新しい恋は、新しい街を知ることでもある

前日のボルダリングにより、上腕部に筋肉痛。一日くらい遅れてくるかと思いきや、しっかり翌日にいらっしゃった。年齢をかさねると痛みが遅くなったりするものだから、からだの素直さに嬉しくもなる。ペットボトルのキャップをあけるのに顔をしかめたりもするけれど……。

恋人と連れたって、高円寺を散策する。ぼくはずっと高円寺駅南口の商店街っていうのはアーケードの部分で終わりだとおもっていたのだけど、いやいや、そこから丸ノ内線の新高円寺駅に抜けていく「ルック商店街」にも面白さがいっぱいあるのだ。古着屋がいくつも並んで、あいまに新しめのカフェや、ふるい中華料理屋も出てくる。恋人の先導でゆっくり歩く。

隣から恋人が「高円寺で活動しているバンドマンを見ると、あの店で洋服買ってそうってわかる」と言ってた。高円寺で暮らして、高円寺で演奏して、もしかしたらアルバイトもしてるのかも。すべてがめぐっていく街、高円寺。やわらかく抱きしめられるような居心地の良さよ。

これは一種の破滅願望かもしれないけれど、ぼくもどこかの地方から上京して、昂りきった自意識を持て余しながら、高円寺で暮らしていたらどうなっただろうと妄想することがある。性格も何もかもぜんぜん違いそうだし、ぼくは決して大成することもなく、沈んでいたような気がする。高円寺の魔力に引きずられて。

でも、観光客として歩くなら、この居心地の良さは、すごく愛おしい感じがある。試しに1週間くらい住んでみたい。そういう「街の短期留学」みたいなことをすると、話のネタも広まるし、経験としても豊かかもしれない。無為だったとしても、豊かな無駄なんじゃないかしら。

新しい恋は、新しい街を知ることでもある。あらゆる街が好きなぼくにとって、それも恋の効用のひとつなんだとおもう。

#日記 #エッセイ #コラム #恋愛

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