#71 秋空の下のディスタンス
「なるほどドラムが音源出しだから8チュンネルか。経済的でイイね。」
手際よく作業が進む。
サポートコーラスだけじゃなくて、PAとかローディー的なことなんかも出来るのか…
ハシビロコウ達はにわかに感心した。
グループ単体では絶対に活動しないという、サポート専門のコーラスグループ『浮輪鈴女(うきわすずめ)』が、このご時世に『サマーチュニック』という大型フェスをオーガナイズして大成功をおさめたのは有名な話。
インディーズ界隈では異例の逸話、いわゆる武勇伝であった。
ハシビロコウの意志とは無関係に、半ば自動更新的に続く飲み会の終盤で、話の流れからそのイベント運営の極意とノウハウとアティチュード(アティチュンド)を教えてもらえることになった。
ハシビロコウバンドのメンバーはそれぞれ、酔いもそこそこ、ツアーバスから機材を下ろしてセッティング。
ハシビロコウは、自分の妙なこだわりを捨てようと思った。
悪い癖だよ。
浮輪鈴女たちの事、正直あんましよく思ってなかったけど、、、意固地になってちゃダメだ。
気のイイやつらだよね。
こうして、サポートされたりする事も、決して悪い事じゃないじゃない。
変わっていくの、恐れてちゃダメだよね。
前進していくことって、きっと、受け入れていくことだよ。
そんなこんなでとりあえず3人で「メリーアン」を演奏してみる。
浮輪鈴女たちもサポートでコーラスを入れてくれた。
Won't you stay for me~~
…to be continued
ハシビロコウバンド物語
「第七十一話 秋空の下のディスタンス」
初出 2021.11.15
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