思い返せば、一目惚れだった

〈以前のnoteから、一部を再掲します。〉



“今ホームに入ってきた、あの電車だろうか…”

目の前にある階段をパラパラと降りてくる人たちと、手にしたスマホの画面を交互に見ながら、あの日の私は亮太の到着を待っていた。


スマホの画面に少し長く目を落とした隙に、私の前にまっすぐ歩いてきた誰かがピタと立ち止まる。

顔を上げると亮太がいた。

1つ年下なだけでも“男の子”という印象を持った。

亮太は笑うでもなく、何か言うでもなく、真顔だったっけな。

マッチングサイトの写真ではかけていなかった黒縁のメガネに、ドキリとした。

これからすぐにホテルに行って、この男の子とセックスするんだわ、と胸がはやった。

その服の下に隠れている裸を見たい、と思った。


あの日から半年たった今でも、その一連の場面や気持ちが、ついさっき起きた出来事かのように蘇る。

来月に控えた逢瀬を待ち侘び、そのボタンに指をかける。



〈再掲ここまで。〉




初めて会った日から、もうすぐ1年が経つ。

思い返せば、一目惚れだったのかもしれない。

亮太とは、既婚者クラブでセフレとしてではなくて、もっと違った形で出会いたかった。

そしてできれば、ごく普通に恋を(亮太にその気があればだけれど)始めたかった。

もう会えないけど、好きだよ。。。



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