グータッチ。

土曜の午前、『ライオンのグータッチ』というテレビ番組がある。

「創設以来一度も勝ったことがない野球チーム」や、「どうしてもサーブが入らないテニス少女」など(ウロ覚え)、一生懸命がんばっているのに伸び悩む子どもたちのもとへ、プロのアスリートがコーチとして訪れる。指導された子どもたちが成長する様子を追うドキュメントバラエティーだ。

「一流の選手が一流のコーチになるわけではない」という言葉はよく聞くが、番組に出るアスリートはみんな教え方がうまい。ふだんの練習や試合の様子から、フォームだったり癖だったりの問題点を見つけ、それにあった練習をさせる。子どもたちは少しずつできることが増え、最終的には目覚ましい変化を遂げているという展開だ。
テーマはスポーツに限らないようだが、とりあえずわたしがみたときは、なにかしらのスポーツが取り上げられていた。

どんな子どもでも、適切な練習方法を教えると格段にうまくなって自信をつける。子どもたちの考え方や話し方まで変わって、目が輝いてくる感じが楽しい。アスリートも「やる気」「根性」などの抽象的なことをいわず、「これに恐怖感があるみたいだから、この練習をしよう」というような具体的なアドバイスをする。一流の選手というのはセンスどうこうでなく、とても冷静で知的だということを改めて考えさせられた。

しかし。今まで子どもたちとかかわってきたコーチや親はどんな気持ちだろう。

これまで自分がどんなに指導しても結果が出なかった子どもが、一流選手が1、2カ月かかわっただけでめきめき上達していく。悪意なんてなかったけれど、自分が適切に指導できなかったせいで才能や時間を無駄にしていた。この子だけでなく、過去にもいたかもしれない。

わたしは壊滅的に走るのが遅いけれど、もしかしたらちゃんと教えられたら早くなる可能性があるのかも。仕事でも、やる気と根性より伝わりやすい話し方とか理解しやすい資料のほうが結果につながるもんな。

そういうことを考えたら、番組が楽しくみられなくなってしまった。自分でもネガティブすぎると思ったけれど、つい、画面にチラッと映るコーチや親の表情をうかがってしまう。

#エッセイ #日記 #ライオンのグータッチ


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