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クラフトビールペーパーとは? 新刊『ビールの放課後テイスティングノート』2/19発売 


私が主宰する出版ユニット「ビールの放課後」から、『ビールの放課後テイスティングノート クラフトビールペーパー版』が2/19から発売されます。詳細のご確認、ご購入は下記リンクからできます。

本稿では、おそらく多くの人が初めて聞く「クラフトビールペーパー」について説明します。

クラフトビールペーパーは、クラフトビールの麦芽かすをクラフト紙に混ぜ込んだ再生紙です。より良い風合いを追究し、麦芽かすの配合率は6%になりました。

麦芽かすはその名の通り、もともと麦芽からできています。麦芽は発芽させて麦芽にした大麦などの穀物の粒からできています。麦芽は砕いた後にお湯に浸して粥状にし、酵母が食べてアルコールと二酸化炭素に分解するのに必要な糖の元となるデンプンや、酵母の栄養源であるアミノ酸の元となるタンパク質を得て、麦汁にします。


この麦汁を作るためには、麦芽の粥(マッシュ)から固形物を取り除いて液体だけを得る麦汁ろ過という工程を施す必要があります。ドリップコーヒーを淹れるときを思い出すと分かりやすいと思います。フィルターが固形物と液体を分離し、フィルターの上にコーヒー豆のかすがたまっていきます。ビールでも同様に、スリット状の金属板でマッシュをろ過する際、麦芽の殻(穀皮)などから成る麦芽かすが金属板の上にたまっていきます。この麦芽かすの層そのものもろ過材となり、小さな固形物も捕らえてこしていくのです。

つまり、麦芽かすはこの麦汁ろ過の時点でリサイクルをしていることになります。麦芽かすは従来、廃棄するか、引き取り手があれば飼料にし、最近では液体肥料の原料にする利用も出てきました。紙に混ぜ込んで独特の風合いを持つ用紙として利用するこのクラフトビールペーパーも、新たな価値を生み出しているということで、リサイクルにとどまらない、付加価値を高めた再利用の在り方であるアップサイクルと呼んでいいでしょう。

また、クラフトビールペーパーの基になっているクラフト紙は、強度を落とさないように漂白をしない用紙で、茶色で丈夫なのが特徴です。クラフトビールペーパーには麦芽の風合いもあり、さらに色がやや濃色のビールに通じることから、飲んだビールを日々記録していくノートの表紙としてちょうどいいでしょう。さらに、用紙の中に麦芽の存在感がところどころにあって、1冊ごとに風合いが微妙に違いますから、個性ある小規模メーカーが多数存在するから生み出され続けているクラフトビールにもぴったりです。

一つとして同じでないことは、クラフトブルワーだけでなく、味わい方、このノートのつけ方も同じです。人と違っていいのです。ノートをつけるためにこの表紙に触れるたびに、そのことを思い出していただければ幸いです。


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