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メディカルフォースのカスタマーサクセスの方向性

株式会社メディカルフォース カスタマーサクセスマネージャーの羽富(@hatomi_naoki)です。
自由診療クリニック向けオールインワンSaaS medicalforceを提供する弊社ですが、2024年2月にシリーズBで15億円の資金調達を発表しました。

弊社のカスタマーサクセス組織は、2024年2月現在10名の組織となっております。今回の資金調達を経て、その規模を年内には倍程度まで増やしていきたいと考えています。

本記事では、これからカスタマーサクセス組織をどのような方向で発展させていきたいかについて記載します。メディカルフォースのカスタマーサクセスとして働くことに興味がある方にはもちろん、バーティカルSaaS企業のカスタマーサクセス組織の立ち上げ・牽引をされている方にとって参考になれば嬉しいです。

最初に結論を記載すると、バーティカルSaaS企業である弊社のカスタマーサクセスは機能ごとに専門化していくべきだと考えています。 

※追記
先日、Layer Xのかじさんが以下のnoteを掲載しておりました。

こちらのnoteにも「カスタマーサクセスは専門文化していく」旨が記載されており、考えていることをより多角的な視点、かつ丁寧に言語化してくださっておりびっくりしました。(なんなら本記事を公開することが憚れました笑)

ただ、締めに記載されているように比較的マクロな視点での記述だったため、本記事ではメディカルフォースのカスタマーサクセスという限定的かつ具体的な視点で記述させていただきます。


メディカルフォースのカスタマーサクセスについて

バーティカルSaaSは"特定業界の業務に深く入り込む"という特徴を持っていることが多いですが、それだと主語だと大きすぎるので、前提としてメディカルフォースがどういうプロダクトで、カスタマーサクセスにどういう役割が求められているのかについてお話しさせてください。

自由診療クリニック向けSaaS medicalforceは、簡単に言うと以下のような特徴のあるプロダクトです。

  • 顧客にとっての基幹システムであり、日々の業務を行う上で不可欠のツールである。

  • 利用するプレイヤーは、ドクター、看護師、受付、マーケターなど多岐に渡り、特定の役職・役割の人のみに留まらない。

  • 業務効率化を通したコストダウンだけでなく、予約の最適化やデータを基点としたCRMといった売上向上、さらには患者体験向上も期待されるため、顧客のミッションにクリティカルである。

  • 基幹システムかつ経営・ブランディングに対して寄与するプロダクトが故に個別要望が多く、汎用的な範囲内においてある程度のカスタマイズ性を担保しなくてはならない。

これらの特徴により、弊社のカスタマーサクセスには以下のことが求められます。

  • "導入したけど使えていない"状況ではそもそも利用開始に至らないため、ハイタッチなオンボーディングが求められる。

  • 複数のステイクホルダーと複数のプロジェクトを並行して進めていく必要がある。

  • 多くの機能のインプット&ユースケースごとの適切なアウトプットが求められるだけでなく、経営視点での活用支援が求められる。

以上を前提として、LTVを最大化するために顧客満足度の向上(ダウンセルの抑制)と顧客単価の向上(アップセル・クロスセル)に取り組み、事業の成長を支えます。

また、組織状況についても補足すると、現在弊社のカスタマーサクセス組織はMgr(僕)が1名でメンバーが9名です。それぞれのメンバーは、等しく顧客のオンボーディング〜活用/売上支援、アップセルを担っているという状況です。

なお、問い合わせ対応やメジャーリリースの周知などの汎用的な対応については、カスタマーサポートというチームを立てており、そちらが役割を担ってくれています。
カスタマーサクセスは、個別事象への対応や能動的な顧客リレーションを担うという棲み分けです。

なぜ専門化を目指す必要があるのか

なぜ、これからメディカルフォースのカスタマーサクセスは専門化を目指す必要があるのか。それは、顧客への提供価値水準を高く保ちつつ、組織のスケールを実現するために必要だからです。

事業成長のためにはどんどん新しいメンバーにジョインいただき、なるべく早く立ち上がってもらう必要があります。

しかし、先述したように、medicalforceは提供価値の幅が広く、様々なステイクホルダーを巻き込んで活用支援していく必要のあるプロダクトです。

そのため、高い水準で価値提供をし続ける状態を維持するためには、新しく入ったメンバーの学習コストが異常に高いのです。
かつ、自由診療という一般的には馴染みの薄い特定産業においてこれら全ての知見を0から得るためには、膨大な学習機会が必要で、どうしても立ち上がりに時間がかかってしまいます。
かといって、カスタマーサクセス担当ごとの提供価値に大きなばらつきがあるのは、絶対に避けなければならない状況です。

