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伝えたい想いの色が、少し強めな私だからこそ。

日常の風景を垣間見せてくれるエッセイが、とても好きだ。穏やかで、静かで、大きな主張はない。淡々とした文章のなかに置かれた日々の淡い彩りを見る時間は、私にとって大切な休息時間でもある。


数か月前から、かおるさんのソムリエnoteを愛読している。今回のnoteもどれも素敵な作品ばかりで、温かい飲み物を傍らに置いて静かに読み進めた。

作品紹介の後に書かれた一文に、思わずスクロールする手が止まった。

noteも華々しいバズが注目を集める世界になりつつあるように思うのですが、そよ風のように日常にふっと流れてくる物語が、もっと愛される世界になると良いな、と思っています。

どうしてnoteもTwitterも、一度しか「スキ」や「いいね」が押せないのだろう。もう、100スキしたい。

日頃わりと刺激の強いテーマを書いている私が言うのも何だが、”そよ風のように日常にふっと流れてくる物語”があるからこそ、世界は穏やかでやさしい色を纏えるのだと思う。何も非日常や刺激の強い話題をタブーだと言っているわけではない。何を書くかも、表現も、基本的にはすべて書き手の自由だ。ただ、思う。日常の風景を丁寧に書けるようになりたい、と。


noteをTwitterでシェアしたとき、かおるさんから頂いたお返事がとても素敵だったので、ご紹介したい。

心の栄養になるものって実はとても淡いもののような気がするんですよね。
心の安全地帯を豊かにすることも強くなる、事なんじゃないかな。

思わず手帳に書き留めた。noteでもTwitterでも、こうして今の自分に必要なヒントや助言をふいに手渡してくれる人がいる。ありがたいなぁ、と思いながら、言葉をゆっくり噛みしめる。


「心の安全地帯」
それは人によって様々で、どんな場所であってもいいのだと思う。自分がホッとできる空間、行為であれば、それだけで充分だ。

美味しいものを食べる。
好きな本(文章)を読む。
書きたいものを書く。
海に行く。
映画を観る。
信頼できる友人と語らう。
ふかふかのお布団にダイブ。
大好きなアート作品のギャラリーを眺める。

私にとっての安全地帯はこんな感じだ。こうして書きだしてみると、よくわかる。私は今、本当に恵まれている。
此処に書いた内容を安心して楽しめる環境にある。それは決して、当たり前なんかじゃない。何もかもが特別でこの世のすべてに感謝しようだなんて、そこまで崇高な人間じゃない。でも、心から思う。

今の私は、ちゃんと”しあわせ”を感じられる場所で、”淡いもの”を味わいながら生きている。


日々の生活のなかで、もちろん辛いときもある。
息子が元気すぎて、朝から麦茶をボトルごとひっくり返してしまったときとか。その麦茶の水たまりの上をわざわざ靴下で乗っかり、広範囲に跳ね散らかされたときとか。学校を休みたいと言い出した長男に、唐突に「夕飯、餃子がいい」と言われたときとか。めっちゃ元気じゃん。食欲全開じゃん。そう突っ込みたいのを堪えて「じゃあ包むの手伝ってよ」と笑顔で言ったら、「それは却下します」と笑顔で返されたときとか。「てつだう!」と声高らかに宣言したちびに「ハルマキです」と差し出されたのが、くしゃくしゃの餃子の皮で、え、中身は?餡はどこいった?って心の声が思わず出ちゃったときとか。

色々あるけど、日常はこんなにも淡い色で溢れている。愚痴や不平不満も含めて。


かおるさんの記事を読んで、「まぁ、少し座ってお茶でも飲んでいきなよ」と、やさしく声をかけてもらえたような気がした。ふっと肩の力が抜けて、心がゆるりとほどけた。


どんな色の文章も、等しく愛しい。だからこそ、その時々の自分が求める文章を無理なく楽しめるようになりたい。そして、いつか私も淡い日常をやさしく描けるようになりたい。
ちびが長男と喧嘩するたび、「もう!きらい!ほんとはすきだけど、きらいっていっちゃうんだからね!」って言うときの表情とか。海で見上げた空の色が、あまりにきれいなグラデーションだった夕暮れの景色とか。カフェで食べたパンケーキが至上最高にふわふわで、たまらなくしあわせだった昼下がりとか。
そういうのを、もっともっと丁寧に書けるようになりたい。


伝えたい想いの色が少し強めな私だからこそ、さりげない日常をもっと描こう。
淡いものを丁寧に積み重ねて、その先にある明日をしっかりと生きよう。


素敵な言葉に背中を押され、気の向くままに文章を綴る。こういう時間もまた、私にとってかけがえのない、安全基地に他ならない。


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