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私たちの願う子どもの居場所について

こんにちは、鎌倉で育つです。私たちは、鎌倉の大仏さまの近くの長谷エリアで子育てをしている仲間です。近所の遊び場であり憩いの場であった「長谷子ども会館」の再開を願いながら、子どもの居場所について日々考えています。

育ち合い、学び合い。そんなことが自然に行われていた場所がなくなってしまったことで、「あの場所の何が良かったのか?」を振り返りながら、私たちは「子どもの居場所をつくる大切な要素とは何か?」を言語化していきました。

今日は、2018年10月18日長谷公会堂にて行われた意見交換会にて、『長谷子ども会館』が、利用者にとってどういうもので、使えない現状においてどの様な問題が(その当時)あるのかを纏めたものをご紹介します。

長谷子ども会館とは

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長谷子ども会館は、誰にでも開かれている、かけがえのない居場所でした。
乳幼児から中学生までだれでも。来るのも帰るのも子どもの好きな時に。
屋内でも屋外でも気持ちに応じて自由に遊べる場所でした。

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「いつでも」

長谷子ども会館では、自分の都合や気持ちに合わせて、子どもが自由に来る時間や帰る時間を決めることができました。

また、公園が隣接しているため、急な雨の時も、 暑い日・寒い日も状況に応じて遊ぶことができました。公園のみを利用する子どもにも、長谷子ども会館の大人の目が届くトイレは安心して使えるものでした。

子どもが書いたアンケートにこんな言葉がありました。『夏休み、お母さんが仕事の日、長谷子ども会館やっていればなと思う日がよくあります。(10 才 御成小)』

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「だれでも」

長谷子ども会館は、乳幼児から中学生までの子どもであれば、学区や住んでいる地域に関わらず、遊びに来ることができました。

年齢や所属を問わないことで、兄弟みんな一緒に、どの子も満足に遊ぶことができる、とても貴重な場所でもありました。子どもは学校の枠を超えて、異年齢で遊ぶ中で、お互いを知り、認め合い、成長していくのではないでしょうか。

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「家庭でも学校でもない居場所」

子どもが園や学校で居づらさを感じた時も、 親が育児に悩んだ時も、いつでもだれでもあたたかく迎え入れてくれる長谷子ども会館は、子どもにとっても親にとっても、地域の中でほっとで きる居場所でした。

観光客や 車の出入りが少ない場所にあり、そこに行けば友達がいる、見守ってくださる先生がいる、付添いの大人の目があるという安心感があったから、親は長谷子ども会館なら「小学生になったら一人で遊びに行っていいよ」と言えました。

園児は園庭開放や延長保育、児童は学校でのアフタースクール、という限られた場所、人間関係の中で過ごす、他に選択肢がないという状況は、息が詰まることもあるのではないでしょうか。

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「鎌倉らしさ」

長谷子ども会館は、景観重要建築物の旧諸戸邸を利用した子どものための施設でした。貴重な歴史的建造物が現役のままで地域の子どもを育む場所になっていたことは、過去と現在、未来が共存している鎌倉らしい情景でした。

こうした、伝統や文化が日々の暮らしの中にある魅力は、私たち利用者のみならず、鎌倉を訪れる人、暮らしの場を築こうとする新しい世代にも訴えかけるものであると思います。

昨日も、会館の前を通りすがった方が「ここは日本一の児童館だよ」と傍らの方におっしゃっていました。歴史ある美しい建造物の中で過ごした時間は、子どもの中にも伝統や文化を大切にする心、地元を愛する心を育んでくれたと感じています。

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閉館とともに失われたもの

・兄弟で一緒に遊べる場
・他校、異年齢の子と遊べる場
・学童に行かないという選択肢
・子どもが一人で安心して遊びに行ける場
・公園と隣接した室内遊びの施設

放課後かまくらっ子は、待機児童問題に対する前向きな取り組みであり、今後学童を利用する子にとってもそうではない子にとっても、小学生の居場所の一つとしていい制度になりえると思います。しかしやはり対象者が学区の小学生に限定されたものであり、子ども会館が受け入れていた幼児や他校の生徒、中学生は対象となっていません。

長谷子ども会館は年齢や所属を問わないことで、きょうだいで一緒に遊べる場、他校や異年齢の子と遊べる場、子どもが一人でも好きな時に遊びに行ける場になっていました。また、地域の中に一人で安心して行ける場所があることで、学童に行かないという選択もできました。学校ではない場所で、親でも先生でもない第三者の大人の見守りがあることで、学校に行きたくない、あるいは行けない時の子どもの居場所にもなっていました。

長谷子ども会館のように、年齢や所属を問わず地域に開かれた場所は、鎌倉での子育てにおいて必要不可欠です。私達が必要としているのは、地域の中で子ども達が誰でも安心して遊びにいくことが出来る場所地域の方々や異年齢の子どもがかかわりあえる場所です。

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代替とされるシステム

長谷子ども会館が2018年4月に閉館し、今後 長谷子ども会館の代替の役割を担う場所として、二つの場が提示されています。

1)放課後かまくらっ子
放課後かまくらっ子は原則的に学区内の児童を対象としたもので、学童保育とアフタースクールを一体的に実施する制度です。

2)由比ヶ浜子育て支援センター
由比ヶ浜子育て支援センターは、主に未就園児の親子を対象とした、親子の遊び場、育児相談や情報提供をする施設です。

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現状と課題 「予算」

まず大きな課題として、費用という問題があります。長谷子ども会館の再開を考えた時、必要となる費用には、建物の耐震改修費運営費人件費が考えられます。運営費については年間で 64 万 6 千円程度の費用がかかっていました。

「全ての費用を市の単費で賄うことは、現状では難しい」と、市との対話の中で話がありました。

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「公共施設再編計画」

次に、鎌倉市公共施設再編計画についてです。鎌倉市は、今後、全市的に放課後かまくらっ子を導入するに伴い、子ども会館は閉鎖への方向性を決定しています。長谷子ども会館については、閉館についての請願書が議会で採択されたことを受けて、市は、多世代交流の居場所づくりを含め全庁的に検討していくと公表しています。

子どもの居場所に必要なのは、「いつでも、だれでも」

このように、私たちは地域の子どもの居場所について、多くの人にアンケートやヒアリングを重ねながら、考えをまとめてきました。

その結果、「いつでも」「だれでも」が大切なキーワードであることが分かりました。そして、学校・学童に行かない子どもも、年齢や境遇・立場その他様々な背景が違っていても、どんな子どもも排除せずに受け入れる、子どもの居場所をつくるためには「無料で」使えることも重要な要素であると考えています。

そのような施設が地域に再開することを願って、活動を続けています。応援してもらえたらうれしいです。

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