ハシビロコウバンド物語

ミニチュア連載「ハシビロコウバンド物語」です。ロックバンドとその活動を愛してやまないオ…

ハシビロコウバンド物語

ミニチュア連載「ハシビロコウバンド物語」です。ロックバンドとその活動を愛してやまないオジキの、半分ノンフィクションストーリー。 YouTubeで「ハシビロコウバンド」の楽曲MVも公開中です。

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#00 物語紹介、キャラ紹介、著者自己紹介、など

---物語について--- 架空のバンド活動記です。大半のエピソードが実話に基づいています。 著者は長らくバンドや個人で演奏したり創作したりの活動をしていたので、そのあたりの体験談をふんだんに盛り込んでます。 ---キャラ紹介--- ◆ハシビロコウ 主人公。頭でっかちでいつもスネている。 自分だけが真剣にバンド活動をしている、という自意識に溺れている。 ◆落花盛 明るく社交的、好奇心旺盛なムードメーカー。 自己肯定感の塊。楽器はオールマイティー。マルチプレイヤーと自称す

    • #83 かわいた風をからませ あなたを連れてくのさ

      インディーズシーンで暗躍するサポート専門のコーラスグループ『浮輪鈴女(うきわすずめ)』のメンバーと楽しくZOOM飲み会していたハシビロコウバンドの面々。 宴もたけなわ、続々とミーティングから退出するメンバーに出遅れたハニワを、同じく退出し遅れたかに見えた浮輪鈴女が呼び止めた。 がしかし、画面に現れたその鈴女(すずめ)は、さきほどまでzoom飲み会に参加していたおなじみのレッドとオレンジではなく、見慣れないピンクの浮輪をまとった、尾羽の切れ上がった小粋な鈴女だった。 「バ

      • #82 うぉううぉう 愛を、ください zoom

        コロナ第八波の真っ只中、落花盛の提案で浮輪鈴女(うきわすずめ)達とのzoom飲み会が実施された事があった。 浮ついた宴席全般に消極的なハニワは、このzoom飲み会のアイデア自体になんとなく気乗りがしなかった。 ハシビロコウはメンバー3人だけで今後のバンドの方向性についてzoomミーティングを、と食い下がったが、ハニワはそっちの方がゴメンこうむりたかったので、渋々落花盛の提案を飲み、お付き合いすることにした。 やれやれだ。 というわけではじまったzoom飲み会。 蓋を

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          #81 ハイボルテージ・アンバランス

          ハシビロコウバンドは久々に新曲を公開した。 原型となる曲は、アレンジがイマイチしっくりきてない、という理由で随分前にお蔵入りになっていた。 コロナ禍に一人でいる時間が増え、暇を持て余したハニワが遊び半分で繋いでいたループに合わせて落花盛が構成を練り直して完成に至ったのだった。 冒頭から最後まで要所要所に配置されたジェームスブラウンのシャウトのサンプリングがハイボルテージな雰囲気にピッタリでハニワは気に入っていた。 UKロックに傾倒しているハシビロコウにとって、ジェームスブラウンのサンプリングはあんまりピンとくる存在では無かったため、最初はこのアイデアを採用するのを躊躇っていたが、「立花ハジメもソロで使ってたよ。」とハニワに言われてそれならと受け入れた。 孤高の存在、立花ハジメには敬意を払っているのだ。 早々にお蔵入りになったこともあり、歌詞はほとんど書き直しになったが、気に入っている。 ハイテンション、ではなくてハイボルテージ、としたところがハシビロコウのこだわりだった。 「なるほど、アンバランスにつながるからね。電気信号にかけてるのか。さーすが。」 と、ハニワに褒められ、「う、うん。」とは言ったものの、言葉の響きだけで歌詞を書いていたハシビロコウ、ハニワが言っている事の意味がわからなかった。 自分の意図せぬところで褒められているのがなんとなく居心地悪く、かと言って「どういう意味?」なんて聞いたらせっかく褒められた事も帳消しになるような気がして結局何も言葉を繋げられずに中途半端な半笑いで頬を引きつらせたまま表情を固まらせてしまったハシビロコウなのであった。 …to be continued. ハシビロコウバンド物語 「第81話 ハイボルテージ・アンバランス」

