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こんなときどうする?「インボイス対応の領収書が貰えない時」

「おばちゃん、お好み焼き本当に美味しかったよ。また来るね。」
「ありがと、またお願いね。はい、レシート。」
「あれ、インボイスの番号書かれてないよ。」
「なんだいそりゃ、ウチみたいな小さい店は昔からこのレシートだよ」
「・・・」

とあるお好み焼き屋さんでの一幕です。 飲食店でインボイス対応の領収書が貰えないとき、どうすればいいのでしょうか?
シリーズ「犬も歩けば税に当たるー経営者なら一度は悩むことー」では、日常で疑問に感じつつスルーしがちな税のアレコレを解説します。


質問1:経費計上できるのか

インボイス対応の領収書関連の質問で多いのが「インボイス番号書かれていない領収書でも経費にできるのか」です。実はこの中には2つの質問が混ざっています。
質問1:経費計上できるのか
質問2:仕入税額控除ができるのか
この章では前者について解説します。

最初から結論ですが「経費計上できます」。
飲食代は接待交際費や打合せ費として経費計上が可能です。今回のテーマは飲食代ですが、日常生活のどんな支出でも経費計上できるかというと、そうでない点は注意してくださいね。経費計上の考え方については、別の記事で詳しく紹介しています。

質問2:仕入税額控除ができるのか

経費計上できることと、仕入税額控除ができることは別物です。
消費税の仕組みは、売り手が消費者から受け取った消費税額のうち、仕入先に支払った消費税額を差し引いた金額を収めるというもの。これが「仕入税額控除」です。

そしてこの質問に対する結論は「仕入税額控除はできない」です。
お好み焼き屋さんが適格請求書発行事業者(インボイス登録番号を発行できる事業者)として登録していない場合、仕入控除を受けることはできません。従ってあなたの消費税納税額は大きくなります。

仕入税額控除をしたい事業者にとって、インボイス登録番号を発行できない事業者は納税額を引き上げるので利用しづらくなります。お好み焼き屋さんのおばちゃんは、インボイス制度に対応するか、このまま仕入税額控除を必要としない会社員や学生などを対象にこのままで行くのか、決め時でしょうね。

適格請求書が無くても、条件付きで仕入税額控除できる特例がある

先ほど「仕入税額控除はできない」と書きましたが、実はこれから紹介する「少額特例」を利用すれば仕入税額控除ができます。

少額特例とは、課税売上高が1億円以下の事業者が利用できる制度です。また対象となる仕入は税込1万円以下に限定されています。お好み焼き屋さんにおける一般的な飲食費であれば対象になるでしょう。この制度を活用すれば、適格請求書がなくても、帳簿に必要事項を記載して保管すれば仕入税額控除を受けることができます。仕入先が適格請求書発行事業者でなくても適用することができ、期間は2029年9月末までとなっています。

便利な制度ですが、利用するには条件があるのと、あくまで期限付きの特例であることは理解しておく必要があります。

適格請求書が無くても、一定割合を仕入税額控除できる経過措置がある

適格請求書発行事業者でない事業者に支払った消費税は、本来は仕入税額控除できません。しかしインボイス制度は大きな税制改正なので、緩和措置として大きく2つの緩和措置が設けられています。1つ目は先ほど紹介した少額特例制度、2つめがこれから紹介する経過措置です。

インボイス対応していない請求書や領収書であったとしても、支払った消費税のうち一定割合の金額を仕入税額控除することができる措置です。期間によって割合が違います。
2023年10月1日~2026年9月30日:仕入税額の80%
2026年10月1日~2029年9月30日:仕入税額の50%

これもあくまで経過措置なので一時的なものです。経過措置を当てにして仕入先にインボイス非対応を許していると、経過措置期間終了後に一気に納税額が大きくなるので注意が必要です。

結論!

お好み焼き屋さんからインボイス制度に非対応な領収書を受け取ったとき、経費計上はできますが、仕入税額控除は受けられません。ただし、2029年9月末までは少額特例または経過措置を活用すれば、仕入税額控除を受けることが可能です(控除できる金額は売上高や飲食費によって変わる)。

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