“kakkoii”の誕生ーー世紀末ボーイズトイ列伝 番外編『トイ・ストーリー4』(1)パラダイス・ロスト・オブ・ザ・カウボーイ

デザイナーの池田明季哉さんによる連載『"kakkoii"の誕生ーー世紀末ボーイズトイ列伝』の番外編として、現在公開中の映画『トイ・ストーリー4』を論じます。1995年の第一作目以降、本作の〈男性性の美学〉は少しずつ形を変え、多様な価値観を包括するようになりました。トイ・ストーリーシリーズの24年間の主題の変遷を改めて振り返ります。
※注意:本記事には『トイ・ストーリー4』のネタバレが含まれています

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池田明季哉 “kakkoii”の誕生──世紀末ボーイズトイ列伝 第三章 ビーダマン(2)「炎の魔神」がビー玉に宿した魂

デザイナーの池田明季哉さんによる連載『"kakkoii"の誕生ーー世紀末ボーイズトイ列伝』。『スーパービーダマン』シリーズは、シリーズを重ねるごとにビーダマンに人格が付与され、『爆外伝』において完全なキャラクターとなりますが、同時に、物語からは人間が撤退します。そしてビーダマンは、鎧と人と機械の中間的存在から、それらの境界が完全に融解した存在へと深化します。

『爆球連発!!スーパービーダマン』(

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池田明季哉 “kakkoii”の誕生──世紀末ボーイズトイ列伝 第三章 ビーダマン(1)スナイパーが殺し屋にならなかった理由

デザイナーの池田明季哉さんによる連載『"kakkoii"の誕生ーー世紀末ボーイズトイ列伝』。今回は1993年にタカラ社より発売された「ビーダマン」を取り上げます。ボンバーマンのデザインをベースに、〈銃器〉を暗喩するような機能的進化を遂げた同玩具は、コミックス版において、ある種の倫理性を提示するに至ります。

本稿では、1984年のトランスフォーマーが、アメリカ市場を睨んだ再ブランディングに際して「

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“kakkoii”の誕生──世紀末ボーイズトイ列伝 第二章 ミニ四駆(5)「マグナムに叫ぶようにアレクサを呼ぶ」

デザイナーの池田明季哉さんによる連載『"kakkoii"の誕生ーー世紀末ボーイズトイ列伝』。自動運転車は、なぜ「カッコいいもの」として社会に受け入れられないのか。マシンを手動で操作したい欲望と、AIによる自動運転技術。未来の自動車が抱える矛盾と、それを乗り越える想像力を、ミニ四駆に宿る物語性から考えます。

「かっこいい」自動運転車は可能か?

工業技術によって身体を拡張することで、主体と社会を短

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新しい男性性の探求。

ミニ四駆のファンコミュニティはボトムアップによる理想の成熟を実現したものの、自己目的化した結果社会に作用しなくなってしまう。

そのスポーツマンシップを社会に再接続するには?

http://sp.ch.nicovideo.jp/wakusei2nd/blomaga/ar1692410

“kakkoii”の誕生──世紀末ボーイズトイ列伝 第二章 ミニ四駆(4)「もうひとりのディカプリオ、もうひとつのプリウス」

デザイナーの池田明季哉さんによる連載『"kakkoii"の誕生ーー世紀末ボーイズトイ列伝』。『レッツ&ゴー』における〈成熟〉の失敗は、乗り物を通じた暴力の否定であり、ひいては自動車にまつわる〈男性性〉の拒否を意味します。90年代末に描かれたその想像力は、トヨタ・プリウスに象徴される、00年代の世界的な自動車のパラダイム転換を予見していました。

バトルレースと『レッツ&ゴー』の倫理

『レッツ&ゴ

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“kakkoii”の誕生──世紀末ボーイズトイ列伝 第二章 ミニ四駆(3)「ここに戻ってきた少年たち、どこにも行かない少年たち」

デザイナーの池田明季哉さんによる連載『"kakkoii"の誕生ーー世紀末ボーイズトイ列伝』。「魂を持った乗り物」という新しいミニ四駆観に基づき、走る目的そのものとしてのミニ四駆の価値を確立するに至った『爆走兄弟!!レッツ&ゴー』。しかし、その続編では主人公たちの〈成熟〉の困難が露骨に描き出されます。

ミニ四駆第一次ブームにおいて『ダッシュ!四駆郎』(以下『四駆郎』)の中心になっていたのは、父を目

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"kakkoii"の誕生──世紀末ボーイズトイ列伝 第二章 ミニ四駆(2)「ミニ四駆のコックピットには誰が乗っているのか」

デザイナーの池田明季哉さんによる連載『"kakkoiiの誕生――世紀末ボーイズトイ列伝"』。第一次ミニ四駆ブームと『ダッシュ!四駆郎』について論じた前回に続いて、今回は第二次ブームと『爆走兄弟レッツ&ゴー!!』とフルカウルミニ四駆が宿した「キャラクター」性に迫ります。

 第1次ミニ四駆ブームを支えた『ダッシュ!四駆郎』(以下『四駆郎』)が1992年に連載を終えた後、それを引き継ぐ形で1994年か

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池田明季哉 "kakkoii"の誕生──世紀末ボーイズトイ列伝 第二章 ミニ四駆(1)「皇帝(エンペラー)は地平(ホライゾン)に辿り着いたか」

デザイナーの池田明季哉さんによる連載『"kakkoii"の誕生ーー世紀末ボーイズトイ列伝』。トランスフォーマーを扱った第一章に続き、第二章ではミニ四駆を取り上げます。黎明期から第一次ブームを振り返り、漫画『ダッシュ!四駆郎』とその登場マシン「皇帝(エンペラー)」に託された成熟のイメージを読み解きます。

 おもちゃ、特に理想のイメージを象ったフィギュアの歴史には、子供が目指すべき理想の成熟のイメー

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