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絵のある人生

安野光雅美術館へ行く前に、どうせなら安野さんのことをもう少し知っておきたいと思い、「絵のある人生」という著書を読みました。

安野さんの幼少期の話、美術史の話、絵の見方などなど200ページ足らずの本にしては内容が多岐に渡っています。そして、ひとつひとつのテーマについて濃く語られているので、厚さ以上の読んだ感を得られました。
…なのですが、
展示を見ていたときも思ったのですが、安野さんの文章、ところどころ理解しづらいところがあるんですよね…
この本に関しては、口述をとられたとあとがきにあるので、そのせいかもしれませんが…

こちらの本ですが、ブリューゲルやボスについての話が割と多く、確かにブリューゲルやボスの絵の情報量の多さは安野さんにも通じるなと思ったり。
そういえば、美術館で見た、ちくま文庫の森の「おかしい話」の表紙となった絵は、ボスの「快楽の園」をアレンジしたものでした。(トップの画像がそれです)

「影響を受ける」という言い方はあまり好きではないと、安野さんがこの本で書かれているので、この言葉を使うのは抵抗がありますが、影響を受けているのでしょうね…

安野さん、ゴッホについても熱く語っています。
ゴッホの手紙について書かれている部分を一部抜粋します。

わたしは、文章の巧みさではなく、その背後にある彼のひたむきな情熱にこころを動かされていたのです。
…中略
もし、その手紙を読めば、人は誰でも、彼の心情を抜きにしてゴッホの絵を見ることはできなくなるでしょう。

絵のある人生 より

…わかる笑
ゴッホについては、こないだBBCの「ゴッホ 真実の手紙」をU-NEXTで観たんです。頑張ってるのに報われない。つきまとう孤独感。足掻きもがいた人生。
カンバーバッチがゴッホ役なんですが、さすがの名演技でして、静かに涙を流すシーンとか、そりゃもう切なくて。
話が逸れてしまいましたが、こちらもおすすめです。

*山田五郎さんのYouTubeも視聴済みなので、ゴッホが付き合いづらい人だったらしいということは知ってます。
それでも切ない。

閑話休題。

もうひとつ気になったのが、安野さんがこの本のなかで紹介しているナイーヴ派の画家、ピロスマニ。
グルジア共和国の絵描きだそうです。
知らない画家だったのですが、映画になっていると書かれていて、どんなのだろう?と検索してみたら予告編だけ見れました。

すごくおもしろそう…
配信ないのが残念。

これから絵を始めてみようかと思っている人に向けた章もあります。これも熱く語っていて、一読の価値ありです。(鉛筆の芯って、太陽の日差しで柔らかくなるって知ってました?)

全体的に、安野さんの絵に対する真摯な思いを感じることができる良本でした。あの素敵な絵はこの人だから描けたのだな…と納得です。

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