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【#シロクマ文芸部】呪いの森

秋桜姫は裕福な商人の三女でした。男には、春桜・夏桜・秋桜・冬桜と4人の娘がいましたが、みな、姫をつけて呼ばれるほど美しい娘達でした。

ある日、男は仕事で帰りが遅くなりましたが、その日のうちに帰りたかったため、普段は決して通らない「呪いの森」を通り抜けました。

すると、頭上から恐ろしい声が聞こえてきたのです。

「誰じゃ!我が敷地に入るものは!」

森に住む魔物でした。男はあっという間に魔物の城へと連れていかれました。

「八つ裂きにしてくれようか」
と睨みつける魔物に対して男は、
「もうすぐ上の娘の祝言がございます!お願いです!お見逃しください!」
と懇願しました。

娘がいると聞いた魔物は男に何人いるか、とたずねました。4人と答えると、

「1人を俺の嫁にくれたら、お前を助ける」

と言うのです。

しかし、眼光鋭く醜く背の曲がった毛むくじゃらの魔物に愛らしい娘を渡すことなど、考えられません。震えながらも男は丁寧に断りました。そして、娘の祝言に出席させて欲しいとさらに懇願しました。魔物はしばらく黙っていましたが、

「お前の娘が誰も嫁に来ると言わなければ、祝言が済んですぐ死ぬ呪いをかけて帰してやる」

と意地悪く笑い、男を解放しました。魔物からの呪いに慄き震える男は、家に着くなり寝込んでしまいました。

慌てて医者に見せると「これは心の病にかかっておる」と言われました。心優しい娘たちが悩み事を話して欲しいと何度も泣いて頼んだため、男は耐え切れずに魔物の呪いについて話をしてしまったのです。

あまりの出来事に皆が絶句する中、秋桜が叫びました。

春桜姉さんは1週間後に祝言が、夏桜姉さんは来年に結婚が決まっています。冬桜は嫁に行くには小さすぎます。

それなら私が喜んで魔物様の元へ参りましょう!

叫んだ瞬間、雷鳴が鳴り響き眩い光と共に醜く背の曲がった毛むくじゃらの魔物が現れました。

「よくぞ申した!お前が俺の花嫁か!」

魔物のこの世のものとはいえぬ醜さに3人の娘は気を失いましたが、秋桜だけは青い顔をしながらも凛として「そうです」と返事をしました。

父親には禍々しく見えた魔物の目が、秋桜には優しく見えたのです。

「私は魔物様の花嫁になります!」

喜びに打ち震えた魔物が頭の割れそうな声で叫び出したため、周囲は目をつぶりました。

魔物の声がおさまり、みなが目を開けると秋桜の隣には凛々しく美しい若者がおりました。

「私は傲慢さから仙人を怒らせてしまい、醜い魔物に変えられた城主の息子です。元の姿に戻るには心優しき娘の真実の愛が必要といわれており、あのような失礼な態度を取ってしまいました」

行方不明の若殿様を救った勇敢な娘として秋桜は城へあがり本当の姫となりました。秋桜姫の家族もみな幸せに暮らしました。

秋桜がこんなに難しいお題とは思いませんでした💦

秋桜を新たな悪の組織として骨皮筋衛門シリーズにしようかとも考えましたが、童話を選択。

小牧幸助部長、苦しくも楽しい部活動をありがとうございました。

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