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多分これから好きになるひと

まだ出会っていないけれど、これから好きになりそうなひとがいる。

きっかけは知人が出演するという舞台。

せっかくなら応援したい。と、人におすすめする際の情報を得るため、出演する知人からお話を聞いたり、無識だった劇団のサイトや出演者のSNSを巡り始めた。
多分私は少しだけ、言葉に対して細かい。
タイトルにある綺想曲のキが、奇ではなく綺だったから、ちょっといいな。と思った。
脚本を書かれた方は、美しいものを描きたいんだな。って感じがしたから。

ストーリーを引用した画像をSNSで使用してもいいかを問い合わせたら、すぐに許可をいただけて驚いた。言葉にこだわりがあると、少しの改変にも抵抗があったりしそうなのに。
脚本家の方は心が広くて、柔軟そうだな。もし上司だったら、部下や同僚の意見を積極的に取り入れてくれるタイプっぽい。と思った。

作・演出をしているのは、劇団の代表を務めている方だった。

どんなお芝居なのか聞いたり考えるうちに、続き絵をイメージした。

浮世絵などで見たことはないだろうか。

1枚でもそれぞれ美しく成立しているが、

並べると繋がっていて、大きな1枚絵になっているというものだ。

四代目歌川国政(梅堂国政、三代目国貞)「五十三次扇宿附」

劇団のX(旧Twitter)を見たら、プロフィールに「舞台に1枚の絵を描くように作品作りをしています。」とあった。
やっぱり絵なんだ。と、自分の感覚が当たっている気がして、ちょっとうれしくなった。
勝手な思い込みだけど、なぜだかこの人のことが、すごくわかる気がした。

劇団の代表で、作・演出の久光真央(通称:みれど)さんの過去作が、戯曲デジタルアーカイブというサイトで無料公開されているのを知った。
『infinity』という脚本を読んだ。
私は忖度ができない。否、正確には、忖度(気持ちを推し量ること)はできるけれど、斟酌しんしゃくする(心情を汲み取って手加減する)ことができない。
私の母は末期のがんで亡くなったから、途中で若干の違和感を覚えた。
母は抗がん剤ではもう効果が見込めないとなったとき、効果がほとんど期待できない薬を投与し続けるか、治療を止めるかの選択を迫られた。抗がん剤の投与を止めるなら、ここは治療をするための病院だから、緩和ケアをしているところへ転院してもらいます。もし新しい薬が出来たら、また治療できますか?できません。他の病院でも?いったん止めたら、もう他の病院でも治療はできません。
私の母の場合は、休むことも、戻ることも許されなかった。
身内のことだったから、そんなやり取りを思い出して、ほんの些細な違和感に胸がもやもやした。
それでも読み進めたのは、知人がその人の本で舞台に立つからでしかなかった。
けれど。
ストーリーの後半、クライマックスには、読んでいてぽろぽろと涙が出た。
いっとき感じた違和感なんて、どうでもよくなった。
うまく言葉にできないけれど、この人に、強い気持ちがあるのは、はっきりわかった。

始めは知人が出演する方だけ観劇する予定でチケットを手配していたが、
「チケット変更可能でしょうか?」
と知人に問い合わせて、2公演観られるセット券に変更してもらった。

今回の公演の、具体的な内容は全く知らない。
でも、舞台となるホテルを不凋花ふちょうか(永久に色あせずしぼまないという想像上の花)「アルポデロス」と名付けるからには、この人にとっての絶対的ななにか、変わらないものを込めているのだろうと思う。
私は、その信念が観たい。
この人を選んで、この人に選ばれた人たちでつくり上げる、その想いの熱に触れたい。
まだ出会ってもいないけど、その時きっと、私はそこに在るひとたちのことを好きになるだろう。

2023/12/14(木)~17日公演!
ハグハグ共和国Vol.37 よろず劇場提携公演『フールズジャーニー』 特設ページ

ただただ自分の思ったことを書きました。
応援になるかはわかりませんが、もしこの文章を読んでご興味を持たれた方がいらっしゃいましたら、上記特設ページやX等で、詳細や稽古風景をご覧ください。
そして願わくばひとりでも多くの方と、想いの熱を共有できますことを。

チケット販売ページ(後藤真一さん)
アーカイブ配信チケット販売ページ


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