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トリチウムが危険!のメカニズムについて

かつて「空気」という気体があると信じられていた時代……。(大袈裟)
空気から分離した窒素の性質がわからず、酸素がないからその中で生きられないだけなのに「窒素の中ではネズミが死ぬ!この気体には毒があるに違いない!」と動物を窒息させる気体という不名誉を着せられた時代……。(雑)
あまたの時代を経て、人類は「分離と普遍化」に長じた種族になったはずであった……。


プロローグ


はじめに申し上げておきますが、私は「処理水に含まれるトリチウムは安全である」という考えに変わりはありませんし、処理水が国と東電・IAEAの予想を裏切り有害な物質が含まれていたときのために「退路を確保した」わけでもありません。もちろんそのときに国を擁護する意図もありません。トリチウムではない有害な物質が含まれていたことが発覚した際には話が違うやんけオラァ?💢と誰よりも政府や東電・IAEAをぶっ叩く所存であります。よろしくお願いします。

第一章


昔Twitter(現X)で、”自然派ママ”さんが「界面活性剤は危険だ」と煽りつつ「石鹸」をお薦めしておりましてね。
衣服や皿などから汚れを取り除くための機構・システムが界面活性剤であるわけなので、「石鹸」が「石鹸」である限り、それは界面活性剤なんですよ。
それを指摘したら、「そうなんですね!では「人工ではない自然由来の」界面活性剤と訂正します!」と返されたわけで。
わかりますか?
界面活性剤が危険と煽っていたのなら、貴方がお薦めしていたその石鹸も界面活性剤ですよと言われれば「なんだって?この安全だと思って使っていた石鹸も有害だったのか!」とショックを受けるはずなんです。
そのアカウントが「自然由来の」と括弧付をしたところで界面活性剤であることには変わらないんです。
ならなぜその方が「訂正」をして「ショック」を受けなかったかというと、自分がお薦めする石鹸を自分が貼ったリンクを踏むことで無知なフォロワーが買ってくれたら自分の利益になるからではないか?と私は推測しています。
危険かどうかなんて本当は興味がないんです。「自然派」という購買意欲がそそられるワードに変えて、儲けたいだけ、
要は、不安につけ込んだビジネスというものは存在するし、それは大層儲かるらしいってことです。

第二章


「でも、工場でつくられたものが不良品で回収されたり公害を引き起こしたりするじゃん!」と思われたかもしれません。
一旦、話を整理します。恐らく不良品回収で一番よく聞くのは「異物混入」の類いかと思います。ゴキブリが入っていたとか、人の歯が入っていたとか……。
仮に、工場で作られた石鹸が大規模なリコールになり、自然由来の石鹸の人気が出たとします。
二つの石鹸の界面活性剤の成分が同じだとすると、この場合おかしかったのは工場で混入した「添加物」であると推測できます。
同じ成分であれば、その性質や危険性は同じです。稀に同位体が危険なこともありますが、同位体が工場でだけ大量発生することは考えにくく、自然派石鹸にもそれは含まれているはずです。
色々な「モノ」から様々な「成分」を分離していこうというのか化学の発展に寄与し、元素表という集大成になり、素粒子物理学にも繋がりました。
これはマクロからミクロへの、視点を絞っていく作業でした。逆に、ミクロからマクロへ視界を広げていく作業もあります。異なる「モノ」に同じ「成分」が含まれていることもあり、その共通性を確認するという作業です。
分子として他の元素とつながり合う過程で性質は変わりますが、それが同じ「成分」である限り、異なる「モノ」から分離した「成分」単体では同じ性質を示すはずです。

第三章


ところで、処理水放出に反対する人たちの意見の中に、「燃料棒に触れた処理水・トリチウムは日本だけが保持している。それであるがゆえに危険」というものがありました。
※冷却水である限りどこの原発でも燃料棒には触れているんだよ、という返しもありましたが今はこれを無視します。もしその返しが正しかった場合、元の意見が「ただ虚偽を吐いて日本を貶めたかった言葉」になって話が進まないからです。
今までの議論で分かる通り、科学的視点として重要なのは「分離と普遍化」です。
トリチウムという分子の性質については調べ尽くされており、それは燃料棒に触れていようがいまいが同じ「成分」にすぎません。
もし燃料棒に触れたかどうかで「処理水」という「モノ」の性質が変わったとすると、燃料棒についていた何かしらが原因だと推測できないでしょうか?
トリチウムは水であり、我々の身体の中にも水道水にも存在しています。
水との違いがほとんど無さすぎて、あまりにも普通に地球を循環して身体の中で代謝される「成分」としての性質があります。
「燃料棒に触れたかどうか」でどうしても論じたいのであれば、「燃料棒に触れた方のトリチウムは危険」という論調は的外れとしか言いようがありません。トリチウムが危険であれば触れてなくても危険で、危険でないならば触れていても危険ではないからです。
せめて「燃料棒由来の危険なものはちゃんと除去したんだろうな?」とすべきです。
それをしないのは、ほとんどの放射性物質を除去されて突っ込めそうなのが残っているのがトリチウムだけだからでしょう。
生物濃縮をしない、化学的にも水と性質が似通っているがゆえに除去できなかったものしか突っ込むところがなくて無理筋の非難をしているとしか思えないんです。
この”無理筋を頑張って攻めている感”こそが、実はトリチウムが安全であることを放出反対派のトップ層はわかっているのではないかと思う所以です。
あるいは、外国の原発もトリチウムを放出していると指摘されてどうしても日本のモノと他国のモノを分けなければいけない必要に迫られたからでしょうか。

自然派ママ石鹸事件からの類推ですが、不安につけこんで優しいだけの科学に詳しくない人を扇動する作業はひどく儲かるんでしょう。トリチウムカルトと呼んでもいいんじゃないかと思います。

エピローグ

なにが言いたいかというと、カルトのいいカモにされないように気をつけましょうね、ってことです。
とある漁師さんが住民説明会で言っていた「何重にもチェックしろ、モニタリング欠かすな」は至極まっとうな意見です。けれど、時には人を殺しかねない風評というものを流し、反科学的な立場からイチャモンをつけることが「正義」だとは思えません。
政府が信用できない、東電が信用できない。
まぁ気持ちはわかります。
では、あなたに事実に基づかない風評を吹き込んだ人間(あるいは)アカウントは信用できるのですか?

トップ画像はいらすとやさんからいただきました。


8/29時点
トリチウムが危険だ!!!と散々騒いできた界隈が、その界隈自身のトリチウムonly攻撃のせいでこちらも勉強しただけのことなのに、「トリチウムだけ問題にしていて他の核種は知らない無知でバカなネトウヨww」と議論を五年前くらいに巻き戻すツイートをしていますが、さらに自分たちの首をしめていることに気づいた方がいいと思います。それは我々が昔辿った道です。
リンクは貼りません馬鹿馬鹿しいので。矢鱈とウ○コの絵文字を多用する方でしたが。

あと、処理水放出に反対するTwitterデモのハッシュタグが #処理水放流に反対します とかだったんですけど、さすがにネタだと信じたいです。放流するのは魚とダムです。処理水は放出するものだと思うんですが。

いつもありがとうございます。執筆のエナジーチャージのためいいなと思ったら「スキ」していただけると幸いですー(*'ω'*)