「心よさ」のある会社の条件

中川政七商店の全社集会で奈良へ行く。「さんち」というメディアの編集に携わっているご縁だ。(書きたいライターさん、いたら何卒ご連絡ください)

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全国に50を超える店舗を構える中川政七商店グループの本社は、創業地の奈良にある。ぼくが通う東京オフィスもあるのだけど、あくまで枢軸は奈良で、この土地との関わり合いを大切にしている。

携わるようになって、この会社の面白さ、豊かさ、人々の心よさにどんどん惹かれている自分としては、良きタイミングで一度は奈良の本社を訪れてみたかったので、願ってもない機会だった。

東京駅から新幹線に乗り、京都を経由して、近鉄特急で奈良へ。そこからバスに乗って10分ほどで着く。

全社集会後の懇親会で、編集部員にアテンドしてもらいながら、これまで文面や聞くだけの存在だった方々にご挨拶をさせていただく。話しているだけで、みなさんの快さみたいなものを感じる。それは画一的な性格をしているわけではなくて、それぞれが、それぞれのまま、快さをもっているようなのだ。

会社も、社員も、「あり方」を常に大切にしているからなのかもしれないし、もしかすると「中の人」からすれば、たった数分話しただけじゃないかと思うかもしれないけれど、ぼくにとっては充分な体験だった。

社会人になって、いくつかの会社で働かせてもらったり、企業取材などをしながらフリーランスになった身だけれど、やはり心よい会社にはそれなりの理由があるらしい。

大きなものを占めるのは、創業者や経営者の意義あるビジョン設定、それを繰り返し説明できる胆力、それらをまとめて伝える言葉の歯切れ良さが必要なのだろう。

つまり、何のために仕事をするのか、どうやって成し遂げるのか、という「ビジョン」と「あり方」を伝え続け、それに乗ってもらえるように励まなくてはならない。

そして、生まれも育ちも、勉学も恋も、興味や嫌いも異なる人々がまとまるには、その「設定」を受け入れ、自分のものにできる素直さやセンスを持っていることが社員の条件に挙がってくる。

そういう意味では、ほぼ日の「乗組員」という呼び方は素晴らしい例えなんだろう。もちろんこれだけではないにせよ、「会社で仕事をする」というのは、ほんとうにひとことで表せないくらいにグラデーションのあることなのだと、あらためておもう。

さらにいえば、どこにもフィットしない感覚があるならば、すべてを自ら設定できるフリーランスが選択肢にも挙がる。「フリーランスは一人ひとりが経営者である」という惹句は、なにも確定申告のためだけでなく、「ビジョン」と「あり方」を自ら設定できるというのが実は大きいはずなのだ。

帰りは、大阪まで行って、カプセルホテル大東洋に宿泊する。サウナで移動疲れをすっかり落としきる。

そういえば、弟が大阪で働いているのだった。連絡すればよかったなぁ、と思いながら、ぼくの見えないところで奮闘しているであろう姿を想像し、頼りない兄は誇らしい気持ちで仕事をしながら寝落ちする。

#日記 #コラム #エッセイ #働き方

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