カレイのたまご、多くするか?少なくするか?

水曜日のこと。あまり記憶がない。たった2日前のことなのに「恋人と夜中に交わしたLINEおもしろかったなー」と見返したら月曜日だったし、あの飲み会は熱かったなぁと思い出したのも火曜日だ。

水曜日が悪いんじゃなくて、ぼくがまさに確定申告という名の強敵に「忙殺」されているせいだろう。ぼくは水曜日を愛している。気持ちが軽くなるし、眠るときにちょっとだけ週末の気分に差し掛かっていくようで。

記憶がうすいので、火曜日の飲み会で訪れたすてきなお店でのことを書く。女将がひとりで取り仕切るコの字カウンターのお店で、佇まいも、女将の雰囲気もとてもよいところだった。

最近あんまり食べてなかったなぁと思いながら、おつまみに「カレイの煮付け」を頼む。カウンターのうえの大皿にたっぷりあって、目を惹かれていたのだ。

すると、女将がひとこと。

「カレイの煮付け、たまごは多いほうがいい?少ないほうがすき?」

と聞いてくれた。ぼくは、そんなことをお店で聞かれたことはないし、もちろん自宅でも意識したことなかったけれど、とっさに「多いほう!」と答えた。手元のお品書きに日本酒の文字も見えていたから。

女将は意を得たりと、はーい、と返事をしてカレイを温めなおしにかかった。カレイのたまごの量を選ばせてくれるなんて、たいしたことではないかもしれないけれど、お値段以上の喜びみたいなものがじわっと湧いてきて嬉しくなった。それだけでこの店と女将を好きになるにはじゅうぶんだった。

味もよく、酒が進んだ。紹介してくれた方が「自宅に帰る途中にこの店があって、仕事が遅くにかかったときなんかに、つい寄ってしまう」と話していて、その姿も眼に浮かぶようだし、もしぼくが似た境遇だったとしたら、きっとそうするだろうとおもう。

そうだ、水曜日のこと。ひとつ決断をして、受け入れてもらえる。春からやることが少しだけ変わる。勝手な願い出を理解してくれたことには感謝しかない。お花見のお誘いが、届き始めました。

#日記 #エッセイ #コラム

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