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だからこそ少なくとも私自身に関しては時間について思考せねばならないのであろう。過去・現在・未来という3つの時間性が通常の序列を失い、過去が抜け落ち、現在も零れ落ちつつ、未来だけが唯一、到来するであろうものとして現前しては過ぎゆく者にとって、かつて見たはずの甘美な夢も、また、遠い。

仮にそれらが夢であり、そしてもう通り過ぎてきてしまったものであるのだとしても、確かに私もそうした「約束の瞬間」を知っていたし、思えば人生とは、そんな約束の連続であったのかもしれない。たとえそれらがすでに過去と呼ぶべきであったとしても、甘美な夢の如き人生を生きたことに変わりはない。