見出し画像

出逢い

刀根さんに出逢ったのは、とても寒い休日の朝でした。
それも今年一番冷え込んだ日。

午前8時。
その日は週末に控えたコンサートが気になって、早朝から近所の公園でサックスの練習をしてました。
練習曲は「白鳥」。
そう、サンサーンスさんのやつ。チェロの曲です。
サックスで、チェロの曲をしっとりと吹こうという試みです。

練習を始めてまもなく、すぐ隣のベンチでワンカップを開け始めたじいさん(80歳前後?)がいました。
朝からワンカップです(⌒_⌒;

はじめはあまり気にせず練習をしていたのですが、そのじいさん、次第にハモリだして、いい感じになってきてて、内心やっばいなぁ~と思いながら、それでも集中して練習しました。
(サックスを吹きながら聞こえるのだから、鼻歌って言うより、しっかり歌ってます^^)

吹いているうちに、いつの間にかじいさんの事は気にならなくなってて(じいさんもだまって飲んでました^^)、どうしても上手く感情の乗せられない、終盤のサビに繋げる部分のフレーズを繰り返し繰り返し練習してました。
何度やっても納得いかず、何度も繰り返して。

で、やっと決まった!っと思える音が出た瞬間に、隣から拍手され、
「ブラボー!」
とじいさんから声をかけられました。

じいさんはわかってました。
そこの音出しに苦労してるの。
「それソの音?ソからシ?そこでサビの流れが決まるから難しいでしょ^^」と。
あぜんΣ( ̄□ ̄;)//ェッッ!!?
サックスの音まで当てられた。

そこから話し込んで練習どころではなくなってしまいましたが、刀根と名乗るじいさんは、実は昔、チェロでNHKのオーケストラにいたとか。
当時はあまりお金にならなくて、バイトでライブハウスのコントラバスとかやってるうちに、その道では名が売れだして、秋吉敏子がNYで成功して日本に来た時には一緒に演奏したという。
エリチエミとかタカラダアキラとか当時売れっ子の俳優さん達によくしてもらい、さんざん飲ませてもらったとか。

武勇伝はさておき、それが刀根さんとの出逢いでした。
いつどこでどんな出逢いがあるかもしれません。
出逢えた事に感謝です。

この記事が参加している募集

思い出の曲

この街がすき

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?