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大学4年の秋、わたしは大船渡でホタテ漁に出た。

2021年10月某日、人生初の岩手県上陸。

岩手県大船渡市!

友達に「どこ行くの?」って聞かれて「おおふねわたりって場所!」と答えたら、「おおふなと、な。」と言われ、私の無学さが露呈した。


さて、そんな岩手初心者の私が訪れた大船渡市がどんな場所かというと、

思わず「あまちゃん」のオープニング曲が脳内で騒ぎ出すような真っ赤なシートの鉄道が走る場所であり、

車窓からは、とにかく広くてただただ青い景色が拝めるところであり、

ベンチに座ってたら「芋っこあげっぺ」と、見ず知らずの私にアチアチの焼き芋をくれるおばちゃんがいる街である。


駅を降りると、真っ直ぐな車道といくつにも連なった山が見え、遠くに「釣りエサ」と書かれた看板がみえる、そんなのどかな場所なのだ。人との距離と自然との距離が、同じくらい近い。

東京から大船渡まで、約5時間半。岩手県までは新幹線で順調に来れても、県内の電車が圧倒的に少ないところが岩手マジック。釜石駅から三陸駅までの鉄道は、2時間おきに一本というアリエンティな世界だった。

Youは何しに三陸へ

今回わたしがここに来たのは、大船渡でホタテの養殖をしているという漁師さんのおてつだいをしたかったからだ。

私は、生まれも育ちも神戸で、大学からは東京に進学というTHE都会ライフを極めている生粋のホカホカっ子なので、田舎暮らしにとても興味がある。見たことない世界を全部みてから死にてぇ!

そういうことで今回は、「オラ、岩手さ行くだ!」と、学割片手に飛んできたのである。

さて、無事に到着したのは良いものの、ホタテ漁にでれたとて、こんなホカホカ娘にできることはあるのだろうか、という疑問がここで湧き上がる。


あった。

このオレンジの玉は、ホタテが海底に沈みすぎないようにするための浮き玉だ。そして、奥に座っているのが、それを掃除する私。

こうみると、なかなか様になっている。「所さんのダーツの旅」が取材に来てたら、町人カウントされんこともない気がする。私は、一心不乱に、玉についたフジツボ(貝)やワカメなど、海産物諸君たちをナタでガリガリ削ぎ落とした。

すると、

初めはもはやオレンジが見えないほど磯々しかった彼らが…

こんなにも、蘇ってくる。

この作業、やってみて思ったのは、めちゃくちゃ体力と精神力が必要だということだ。「まぁ、そうでしょうね」という感じかもしれないけれど、雨ざらしでも、寒くても暑くても関係なく外で作業しなくてはいけないし、なんといってもフジツボたちの永遠なる上下運動は見ててとっても「無」な気持ちにさせてくる。フジツボたちに告ぐが、貝の中から出るか出ないか、どっちかひとつに決めてくれ。

本当に、大変な作業だと思った。

さらに、この玉は全部で50個くらいはあるし、なんなら、これは掃除作業であって、ホタテのお世話としての作業が他にたくさんたくさんあるのだ。なんてこった…。

これを、朝の5時に沖に出て玉を回収してガリガリ作業、からの、ホタテのお世話というサイクルで、大体行なっているという。でも、作業内容によって、起きる時間はめちゃくちゃ変動する。

例えば、この作業の翌日は出荷の日だったので、私たちは朝の0:30(雨天)に家を出た。もはや夜やし、「明日」の概念を疑う時間帯。こんな生活を送っている漁師さん、凄すぎる。

ちなみに、私は沖に出る作業にも同行させてもらったのだけど、出港1時間で船酔いのピークが訪れ、色んな意味で撃沈した。そんな役立たずもいいところだった私に、「ここにきた人はみんなそうなるから気にすんな〜!」と言ってくれた漁師さんの懐の広さとやら。リアス式海岸並みにでかい。

そんなこんなで、私に出来る作業を見つけてもらいながら、あったかい言葉をかけてもらいながらのやっとこさのおてつたびでした。

↑雨でも関係なく0:30に出港!の様子

作業の他にも、夜は漁師さんのお話を聞かせてもらったり、街の定食屋さんに連れて行ってもらったりして大船渡の魅力にも気が付けた旅だったなぁと思う。

「岩手に来たって理由だけで、海鮮食べたくなってます〜」と笑う私に、わざわざメニューにないイカの腑カレーを作ってくれた定食屋のおばちゃん。ありがとう!

3日間の大船渡ホタテ漁を経て

私は、高校生の時にカナダに留学していた。その時、日本の友達に聞かれた質問で印象に残っているのが、「留学と旅行って何が違うと思う?」というものだ。

違いをあげたら、多分色々あると思う。けど、一番の違いは「現地の人の生活に入り込めるかどうか」ということじゃないかなぁと、私は思っている。そこにいる人と同じ時間に起きて、学校や仕事に通って、また同じ時間に寝る。そのサイクルを経ているかどうかで、一日がまるまる変わるし、自分の目に見えるものもまるまる違ってくる。

今回のおてつたびでは、「生活に入り込んだ」というには烏滸がましいくらい少しの経験しか積めなかったけれど、3日間という時間の中では現地の人と同じような生活をしていたんじゃないかなぁと感じている。そこで私がみたものを、この記事で感じてもらえたらいいなぁと願いつつ、書いてみました。本当は、この記事は磯の香りと共にお送りしたかったので、もし良かったら今夜はホタテ食べて磯を感じて下さい!


あ〜また大船渡来たい!はよ免許とらな(涙)

おまけ

2日目の朝起きた時、豆電球がホタテにみえたよ。

おわり。

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