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実戦的武術と伝統的武術!!実戦的という言葉の意味

中国武術に限った事ではないですが、実戦的な武術という表現で、特定の門派を形容する場合があります。

この「実戦的」という言葉には、色々なニュアンスが含まれているのではないかと思います。


実戦的な武術とは


本当に言葉の意味通りに受け取るならば、世界に存在する全ての武術、闘技は「実戦的」だと言えます。

何故なら、少なくとも武術と呼ばれている以上、程度はあれ、戦う為に形成されたからです。

しかし、現在では、「実戦的」という言葉を使う場合、このような言葉通りの意味だけを表すのではなく、違ったニュアンスが含まれているように思います。


現代の実戦的の意味


少なくとも、中国武術界で使う、現在の「実戦的」という言葉には「すぐに身に付き、速効性がある」とか、「すぐに使える」「誰にでも身に付く」のようなニュアンスが含まれているのではないでしょうか。

もし、このような意味として「実戦的」という言葉を捉えるなら、その武術の技術レベルは、極めて低いと言えます。

当然の事ですが、技術力の高いものを身に付けるには、時間がかかります。

例えば、ボクシングの世界チャンピオンと同じテクニックを身に付けるには、膨大な練習量と時間、経験が必要です。

しかし、始めて1ヵ月程度の練習生の技術を身に付けるのは簡単です。

身に付ける技術の対象を高い場所に置いている武術、門派は、そういう意味では実戦的ではないと言えます。


すぐに身につく武術と本来の武術


名人や武術家を育てるのではなく、歴史上、戦時にすぐに戦え、誰にでも一定の強さを身に付けさせる必要があり、そのためだけに作られた武術もあります。

しかし、通常の伝統的に伝えられてきた武術、門派は、名人と呼ばれる人間や、それに近い能力を持つ人間が伝えてきたはずです。

また、それらの武術、門派の最終的な目標は、彼らの高い技術の習得だと思います。

そのような高い技術を短期間に身に付ける事は、特に現代人には難しいと思います。

これは、武術に限った事ではなく、陶芸や絵画などの芸術、能や歌舞伎などの伝統芸能では顕著に表れるでしょう。

通常の仕事においても、程度はあるでしょうが、同じ事が言えるでしょう。

つまり、前述したような意味で「実戦的」という言葉を捉えるなら、名人と呼ばれる人間が伝えた、高級技法のような、習得に時間がかかる技術は、「実戦的」ではないと言えます。


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