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昆虫食と食糧問題

昆虫食は逃げの一手

最近、昆虫食という言葉をよく聞く。どうやら政府は昆虫食を流行らせたいらしい。”SDGs”と大仰な意義を冠して国民に昆虫食を食べることを煽っている。有史以降、メインストリームとなったことのない昆虫食を推進しているのは、まさに食糧問題に対する「逃げの一手」でしかなく、根本的な解決につながるものではない。

もちろん、昆虫食にもメリットはある。食肉に比べ環境負荷が少なく、飼料効率も良い。現に迫ってきている飢餓問題に対応するためには必要なことでもある。

しかし、現在日本の食糧・農業情勢が悪化している状況での昆虫食推進では、その対処を放置していると受け取られても仕方がない。

今の日本の食糧問題

今の日本の食糧問題は、農業の根幹を見直さないといけない局面に達している。コロナ禍から始まる需要の低下、ウクライナ侵攻による原料等の供給不安定、東京五輪前からの建設費の高騰など、原因は多すぎるくらいにある。

特に、酪農業界にとっては日本の酪農始まって以後最も大きな痛手になっている。肥料費や飼料費、光熱費、燃料費が高いものでは2倍近く膨れ上がっているのに対し、生乳や個体販売のダブつきも顕著となっている。これにより減産基調である中で多くの農場で採算をとるのが難しくなっており、離農を考える農場も少なくない。

畑作物でも減産基調になっている。ビートでは現行の産糖量64万トンから2026年までに9万トンの減産(厳密には減産ではないが)を余儀なくされている。そこでおかしいことに気が付く。砂糖の自給率は34%であり、3分の2を輸入に頼っている。その状況下で国内生産を減らすことに意味があるのかと。ここが日本の農業のジレンマが詰め込まれている。砂糖に限らず、食料は国産よりも外国産の方が安いので、輸入に頼ってしまい、海外に財布を握られている状態と言ってもよい。そのおかげで、価格が安定し、消費者が安く購入できている。だが、これではこのような不安定な農業情勢下では輸入そのものも厳しくなってくるし、中国をはじめとする新興国の購入競争に巻き込まれてしまう。

今後食糧問題において国として優位に立つには、国内の生産基盤を強くしていくしかない。しかしそれも大きな問題が立ちはだかる。日本は肥料に必要なリンなどの資源がとれない。また、燃料も輸入に頼っている。これでは食糧を国内で生産していようが、輸入しようが変わらない(どころか生産コスト的な輸入した方が圧倒的に良い)。

となると日本の食糧問題は八方ふさがりなのか?だから昆虫食が必要なのか?

昆虫食はコスパが悪い

昆虫食が食糧問題の突破口となるかどうかについてはノーだと思う。なぜなら現状では、生産コストが高いからである。今後は楽観的に安くなるんでしょという意見もあるが、僕はそう思わない。衛生対策や人体への影響を鑑みて生産ラインを整備していくことを考えると、生産コストが大きく下がることは考えられないと思う。

それより、漁業資源をコントロールする方が重要なのではないか。禁漁や適切な漁獲制限を行うことで、漁獲量を確保できる。漁業の良いところは農業とは異なり肥料が必要ないことである。適切な資源管理を行うことで、生産が担保される。

食糧問題から逃げるな

将来の日本の食糧問題は暗いが、突破口がないわけではない。そのカギになるのは、漁業、下水道のリン資源化、日本のエネルギー資源活用(メタンハイドレード、再生可能エネルギーなど)がある。

国民のお腹を満たす日本の農業を絶やさないためにも、政府は農家に対して適切な支援を行い、消費者は農家への理解を深めることが重要である。それが日本の食糧問題に向き合うことだと思う。

昆虫食は、たまにイナゴやざざむしの佃煮を食べるくらいがちょうどいい。

引用・参考文献

正確なデータを参考にしたわけではないので、ご留意を。

『昆虫食のメリットとデメリット』「ムシできないムシの世界」

『最近話題の「昆虫食」ってコスパ的にどうなの? コオロギはどのくらい「高タンパク低脂肪」なの?』「フィナンシャルフィールド」

『日本の漁業をなんとかしたいからお前らに知っておいてほしいことがある』「5ちゃんねる」


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