェッショナルのガイドの方々がいらっしゃいます。おいけんのガイドの方は動植物はもちろん、奥入瀬の歴史から地質まで、幅広い知識を持っていて、ただただ圧倒されるばかりで、憧れの存在です。樹木しか知らない自分は、今のところ全然ついていけていません。

ぼくはこれから、このガイドの方々にお世話になることになります。

ぼくは今、「樹木」という一面でしか森を見ることができていません。でも森に住んでいるのは樹木だけではない。動物、草本植物、川の生き物、全員が集まって作り上げているのが「森」という環境です。樹木以外の生物にまで目を向けて森を歩けば、今までとは全然違った世界が見えてくるんじゃないか。その「違った世界」というのを、ぜひ見てみたいのです。

↑奥入瀬に来て、野草の名前も覚え始めた。写真は調査初日に出会ったヤグルマソウ。

奥入瀬の自然に触れながら、おいけんの方から動物、草本植物など、いままで自分が触れてこなかった分野についての知識をおすそわけしてもらい、「樹木」という一面だけでなく、「動物」「地理」「草本植物」など、さまざまな面から森を捉えられる人になりたい。これが、ぼくのこの1年間の目標です。

この目標を達成するために、奥入瀬での毎日を大切にしていきたいと思います。
おいけんの皆様、奥入瀬の生き物たち、このnoteを読んでくださっている皆様、これからよろしくお願いします。

今後しばらくは、奥入瀬の自然に関する記事をあげていこうと思います。ぜひお読みください。

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