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道標

道東自動車道を西進し、十勝清水ICを過ぎたあたりで雪が降ってきた。この時期になると、日が沈むのが早い。15時台だというのに日が傾いている。雪ではっきりとは見えないが、目の前に日高山脈が仁王立ちしているのがわかる。今からこの立ちはだかる山脈を越えなければならない。昔の人は命懸けでこの山を越えたのだろうか。高速道路で山を突っ切るなんて、なんと便利な時代か。

夜の高速道路が好きだ。ついつい懐メロを流して人生について考えたくなる。ちょうど、宇多田ヒカルの『time will tell』が流れ出した。「時間がたてばわかる」そのとおりだろう。今わかることなんて何もない。時間が解決するほかないのだ。

雪が強くなり、フロントガラスにこびりつく。道東自動車道では、路肩に緑の誘導灯が立っており、雪道でも道標となっている。

なんとなく進んできた人生も中盤に差し掛かろうとしている。夜道を歩くように、正しい道なのか不安になりながら進むしかない。後ろは振り向いてはいけない。時々街灯があれば立ち止まり、安心できる。

そんなことを考えていると、トンネルを抜け、ぽつぽつと明かりが見えてきた。やがて札幌の街並みが近づいてきた。

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