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短編小説『丘の上に吹いた風』麗野鳩子

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『丘の上に吹く風』の続編です。
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【短編小説 丘の上に吹いた風 プロローグ 】始まり

プロローグ -始まり- 机の脇の引き出しにしまっておいたはずの天使の本を探し始めて、かれ…

【短編小説 丘の上に吹いた風 1】定例会議

1.定例会議 いつもの十二人掛けの円卓はこんなに小さかっただろうかと、議長のミカエルは並…

【短編小説 丘の上に吹いた風 2】森の門番

2.森の門番 一向に進展のない事件の担当になって以来、署にいても上司から何か報告はないの…

【短編小説 丘の上に吹いた風 3】再開

3.再開 誰も手入れをしなくなっていたホスピスの庭には、冬の間に枯れた雑草がのしかかって…

【短編小説 丘の上に吹いた風 4】交渉代理人

4.交渉代理人 池の対岸へと続く道は晴れた日でもじめっと暗く、陽太はあたりをうかがいなが…

【短編小説 丘の上に吹いた風 5】友の行方

5.友の行方 ホスピスの長く張り出した軒の上は、陽太の新しいお気に入りの場所になっていた…

【短編小説 丘の上に吹いた風 6】ドクター外中のおにぎり

6.ドクター外中のおにぎり 婦長室のドアをノックすると、すぐにどうぞと返事が返ってきた。 袖山は書類に目を通していた婦長の前に座った。 「婦長、先日の件なんですけど」 「その件なら私も賛成です」 「それは心強い。僕からそれとなく話してみます」 「それとなく? 直球でいいと思いますよ、外中先生だいぶ鈍感なところがあるから。それで危うく結婚相手逃しそうになったじゃない? あの時はさすがに私も焦りましたよ」 「今回は大丈夫ですよ。なにしろ・・・・・・」 「そうですね、なにしろ・・

【短編小説 丘の上に吹いた風 7】旅立ち

7.旅立ち 「一服するから、ちと待っとれ」 ようやく戻ってきた地蔵菩薩に促され、陽太と美…

【短編小説 丘の上に吹いた風 8】泣き笑い地蔵

8.泣き笑い地蔵 話はあっという間に広まった。 三田が知った時には、静かな山間の集落はそ…

【短編小説 丘の上に吹いた風 エピローグ】次のページ

エピローグ -次のページ- 大きく開いた窓のカーテンがはためいた。 風は部屋に吹き込むと…