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近世欧州軍事史備忘録 巻2

A5_戦闘の研究_くりえい社用 アウトライン[マレンゴ版]

【全文試訳】戦闘の研究 英訳版(1921)
 シャルル・アルダン・ドゥ・ピック
  (Charles Ardant du Picq)

本のサイズ:A5 総ページ数:326
2021年夏に初回頒布。

戦場心理に光を当てた軍事学の古典的名著。時代が変わろうとも人=兵士は変わらない、兵士を研究しなければならないと説いた19世紀フランスの軍人アルダン・ドゥ・ピックによる先駆的著作の初邦訳。(但し英語版からの重訳です)

戦場心理学の世界では、S.L.A.マーシャルの研究が有名ですが(本邦では、その研究結果に多くを依拠したデーヴ・グロスマンの『戦争における「人殺し」の心理学』によって知られている)、本書は彼の研究に先んじること約1世紀前の著作となります。

S.L.A.マーシャルの研究結果がねつ造であり、第二次世界大戦中のアメリカ軍において、兵士の発砲率が平均で15%程度、最も積極的な歩兵中隊でも25%を超えることがなかったという主張が神話であることが明らかとなった今、ドゥ・ピックが真に19世紀の戦場で得た実態から記した本書は、戦場における兵士を研究する土台となるものとして、改めて注目されています。

既に欧米においては、軍事学の古典として読み継がれる一冊となっており、2017年にはS.L.A.マーシャルの研究結果にいち早く疑義を唱えたロジャー・スピラーが本書の英語新訳を発表していることも、本書の重要さを示すものとなっています。

また、密集して戦う歩兵、そしてそれを相手とする騎兵について理解する上で、本書を読んでいるか否かは、他資料を読み解いて得られる景色の解像度に驚くほどの違いを生むことになると考えています。そのため、本書を読むことなく、近世ヨーロッパの戦場における兵士を語ることは不可能ではないかと思えるほどの内容となっております。

そして、上記のような固い意味合いだけでなく、実際の兵士が戦場でどう動くかについてを記しているために、小説などで戦争描写を描く際には読んでおくと非常に役立つだろう一冊になっております。

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