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その映画、誰とどこでみた?

 映画の鑑賞方法っていっぱいありますよね。
 お家で契約したサブスクをのんびりみたり、毎週決まった曜日に懐かしいものから新作まで流してくれるテレビの〇〇ロードショーとか、それこそ映画館のでっかいスクリーンと爆音で没入感満点に楽しんだり。
 
 もっといえば、この世に存在する映画の本数なんてもっとあります。レンタルビデオ屋にところ狭しと並んでいる分なんてほんの一握り。数え切れないだけの映画がこの世には生み出されています。

 でも、映画を一緒に見る相手というのは、そんな映画よりも数多のパターン存在するんです。この地球に生きる人全員、67億人全てがその候補なんですから。

 まぁ、実際に全員と見ることができるか、と言われればそれは苦笑いで乗り切ろうと思います。
 が、そのぐらい、私はどの映画を見るかと同じくらい、誰と見るかということは重要だと思っています。

 例えば、直近見た映画のことを思い出してください。
 私は家族で東野圭吾さん原作の『マスカレード•ホテル』をみました。実家の寝室でゴロゴロしながら、昼間にスーパーで買ったチョコトリュフを齧りながら眠る前に鑑賞しました。
 原作を読んでいたのでトリックを理解するのにさほど労力を割かずに済んだので、映像化の技術と華やかなホテルの演出を思い切り楽しむことができました。

 最後に映画館で鑑賞したのは『ゲゲゲの謎〜鬼太郎誕生〜』です。
 人生初のソロレイトショーで、電車に40分ほど揺られ少し遠くの映画館まで足を運びました。
 鬼太郎のアニメは小学生の頃5期を毎週熱心に見ていたので設定はほぼ完璧に理解していました。ストーリーは前評判通り、因習の残る村での不気味なお家騒動を主軸とした、アニメとは思えなほどドロドロとした展開。
 とても私好みでした。『犬神家の一族』や『獄門島』でお馴染みの横溝正史を彷彿とさせるなぁ、なんて思ってほくほくと帰宅したところ、実際に『犬神家』のオマージュがワンシーンにあるというネットの書き込みを見て、自分の感性を肯定されたような気がして嬉しかったです。


 さて、ここまで映画の記憶を遡ってみたことでお分かりになったと思いますが、
『映画の記憶は、映画の中身と同じくらい、その前後も含めたものになる』のです。
 
 初めてみたトトロはどこだった?
 最近見たあの話題作は誰と見に行った?

 映画を見るという行為は、映画の中身以外も『その映画の記憶の中に入れる』のです。
 つまり、『完成された映画作品をどう見るか』、それは映画を見る側が唯一映画に加えられるスパイスなのです。

 だからこそ、私は映画を誰と見るかを大事にしています。

 このシリーズ、あの子も見てるから同じ温度感で楽しめるかも。
 この映画、あの人何らどんな感想言うんだろ、気になる…。
 
これらの感情が主な私の映画の同乗者選びの基準ですが、やはり根底には
『この映画の記憶の中にこの人を入れておきたい』と思えるかがあります。

 この映画のCMやサブスクを見かけるたびに、その内容と同じように一緒に見た人のことを私たちはおもいださざるを得ないのですから。
 やはりとっておきの映画はとっておきの環境であの人と…と選んでいます。

 なので、私は映画に誘われた時には、この人の中のこの映画の記憶の中に入れてもらえたのか、と嬉しくなっちゃいます。

 自分ではない誰かの人生のワンシーン、もしくはその全てをたった数時間で体験できる映画というコンテンツは、それを見ること自体も深く私たちの人生に刻まれていくのだな、とこの正月、映画ばかり見ながら考えていました。

 何の映画を見るか迷っている方は、まず誰と見たいかを考えてみてはいかがでしょうか? 

ではまた🥐
 
 

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