#78 てっぺんウルフ

孤独だ。
誇張ではなく。
言うなれば孤鳥だ。


「てっぺんウルフ」の歌詞を書きながら、思いのほか自分の厭世観が表現出来ているような気がしてハシビロコウは新鮮な気持ちになった。


相変わらず小難しく、わかりにくい表現のオンパレードだったが、ワンフレーズワンフレーズが気持ちよくハマっている感覚が気持ち良かった。


元々のメロディに歌詞がハマらない場合は歌詞に合わせてメロディを微調整して良い、と作曲者の落花盛に許可をもらっていたので遠慮なくアレンジさせてもらった。

サビのフレーズに乗せる歌詞が最後になった。

ハシビロコウは自分で絞り出しておきながら大いに驚いた。



いつでもてっぺんを目指すオオカミのように
僕らはてっぺんを目指すオオカミのように



孤鳥の自分にとって、「僕ら」という表現は似つかわしくない。なんとなく気恥ずかしい気持ちになった。



でも結局、このままいくことにした。孤鳥には似合わないが、この曲には似合っている。それに、バンドの曲として、とても似合っていると思ったのだ。


曲のタイトルは「ボーントゥービーワイルド」でおなじみ、「ステッペンウルフ」からもってきている。


メンバーであるハニワにはじめて見せたとき、「ワイルドでいこう、ってか。」と、触れてもらったっきり、誰にも気づいてもらえずハシビロコウは寂しい気持ちになった。



「車上アラシ」と「頼まれごとのアラシ」という韻が浮かんだときは、自分史上最高のフックだと思っていたが、今のところメンバーすら「韻を踏んでいる」ということには気づいていないようだ。

ちょっと恥ずかしい。



ハシビロコウバンド物語
「第78話 てっぺんウルフ」

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