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海でぼーっとするのが好きな人

「昨日、海に行ってきたんですよ」
「へえ、海!いいやん!」
「楽しかったですよ」
「どこ行ってきたの?」
「館山のほうに行きました」
「ふうん。なにしたの?海鮮とか食べたの?」
「いや、黄昏てました」
「ん?」
「3時間くらい、海を見ながら黄昏てました」
「3時間、、ただ海を見てただけ?」
「はい」
「楽しいのか?それ」
「それが意外と楽しいんですよ」
「海を見てるだけだろ?ご飯とか酒とか、泳いだりもなし?」
「はい、何もしなかったですね」
「それのどこに楽しさが?」
「ぼーっとして、自分と会話するんです」
「自分と会話、、。」
「はい、なんか、ずっと海を眺めていると、いろいろなことを考えるんです。自分はこれから何がしたいのかとか、読んだ小説についてとか、あそこにカニっぽいのがいるなーとか、夜ご飯何が食べたいかとか」
「ふうん」
「そういうどうでもいいことなんかをひたすら考えて、考えていくと、だんだん心地よくなってくるんですよね。」
「なるほど、俺だったら、うまい飯をたべるとか、サーフィンしたいとか、思っちゃうけどなあ」
「そういうときもありますけどね、一人でこうやって黄昏るのも、別の楽しみがあります」
「そういうもんかね、寂しくはないのか?」
「寂しいとは思いませんね、自分がいますからね。これからそういう人をみかけても、暖かい目で見守ってあげてください。寂しそうに見えますけどね。たぶん、その人は心の中でめちゃくちゃ楽しんでます。」

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