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キモチイイは世界をつなぐ。【旅エッセイ〜タイ編〜】

象に乗りたいと思った。

僕は体重が100kg以上ある。
身長もでかい。
この巨体をコンプレックスには感じていないつもりだが、混んでいる電車で僕の横だけ座られない時にはさすがにちょっとだけ悲しい。

昔、馬に乗りたいと思った。

どの牧場も体重制限がある。80kg以上の人は乗ることができない。

でも、馬に乗りたいのだ。どうしても。
爽やかな風を受けて笑顔で手を振りながら牧場を駆け抜けたいのだ。どうしても。

という話を職場でしたら、象にならその体重でも乗れるよ、との情報を得た。その体重でも、の言い方に若干のトゲを勝手に感じてしまった僕は、やっぱり自分の体重がコンプレックスなのかもしれない。


象なら、乗れる・・・?
象に、乗りたい。こんな僕を乗せてくれる象がタイにいるらしい。

象に、乗りたい。
タイに、行きたい。

その場でタイ行きの航空券を取った。



初めての1人海外だ。
きっと面白いことが起きるだろう。と意気込んでいた。
些細なトラブルも全てネタにしてやろうと、鼻息を荒くしていた。

が、なにも起きない。
2日経っても、3日経っても、トラブルが起きない。

というのも、僕はものすごく緊張していたのだ。
初めての1人海外。いくら治安はいいと聞いていても、やっぱり多少はドキドキする。
だから、地下鉄で乗り過ごして変な場所に行っちゃうとか、
帰りのチケットを無くしちゃうとか、
広島で生牡蠣を食べようと思ったのに、なぜかカレーを食べちゃうとか、
ガチムチの後をついて行って道に迷っちゃうとか、
日本で幾度となく繰り返してきた愚行が海外では発生しないのだ。しえないのだ。僕だって本気だせばちゃんとできるのである。

強いて言えば、象に乗っているときにポケットから帰りの列車のチケットを落としてしまい、それを象が鼻を使って器用に取ってくれるという、僕のおっちょっこちょいinタイ!みたいな出来事が起きたくらいだ。


タイのバンコクは都会だ。
東京となんら変わらない。

空港からホテルまでは電車一本で移動できた。
ホテルは値段の割に高級そうな感じでとても快適だった。
ただ、チェックイン時、フロントで超高速英語でまくし立てられて、OK?だけ聞き取れたのでOK!と笑顔で答えたら、クレジットカードで8000円決済された。ネットで宿泊料は払っていたのに。あの8000円が何に消えたのか今でもわからない。『とりあえずお金欲しいから8000円もらうね!オッケー?』『オッケー!』というやりとりが行われていたとしか考えられない。気軽に笑顔でOK!というべきではないことを学んだ。

翌朝、早起きした僕は、町に繰り出した。

ホテルを出た瞬間、ものすごい数の鳩が、仏像のお供物を奪い合っているのを見た。平和の象徴である鳩しか知らない僕は、あァ、いま僕はタイにいるのだなと、実感した。

タイには、素敵なお寺がいっぱいある。どこも華やかで、でかい。デカすぎて入り口がいくつもあったりする。そして、道に迷う。
でも、大丈夫。僕には、僕らには、グーグルマップがある。
と、行き先を日本語で入力した。

読めない。


僕は、遠くを見つめ、静かにスマホをカバンにしまった。


グーグルマップに別れ告げた僕は、案の上、迷った。その結果、さっき入ったお寺のチケットを違う入り口でもう一度買って再入場してしまうという僕のおっちょこちょいinタイ!パート2!みたいな出来事が発生した。

書いていて気づいたが、海外でもやらかしてんな。緊張していて何も起きなかったんじゃなくて、緊張していてやらかしていることを自覚していなかっただけなんだな。



ところで、タイの仏像は寝ていた。

いいな。と思った。
すべての煩悩を手放した姿らしい。
全ての煩悩を手放すと寝るという理論はいまいち僕の脳みそでは理解できなかったけど。

ふと、休日の母親を思い出した。
あぁ、そうか。僕の母は全ての煩悩を手放したのか、とよくわからないことを考えていた。

ねてた

そういえば、日本の大仏は寝ていない。
ずっとあぐらをかいている鎌倉の大仏や、ずっと直立している茨城の牛久大仏がこの仏様を見たらどう思うのかな。怒るかな。僕なら怒るな。

と、ずっとよくわからないことを考えながら外に出ると、地元の小学生の男女がものすごい勢いで取っ組み合いの喧嘩をしていた。全ての煩悩を手放し横になった大仏が、静かに喧嘩の行く末を見守っていた。


見てた


そして、ついに象にのった。


のった

6000円だった。
意外と高いな、と思った。
ちょっと安くしてよと言ったら、笑顔で無視された。
象は可愛かったし、とても楽しい経験だったことに違いはないのだけれど、ちょっと高いな、が最後まで頭から離れることはなかった。

象の背中に乗る時も、(物理的な高さが)高いな、と思うと同時に値段的にも高いんだよな、と思ってしまった。

馬の背中に乗って爽やかに手を振りながら牧場を駆け抜けたかった僕は、象の背中に乗って2つの意味でちょっと高いなと思いながら、象乗り師からのさらなるチップの要求を断り続けていた。
理想とはだいぶ違ったけれど、こんな巨体を乗せてくれた象には本当に感謝している。僕も、ついに動物にのれた。




この後、ほんのちょっとだけ夜の営みの話が入る。
haruyaの夜の営みなんて興味ねぇよ!!!!
という方は読むのをやめていただけると幸いだ。

















こんにちは、僕の夜の営みに興味のある皆さん。


タイでは、4人のゲイの方と遊んだ。
皆さんとても優しくて可愛い方だった。
僕みたいな中途半端にしか英語を話せないヤツと会ってくれるなんて本当にありがたい。

そのうちの1人の方がホテルに来てくれた。
とても嬉しかったが、正直、かなり疲れていた。英語を話しながら、聞き取りながらの営みだったことも重なって、haruyaのharuyaはなかなか硬くならなかった。

でも、彼は、
“I like it,I like it..”
と繰り返しながらやわらかいままのそれを口に含んでいた。
優しさで言ってくれているのか、本当にただふにゃちんが好きなのかを確かめる英語力がないことを悔やんだ。

ふとした時に、僕が
「気持ちいい・・」と、声を漏らしたら、
あ!!!!その日本語!!!!!エッチなビデオで聞いたことある!!!!!と彼のテンションが突然爆上がりし、カタコトの「キモチイイ!」を繰り返していた。
僕は、彼のエンドレスキモチイイ!に笑いを堪えれなくなってしまった。

2人で爆笑しながらキモチイイ!!!を繰り返し、しごきあった。痛気持ちいいとかではなく、面白気持ちいいという新たなジャンルの扉を開くと同時に、フィニッシュした。


キモチイイは世界を繋ぐ。


では、また。




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