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大きなリボンの、小さなわたし

大きなリボンを頭につけて、
無表情を隠そうとするかのように、うっすら笑顔のわたし。
白いスパンコールのワンピースは、クラスの女の子の憧れだったのに。
わたしが着たかったのは、チェックのギャザーのミニスカートだった。

幼稚園のお遊戯会、
わたしが演じたかったのは、ウェンディじゃなかった。
わたしはステージで、本当は、南の国のダンスを踊りたかったんだ。

先生たちに頼まれたから、みんなにやろうよと言われたから、
わたしはやるしかなかった。
断るという知恵も、嫌だと言う勇気もなかったんだ。


みんな、自分の望む世界を、ストーリーを、自分の舞台を、自分で選んで創って、演じている。
その舞台で演じ続けて、楽しむのもいいかもしれない。
かくゆう、わたしも十分楽しんだんだと思う。

でも、わたしは、もう、その舞台を降りたいと思う。
本当は、『舞台に上がって輝こう』という言葉でこのテキストを書き上げたかったはずなのに。
5歳のわたしを思い出していたら、それは、本当のわたしの気持ちではなかったことに気がついた。

これからのわたしには、脚本なんてないんだ。
だから、いつも、どんな時も、自分が本当に思ったことを口にするようにしよう。
だから、いつも、どんな時も、自分の中で出した答えに従って行動しよう。

そうやって、自分で望む世界を選ぼう。
そして、その世界で、思い切り輝こう。

降り注ぐ、宇宙からのエネルギーは、シャワーのように、
これまでの観念や、寂しさや、執着や、あらゆるものを洗い流してくれているみたいに感じる。



なんとか演じ切った5歳のウェンディのわたしを、わたしは思い切り抱きしめてあげたい。
よく頑張ったと、よく最後まで演じ切ったねと。
そうしたら、5歳のわたしはこう言うだろう。

「もう演じなくてもいいんだよ。自分の思うように生きていいんだよ。」



晴海 たお

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