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知的財産権、知っていますか?

 近年、生成AIの登場によって人が頭で考えたアイデア(知的財産)との境界が曖昧になり、知的財産権(以下:知財)を取り巻く環境は複雑化しています。今年の4月にはドラマ史上初と言われる「弁理士=知財専門の理系弁護士」をテーマとしたドラマが放映されました。つまり、知財に関する世間の興味関心は膨らんでいるのです!

 私達のような製造業でも自社製品を開発している・していないに関わらず、知財と非常に深い関わりがあります。なぜなら、加工指示の基となる図面には特許・意匠・著作権などの知財が関わっているからです。

「何となく特許ぐらいは知っているけど…詳しくは知らない」という方も多いと思います。そこで今回は、知財の基本を簡単にご紹介します!


知財の種類と権利期間

まず、知的財産権の中でも大きなウェイトを占める産業財産権4つをご紹介します。

・特許権(20年)

 特許は産業で利用できる発明に対して与えられる権利で、発明の独占使用が認められます。しかし、出願すれば永久的に権利を独占できるわけではなく、技術の発展を阻害しないために最長20年という期間が定められています。

・実用新案権(10年)

 実用新案はモノの形状や組み合わせに与えられる権利で、小発明がこれにあたります。特許と同じく一定期間は権利を独占できますが、特許出願ほど手間も費用も掛かりません。しかし、実用新案は権利行使が難しく、却って自分が損害賠償を支払うことになるリスクも存在します。(詳細は長くなるため省きます)

・意匠権(25年)

 意匠は革新的なデザインに対する権利で、あらゆるモノに適用できます。美しいデザインは産業でも有利になるため、権利が守られるのです。

・商標権(半永久的)

 商標は会社や組織、商品のロゴやネーミングのことで、ブランドとして顧客から選んでもらうための大切な役割を担っています。商標がマネされてしまうと、様々な不都合が生じることは歴然ですよね。商標権は登録日から10年で終了しますが、更新登録すれば10年の期間を何度でも設定することができます。すなわち、半永久的に守ることができるのです!


 ここまで紹介した4つの権利は「特許庁」が管轄しています。では著作権はというと、実は「文化庁」が管轄しています。なぜなら、産業財産権ではないためです。

・著作権

 著作権とは、作者の考えや感情が表現された文芸・学術・美術・音楽などの創作物に対して与えられる権利です。著作権は産業財産権のように出願する必要はなく、創作された時点で自動的に与えられ、著作者の死後70年間は保護されます。なんと、子どもが描いた落書きも著作権の対象です!

ところで、「®、™、©」の意味を知っていますか?

 商品の名前の近くに®や™、©が付いていることは皆さんもご存知だと思います。これらには、しっかりと意味があるのです!

 上記の3つの記号は一見すると「知財に関する何らかの出願がされている」と思うかもしれませんが、この3つの中で出願が必要となるのはRマークだけなのです!逆に言えば、TMや©は出願不要で記載することができます。

 Rマークは先ほどご紹介した「商標権」に登録されている商品のみ付けることができます。ではTMはというと、登録商標以外の商標にもつけることができるマークです。商標とは「商品の目印」という意味であり、TMは自由に使うことができます。一般的には商標登録の出願中や、付けているとカッコよく見えるからということが多いようです。

 ©のコピーライトは著作権表示であり、万国共通で使うことができる記号です。日本の法律では創作の時点で著作権が発生するため、©を付けていなくても問題ありませんが、第三者に対する牽制という意味を込めて使われていることが多いようです。

 予定では1回の投稿で知財に関する大まかな紹介をしようと思っていましたが、書いてみるとボリュームが多い!!出願や弁理士については続編でご紹介します!


【おまけ:知財のインターンシップやってます】

 ご覧いただきありがとうございました♪

 実は知財に関する社内の取り組みとしてここ数年、地元の大学で知財を学ぶ学生を対象とした知財のインターンシップを夏に行っています!社長から知財に関する課題が出され、各自調査をしながら最終日に発表を行うものです。

 テーマの内容は超高齢化社会やパーソナルモビリティなど、社会課題解決がメインとなっています。車いす製造を行うメーカーだからこそ、リアルな現場で考えることができます。

これからも産官学連携で浜松を盛り上げていきましょう!!


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