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【インテリアコーディネーター】名作椅子の世界-vol.3 パイミオチェア-

以前の記事で富山県美術館の「20世紀の椅子コレクション」を紹介しました。

今回は私が実際に訪れて見た名作椅子の中から、インテリアコーディネーター試験に頻出の椅子を紹介したいと思います。

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名作椅子vol.3 パイミオチェア

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【試験の暗記ポイント】
作品名:パイミオチェア
デザイナー:アルバー・アアルト
年代:スカンジナビアン・モダン(1932)
特徴:成形合板

スカンジナビアン・モダンは自然素材の温かみや職人の手のぬくもりが感じられる独自のスタイルが特徴。シンプルで洗練されたデザイン。

インテリアコーディネーター試験ではデザイナーズチェアはイラストで出題されます。私は下のイラストを見て勉強したのですが、最初はあまり素材のイメージができませんでした。でも実際に自分の目で見たとき、パイミオチェアの成形合板のカーブがとても綺麗で。木でこんなものが作れるんだ!という衝撃。
座面はツルツルして滑りそうに見えますが、きっと座るとしなって座り心地は良いのでしょうね。木で作られているとは思えません。
逆にフレームは木の色そのもので、座面のブラックとの相性がいいですね!温かみも感じられますし。

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正しい解説をどうぞ

フィンランドの巨匠アルヴァ・アアルトがデザインをしたパイミオチェアは合板を使った椅子の先駆けともなる存在です。
今までの木製椅子のイメージを一新した軽やかで革新的なデザインは、後の椅子のデザインに多くの影響を与えました。

パイミオチェア(Arm Chair41)は1932年にデザインされました。きっかけは1928年にアアルトがパイミオ市が主催した結核診療所(サナトリウム)の建築コンペを勝ち取ったことからデザインされることになります。

パイミオのサナトリウムでは建築だけでなく内装も手掛けることになったアアルトは、当初家具のデザインとしてスチールパイプを曲げたデザインを採用することを考えていました。バウハウスの影響です。マルセル・ブロイヤーのようなパイプを曲げたデザインですね。

しかし、スチールの冷たい印象が病人にとっては心象が良くないと判断をし、温かみのある素材としてバーチ材を選択しながらもスチールパイプで構想していたような流れるようなフレームのデザインを実現させました。

木を薄くスライスして木目を揃えて成形して合板にすることで、強度が高いながらもカーヴがきれいな成形合板を作り上げました。この技術により軽やかながら頑丈な椅子を作ることが出来るようになりました。この椅子のデザインと製法は伝統的な”そり”から着想を得たそうです。

そうして出来上がったパイミオチェアはクッションが無いながらも、座ると弾力を感じることで木材で作ったかつての椅子とは別次元の座り心地が評判ともなりました。

合板の椅子自体はアアルト以前から存在しますし、アアルト自身もパイミオチェアの数年前からデザインはしていました。
このパイミオチェアのしなやかなデザインはアアルトの独自性が発揮されており、後の合板で作る椅子のデザインに大きな影響を与えました。

過去も現在もアアルト夫妻が自分たちの家具を販売するために設立したアルテック社により正規品が製造販売されています。

出典「名作家具とデザインの話」

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どうでしたか?
皆さまもお好きな椅子を見つけてみてはいかがでしょうか。




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