僕と彼女

ひとなつの

「これから幾年かたったあとで ふと、あなたがその名を読むとするならば そのとき、私を、死せるものとして数えてください 私の心は、このアルバムの中に埋められているのです」
 ジョージ・ゴードン・バイロン「モオルタ島で、ある記念簿に」『ハロルドの巡礼』

 時代最後の季節よりも次の時代で初めて経験する季節の方を忘れがたく切なく思うのは、かつて置き忘れてきて消えることのない思い出に浸ってしまうからだろう

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事実恋愛

都会において夜空が赤く染まる事があるのは、地上に明かりが有り過ぎるからだ、なんて事を何処かで聞いた事がある。僕はどろりと滲み出すようなあの黒赤色が好きではなかった。子供の戯言のように聞こえるかもしれないが、あれを見ていると、まるで世界が終わるかのように感じてしまうからだ。終わってしまう事は何よりも怖い。だから、僕はそれがどんな形であっても続いていく事を望んでしまうところがあるのかもしれない。

 

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