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        #00 物語紹介、キャラ紹介、著者自己紹介、など

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          #80 バイバイ

          ある日、何の前触れもなく、ピンクペリカンがハシビロコウバンドの面々に一遍の歌詞を手渡した。 「引き受けてくれちゃうよネェ?」 そう言って去っていったピンクペリカンの背中に、何やら意味深なものを感じたハニワと落花盛。 特に、旧知の仲であるハニワにとってその歌詞は、ピンクペリカンの持つ哀愁の源流を感じさせるものだった。 ハニワの勘違いでなければ。 古いアドレス帳に残る、手書きの名前と電話番号。 今はどこでどうしてるのかわからない。 けど、まるで昨日の事のように思い起こされる、遠い日を共に過ごした仲間たち。 忘れられない人や出来事はそれでも、少しずつ少しずつ少なくなっていく。 きっと最後まで残るであろういくつかのメモリーについて、ピンクペリカンは言葉にしてみたのだろう。 いささか感傷的ではあったけど、それでも伝わってくるものがあって、落花盛はメロディーをつけてみることにした。 ハニワがそれを手伝って、スイスイとカタチにした。 カタチにした後でハニワは思った。 「作っちゃったけど、これってハシビロコウバンドの曲でいいのかな?」 落花盛は言う。 「いいんじゃない?ピンペリさんが書いたのは歌詞であって、楽曲にしたのはバンドなんだから。」 腑に落ちるようなそうでもないような。。。 大抵こういうところにこだわるのはハシビロコウなのだが、今回の曲は落花盛がギターのリフまでキメてきてくれたのでやりやすく、明るい曲調にハシビロコウもギターとコーラスで活躍出来てご満悦だった。 まあ、丸く収まってるのならいいか、と、ハニワも気にしないことにした。 ハシビロコウバンド物語 「第80話 バイバイ」

          #79 泣いてばかりいちゃNo-No Baby

          2023/10/29(日) SME(サル・ミュージックエンターテインメント)の代表取締役社長のサルに誘われて、ピンクペリカンは「RED ROCKS」というライブイベントを観に行くことになった。 サルはピンクペリカンが知る業界人(猿)の中で最もメジャーな人脈(猿脈)を持っていそうな存在なので、ピンクペリカンは、サルからのお誘いがあったら絶対に断らない、と決めている。 たとえそれが、まるで興味のない事柄であったとしても。 今回のお誘いはしかし、ピンクペリカンにとっては関心

          #79 泣いてばかりいちゃNo-No Baby

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          #78 てっぺんウルフ

          孤独だ。 誇張ではなく。 言うなれば孤鳥だ。 「てっぺんウルフ」の歌詞を書きながら、思いのほか自分の厭世観が表現出来ているような気がしてハシビロコウは新鮮な気持ちになった。 相変わらず小難しく、わかりにくい表現のオンパレードだったが、ワンフレーズワンフレーズが気持ちよくハマっている感覚が気持ち良かった。 元々のメロディに歌詞がハマらない場合は歌詞に合わせてメロディを微調整して良い、と作曲者の落花盛に許可をもらっていたので遠慮なくアレンジさせてもらった。 サビのフレーズに乗せる歌詞が最後になった。 ハシビロコウは自分で絞り出しておきながら大いに驚いた。 いつでもてっぺんを目指すオオカミのように 僕らはてっぺんを目指すオオカミのように 孤鳥の自分にとって、「僕ら」という表現は似つかわしくない。なんとなく気恥ずかしい気持ちになった。 でも結局、このままいくことにした。孤鳥には似合わないが、この曲には似合っている。それに、バンドの曲として、とても似合っていると思ったのだ。 曲のタイトルは「ボーントゥービーワイルド」でおなじみ、「ステッペンウルフ」からもってきている。 メンバーであるハニワにはじめて見せたとき、「ワイルドでいこう、ってか。」と、触れてもらったっきり、誰にも気づいてもらえずハシビロコウは寂しい気持ちになった。 「車上アラシ」と「頼まれごとのアラシ」という韻が浮かんだときは、自分史上最高のフックだと思っていたが、今のところメンバーすら「韻を踏んでいる」ということには気づいていないようだ。 ちょっと恥ずかしい。 ハシビロコウバンド物語 「第78話 てっぺんウルフ」