専門化を図り、横断で専門性にアクセスできるようになれば、特に学習コストの高い領域を切り出した上で1人立ちを実現できるようになります。

今まで領域A,B,Cで100点を取ることが全員に求められていた状況から、領域Aについてのみ100点を取れればOKで、B,Cについては他の専門チームに任せれば良いよという状況になるというわけです。

どのように専門性を切り分けるべきか

専門性は、ユニークかつ単一の機能に切り分けるべきだと考えています。
専門性=チームごとの使命となるため、ユニークかつ単一であることで存在意義が明確化し、意義が明確であることでより自律的に学習し成果を上げていくことができるようになるためです。

メディカルフォースにおいては、専門性を以下のように切り分けることを考えています。

  1. 顧客と信頼関係を構築し、プロジェクトを前に進めていく機能

  2. 顧客にとって最適なオペレーションを提案し、業務効率を上げていく機能

  3. 顧客の売上課題を特定し、マーケティング活動を成功に導く機能

標準化しやすいが故に学習コストが低い&顧客折衝の中で学習機会が多いという観点で、新しく入った方は1を担っていただく形が理想的だと思っています。
1を担う中で、顧客ごとの個別の業務改善や売上改善が求められるタイミングでは2,3のチームにアクセスし、協力を仰ぐことができる。そうして経験を経る過程で、徐々に専門性を身につけられるようになっていくことを想定しています。

アップセル活動、いわゆるカスタマーセールスの機能は1〜3の延長線上にあると考えています。そのため、現時点では切り分けずにそれぞれが担う(提案進捗は1が追う)ことを考えています。

加えて、顧客規模(SMB・エンタープライズ)によって求められる価値が変わる場合は、1〜3をさらに二分してもいいかもしれません。

細かいことは色々ありますが、以上を経て、高い水準での価値提供と組織スケールの両立を実現していきたいというのが今の僕の考えです。

専門化の先に成し遂げるべきこと

専門化した各機能それぞれは、単体で大きな価値を生み出します。そしてチームは専門性を持つことでより自律的に学習し、新たな価値を生み出すことができるようになります。

その結果、価値に対価が生まれる=事業機会を生み出すことに繋がると思っています。

つまり、専門化の先にカスタマーサクセスは、既存顧客との継続的な接点という利点を活かして、付加価値を生み出し、事業成長を牽引していく存在になれるはずです。

例えばメディカルフォースの場合、自由診療クリニックの売上を最大化するという価値を満たすための変数は、現在提供している"予約導線の最適化によるCVR向上"だけでも、"CRMによるリピート率アップ"だけでもありません。
今後"リードの最大化"という変数まで握れるようになれば、より大きな価値を顧客にもたらすことができ、それは新たな事業機会となります。

バーティカルSaaS企業はプロダクト・事業を重ねていくことで売上を伸ばしていく必要がありますが、カスタマーサクセスはその中心を担う機能になっていくべきだと思います。

最後に

とはいえ、いざ「専門性を独立させた組織にしよう!」と思っても、現実的にはまだまだ難しいです。

先述したように、メンバーはフラットなミッションを持って働いている状況なので、急に専門性を切り分けて業務を分担すると、既存業務を担うこととなるメンバーに過度な負担がかかってしまいます。
また、各専門チームのオーナー(リーダー)を立てていない状況では、マネジメントの負担も大きく、それが故にワークしないという結果を招いてしまう恐れがあります。

そのため目先では、『まず標準化できる業務をどんどん標準化していく』→『そうすることでオーナー(リーダー)となる人の業務ハードルが下がり、組織を階層化できるようになる』→『組織が階層化できるようになれば、人を入れても耐えうる状態になる』→『専門性を切り出してもきちんと負荷分散する』というステップを踏んでいきたいと思っています。

これらのステップを実現していくのには、かなり体力が要ります。
いわゆる1→10と呼ばれるフェーズで、0→1時代の背景を汲み取りつつも10→100を見据えた動きが求められます。

ただ、この過程を実現していく経験自体は非常に貴重なものなのではないかと思っています。仕組みを作っていく経験、組織がスケールしていく経験、専門性を確立していく経験が得られます。そして、成果を上げた先に得られる機会もどんどん増えていくタイミングです。

つまり何が言いたいかというと、メディカルフォースのカスタマーサクセスに入るなら今が最適ということです。笑

少しでも興味がある方は、XでDMをもらえると嬉しいです。
https://twitter.com/hatomi_naoki

その他のポジションは以下のエントランスブックからご参照ください。
一緒に良い組織を作っていってくださる方を、心より楽しみにしております!


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