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#35 社会人編 〜ボールペンへの愛情〜

おそらく日本で、いや世界中で最も使用されているであろうペンはボールペンであることは間違いないと思う。

以前テレビ番組で海外の教育事情等を見ていて大変驚いたのだが、海外の学校では基本的にボールペンで字を書くと言うのだ。

確かに、鉛筆で学習する習慣がある日本だが、世界的に見ると変な国なのかもしれない。文字を美しく書くことに美徳を感じている国民性も、特殊だろう。

そんな私も、大人になるにつれてボールペンを使う機会が増えていった。

そしてそのおかげというべきか、それともせいというべきなのか。

異様にボールペンにこだわりを持つようになってしまった訳だ。

中には、

「私はペンにこだわりなんてないんです。あればなんでも使っちゃうんでこの前アンケートについてるやつを仕事でそのまま使っていたんです。」

という人がいる。というか実際に会ったことがある。

アンケートについているボールペンとは、ペン先とは反対側に紙に留めておける部分のある、全体的に薄くて細い感じのフォルムをしたあれである。

正直この話を聞いた時

「あのボールペンを生活で使う人がいたのか。」

と衝撃を受けた覚えがある。気分的にはお店でたまについてくるパセリを食べるくらいの衝撃である。

あのボールペンに対して、私は基本的に使い捨てくらいのイメージでいたので、繰り返し使うその人を尊敬の気持ちも若干抱いた。

しかし私としては、ボールペンはできるだけ書きやすくて使い勝手の良い物がいい、というのが持論だ。

では何が良いのかとなる訳だが、一口にボールペンといってもその種類は多岐にわたる。そこで少しその種類とその特徴を紹介したい。正直この分析の9割くらいは私の主観と趣味だ。

まず油性か水性かだ。

正確にはゲルインクなど、その中間をとったような物もあるが、ここではこの二択で話をする。

油性は文字通り油なので、書き味はそれほど良くない。正直いって私はあのぬらーっと出てくるインクの感じがあまり好きではない。

その代わりしっかりとインクが残るので、あとからにじみや薄れを心配する必要がない。そして文字が消えては困る仕事ではかなり頻出する。

一方水性は油性に比べて、割と長い時間水分を保っている。必然的にひじみやすいし、安物のペンの場合日光等に当てておくと薄れていくものもある。

その反面、書き味は抜群でサラサラと流れるように書くことができる。

書類を書いていても、メモをしていても基本的に人間は流れるように書きたいものだと思う…勝手な妄想に過ぎないのだが。

なのでストレスフリーな書き味の水性インクが、私は大好きである。

次に比較するのはノック式か、キャップ式かである。

イレギュラーなものだと回転式のものもあるが、こちらもメジャーでないので割愛する。

ノック式は基本的にペンの後ろをカチと押し出すことで芯を出す仕組みで、最も多いボールぺの形式だと思う。よさはキャップではないので部品をなくす心配がないこと、これが私にとっての全てである。

昔から、ありとあらゆる小物をなくしてきた私にとって、ボールペンのキャップはなくしてしまいがちなものNo.1なのだ。

ちなみに同率くらいで、シャープペンの後ろの消しゴムが挙げられる。余談である。

不注意極まりない私なので、キャップは少しハードルが高い。

キャップ式は、例のデメリットはあるものの、一番の良さとしてはインクの乾燥がほぼないことである。ノック式は使いやすいのだが、あのペン先は基本的に抜き身状態、つまり常に空気にさらされているのだ。

皆さんも思い出してほしい。過去、ノック式のボールペンをしばらく使わずに放置し、インクもしっかり入っているので久しぶりに使おうとしたら、全くインクが出なかったという経験がないだろうか?

まさにこれがノック式の最大の弱点なのだ。

だから、キャップで保護することで、どれだけ時間が経っても(実際はどれだけでもってことはないが)いつでも使うことができるのだ。

私はキャップ式が好きだ。

そして最後、単色のものか多色のものかである。

こればっかりは本当に用途と好みによるところが大きいと思う。

単色は単体なのでしっかりと書きやすいし、一本だからインクの残量も多い。

多色はそこまでインクが入らないが、その分多くの色をその都度使い分けることができる。それを一本で解決するなんて…お得である。

私はどちらかといえば単色が好きだ。

では、水性でキャップ式で単色が好きな私が今愛用しているボールペンが何か。

ズバリ、三菱のジェットストリーム(4色ボール+1シャープ)である。

…あれ?ときっと思われた方、その通り。

全く私の好みと使っている物が合致していない。もはや全て反対である。

しかしこれは仕方ないのだ。

このジェットストリームというやつは、油性とは思えないほどのサラサラした書き心地があり、ノック式だがインクの固まりもそこまでではない。そして、多色ボール…実に便利なのだ。

いや、本当は単色が良いと思っている。

しかし、仕事柄多くの色を使う私にとってはこのボールペンは最高のアイテムだったのだ。

ここまで熱く説明してしまったが、つまり私のボールペンへの思いは愛情と同じだと言える。

自分のタイプはありつつも、その物(人)の個性を知ることで、徐々に好きになっていく。これは実に奥ゆかしいことで、人にも共通するということだろう。

自分で言ってて何言ってんだろうという気持ちにもなるが、あながち間違っていないと思っている。

某金子さんの詩ではないが「みんな違ってみんないい」のだ。

そんな風に考えつつ、今日もカチカチと仕事でジェットストリームを使いながら、私のボールペン愛をしみじみと実感するのだった。



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