          #78 てっぺんウルフ

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          #77 町内会はダンステリア

          地域の民生委員を長年引き受けているママビロコウにとって、町内会の催しは絶好のダンステリア。 ウエストサイドストーリーよろしく、ステップ軽やか挨拶回り。 パパビロコウは記録係として毎度こういった機会に駆り出されるものの、自慢のアナログアンティークギア達を見せびらかすまたとない機会とあってこれはこれでまんざらでもない。 「VHS!まだ使えるんですか わー懐かしいなあー」 なんて、、近所の手持ち無沙汰な中年男性達に瞬く間に囲まれる。 「あぁ、まあ、、、今はみんなデジタルだけ

          #77 町内会はダンステリア

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          #76 近づかなくっちゃかなわない

          ハシビロコウは顔に似合わず寂しがり屋だった。 孤独を好む寂しがり屋は、いつの時代も敬遠されガチ。 突然思い立って、相手の気持ちも考えず、人に甘えようとするからだ。 でも、他にどーすればいいのだ。 と、ハシビロコウはいつも悩んでいる。 ソーシャルディスタンスにかこつけて、いつも悩んでいることを歌詞にしたためた。 落花盛が手グセのようにギターで弾いていたコード進行。 あわせて口ずさんでいたメロディーに上手くハマって、「近づかなくっちゃかなわない」という曲が出来た。 ハニワも満足気だ。あんまし打ち込みのパートも多くなく、すんなり仕上がったからだ。 ハニワは音数が増えるのを嫌うし、気分次第で突拍子もないアイデアを出されるのも嫌った。 ただ、ハシビロコウのギターストロークへのこだわりには毎度辟易させられている。 「どっちがいいかな?」と聞かれるたび、面倒くさいので最初に聞かせてくる方を選ぶようにしている。 最初に聴かせてくる方に賛成して欲しいだけなのだ。 「ミックスしたらそんなニュアンスまでは残らないけどなあ」とも思うが、ハシビロコウの中ではこうでなきゃ、ってこだわりがあるんだろう。 なら悩むなよ、とも思うけど。 ただ、今回はテイクを重ね過ぎだ。 一度説教してやんなきゃ気がすまない。 練習してこいや、と思う。 でも、前回もそう思って結局言わなかった。 大抵の事は、言わない方が良いんだよな。 …to be continued. ハシビロコウバンド物語 「第七十六話 近づかなくっちゃかなわない」 初出 2022.3.3

          #76 近づかなくっちゃかなわない

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          #75 ビギンザビガン

          浮輪鈴女(うきわすずめ)達の、ホッペふっくらスキンケア施術体験を受けるのは2回目だ。 本来であれば施術体験は本契約した後の特典であるはずなのだが。。。。。 前回は体験分として扱えるものなのであろうがしかし、今回は単にサービスでやってくれているのか、はたまた恩着せ商法の一環なのか…。 期待以上の効果を実感しているのは間違いない。 割賦払い契約書へのサインは目の前か、、、悩むハシビロコウ。 今日は、前回持ち帰った契約書類の内、重要事項説明書に記載されている項目に数か所疑問

          #74 ドライフルーツがしんなりする前に 

          いつもの河原で軽く新年の挨拶、くらいに思ってたら案外しっかりセッティングしてもらっちゃってなんだかかたじけない限りのハシビロコウ。 バンドメンバーの落花盛はこんな時とっても頼りになる仕切り上手のお調子者だ。 ハシビロコウは結局全部お任せしてしまう。 小洒落た立ち振る舞いも心地良い浮輪鈴女(うきわすずめ)達を前に、未だ堅苦しさを解けきれないでいるハシビロコウもほろ酔い気分。 それにしても世の中すっかり変わってしまった。 元々ほとんど友達がいないハシビロコウだったが、細

          #74 ドライフルーツがしんなりする前に 

          #73 タバコの匂いのシャツにそっと寄り添うから

          ニャンコがたまに店番を頼まれるタバコ屋さんには、ミュートンが来ます。 よく喋りよく笑う、気さくなイイヤツ、って感じです。 ニャンコは好意を持っています。 ミュートンは、先輩ミュージシャンのハニワさんという方のおつかいでタバコを買いに来ているそうです。 「先輩って言っても、そんなに年齢変わんないんすけどねー!まあでもカタチだけでもなんとなく、上下関係って事にしとく方が、何かとお互いやりやすいっちゅーかなんちゅーか。ま、そんな感じッス!!」 あっけらかんと話す内容が、案外

          #73 タバコの匂いのシャツにそっと寄り添うから

          #72 おまんら、許さんぜよ

          「30日間続けてはじめて効果実感ってモノだからね。でもすぐ実感出来るって場合もあるみたい♪今なら初回特典色々ついてくるからオスズメだよー。」 浮輪鈴女(うきわすずめ)達に「ホッペふっくら美顔器セット」をおスズメされているハシビロコウ。 7日間のお試し期間は明日からカウントってことで構わない、と言われ、ちょっとお得感を感じて購買意欲をくすぐられてしまっていた。 なぜこんな事になったのか…ハシビロコウは覚えていなかった。 酔い覚ましに宴席を離れ、ウトウトしていたところまで

          #72 おまんら、許さんぜよ

          #71 秋空の下のディスタンス

          「なるほどドラムが音源出しだから8チュンネルか。経済的でイイね。」 手際よく作業が進む。 サポートコーラスだけじゃなくて、PAとかローディー的なことなんかも出来るのか… ハシビロコウ達はにわかに感心した。 グループ単体では絶対に活動しないという、サポート専門のコーラスグループ『浮輪鈴女(うきわすずめ)』が、このご時世に『サマーチュニック』という大型フェスをオーガナイズして大成功をおさめたのは有名な話。 インディーズ界隈では異例の逸話、いわゆる武勇伝であった。 ハシ

          #71 秋空の下のディスタンス

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          #70 からっぽのロシアンルーレット

          穏やかな午後の日差しが、理性を狂わせる事がある。 震えながら、じっと夜を待っている。 いつ終わるとも知れない、不安と苦悩の日々が過ぎ去ってくれるのを、息を殺してただじっと待っている。 今も誰かがどこかで、爆発しそうな気持ちを抱えている。 皆、とっくに弾を撃ち尽くした、からっぽのロシアンルーレットの引き金を引き続けているのだ。 ハシビロコウはそんな気持ちを歌詞にした。 共感してくれる人が、たくさんいると思った。 落花盛が、ずいぶんかかってメロディーをつけてくれた。 でも、この歌詞が出来たきっかけは、気性が激しいママビロコウのいつものマシンガントークの最後を飾る、定番のシメのフレーズ。 「毎日ロシアンルーレットよ!」 子供の頃から何度となく耳にしたこのフレーズが、想像と創造の扉を開けたのだ。 単純に、いつキレるかわかんない自分、ってのを表現したフレーズなんだろう。 サンキュー、ママビロコウ。 BGMはスパイスガールズの「MAMA」でキマリだ。 …to be continued ハシビロコウバンド物語 「第七十話 からっぽのロシアンルーレット」 初出 2021.10.29

          #70 からっぽのロシアンルーレット

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          #69 いあわせるねこ

          今回はじめて選挙のお手伝いのバイトをしているニャンコ。 少し前までとっても世間知らずでした。 実はこのバイトをするまで、投票日以外に投票出来る制度「不在者投票」を知りませんでした。 ひとつ大人になった気分。 それから、選挙について学ぶうち、現在のこの国の投票率の低さにも驚きました。 全有権者の、半分以上の人が投票しません。 でも今回は自分が関わった(お手伝いした)選挙だから、投票率が上がればイイな、と思っています。 ニャンコは本当は知っています。 選挙に関わっ

          #69 いあわせるねこ