ハリルホジッチ監督の緊急解任の波紋【サッカー記事キュレーション&考察】


2018年4月9日。サッカー日本代表のヴァヒド・ハリルホジッチ監督の解任が突然発表され、サッカー界は大混乱に陥りました。

ワールドカップまで約2ヶ月、練習もテストも対戦チームの分析もする時間が残されていない中での解任は、もし仮に、ハリルホジッチ監督が無能中の無能で、存在しているだけで害悪になったとしても、直前での解任は理解できないでした。そもそも、ハリルホジッチ監督が無能だったとは思いません。

ただ、日本に合わなかった可能性はあります。何であれ、合わないと思うならもっと早く見切りをつけるべきです。直前での解任劇は理不尽きわまりないわけです。

ぼくは非常に憤ったわけですが、ぼくの怒りが、代表戦をテレビで見るくらいというライト層にまったく伝わらないことにも強く危機を感じました。

サッカークラスタは9割以上が怒っているか、悲しんでいるか、絶望しているか、無の境地に陥っていますが、これが全然理解してもらえません。

そんな中、「ハリルホジッチを切ったのは正解だった」という「おべんちゃらニュース」が大きなメディアから流れ続けることで、これまで日本サッカーが蓄積されてきたことが否定されてしまいます。

そして、もしW杯で奇跡が起こせた場合、「考えずに一生懸命やれば勝てる」とか「外国人には任せられない」とか「監督を解任すれば結果が出る」というような意識が定着してしまうかもしれません。それはまぐれであって再現性がないわけです。

とまぁこのあたりについて、怒りを抑えながらTweetしていこうと思ったのですが、あまりにも長くなったので記事にまとめたところ、半日で4万回近く読まれる、いわゆるバズ記事になりました。

ハリルホジッチ解任でサッカークラスタが発狂している理由
中村慎太郎

この記事は、サッカーファンが怒っているのには、それなりの理由があるのだけど、色々ありすぎて整理がつかなくなっていて、かくいう自分も頭が混乱するので、サッカーファン以外にも伝わるようにゼロから書いたものです。

ただ、これはあくまでも、1ファンが怒っている理由であって、本当に知って欲しいのは、長年サッカーを取材してきているプロがどういう意見を言っているかです。

言うならば「ハリルホジッチ解任大喜利」ですが、笑わせようという空気の読めない勇者はいなくて、みんな大まじめです。

4月9日月曜日の緊急会見を受けて、サッカーライターが次々と意見を発表していきました。

サッカーメディアの一番面白いところは、記名記事がほとんどであるため、書き手の個性にあふれていることです。

我々サッカークラスタは誰が書いた記事を必ずチェックします。結果、「流石K端さん、育成から見ているだけあって説得力がある!」とか「また日本代表のネガティブ記事を書いて、アンチサッカーファンに売りつけている暗黒卿か」というような感想を持ちます。

つまり、記名記事が多く、また書き手のバックグラウンドまで広く知られているということが、サッカーメディアの奥深いところでもあります。

というわけでこの記事では、誰がどんな記事を書いたか。その書き手にどういった背景があるのかについて検討していこうと思います。

そのことを通じて、今回の事件がいかに大ごとであったかが浮かび上がってくるように思います。

広く日本中に知られて欲しいと思って書いた先ほどの記事とは異なり、今回の記事はより深く知りたい人のためのコアな情報なので、有料の限定記事にさせて頂きます。

説明だけではよくわからないと思うのでいくつかは無料公開します。

今回の件で最初に目にした記事がこちら。


親善試合はあくまでテスト 日本サッカー協会に感じた世界との距離
浅野賀一

緊急会見の翌日である4月10日の朝6時に公開されています。
浅野さんは雑誌『footballista』の編集長です。この雑誌は、ヨーロッパのサッカーを中心に扱っています。

『footballista』はお洒落でありながら、サッカーの泥臭さも感じられる素晴らしい雑誌で、海外サッカーに焦点を絞ったものはトップ誌の一つと言っていいと思います。

サッカーはチェスのような知的なゲームと、前の記事には書きましたが、そのチェスの新しい戦術が次々と生まれているのがヨーロッパのクラブです。マンチェスターユナイテッドとか、バルセロナとかそういうところですね。

『footballista』は、ヨーロッパの最前線にいる指揮官が、どういうことをしようとしているのかを、逃げることなく真っ正面から受け止めて、理解し、少しでもわかりやすく伝えようとしている雑誌です。つまり「海外に学び、追いつこう」という潮流の最前線で戦っているわけです。ここまで踏まえて記事を読んでみます。

「今後のW杯は「情報戦」になると思います。なので、情報はできるだけ隠した方がいい。中堅・弱小国ならなおさらです。」

「日本代表に選ばれたからにはどの選手も全力で戦ってくれると信じているので、「この監督の下では選手のやる気が出ない」を理由に解任するのはナンセンス」

「これで日本サッカーは後退したと思います。」

サッカークラスタ的には極めてまっとうな意見で、突然の解任に絶望はしましたがこういった記事が出てくるなら、かすかな光が見いだせるかと感じた次第です。というのもメディアからは、「ハリルホジッチが悪かった。選手たちは被害者。」という記事が多発することを危惧していたからです。

実際に、トルシエ監督を擁して挑んだ2002年の日韓共催W杯の後にも同じ事があったようです。トルシエ監督の通訳を務めていたフローランダヴァディさんがツイートしていました。


エディさんは、ラグビー日本代表を率いて南アフリカを破ったエディー・ジョーンズ監督です。

「卑怯ですよ」とダバディさんは書いていますが、ぼくも非常に卑怯だと思います。それを大マスコミがやっているわけですからね。今回は自分の専門領域であるサッカーだから痛感したことですが、他の分野でも「卑怯事案」は発生しているのかもしれませんね。

そして、次に見つけたのが「おべんちゃら記事」でした。というよりも「世論誘導記事」でしょうか。

「呼ばれなくなる…」選手ら語るハリルホジッチ氏の「強権政治」

・体脂肪率12%以下を厳命するなどの管理主義
ここに疑問を持たないのがスポーツ記事としてはどうかしています。リオネルメッシの体脂肪率は7%だそうです。ぼくもバスケを毎週やっているときは8%でした。12%以下というのは、アスリートに求める数字としては何ら厳しいものではなく「太り過ぎるなよ」というレベルのものです。選手に対して太り過ぎるなというのは残酷な処遇なのでしょうか?

・「意見を言えば呼ばれなくなる。監督の言うことをやるしかない」。“強権政治”は選手にとって大きなストレスとなった。

基本的に監督の言うことを聞くのが当たり前です。どうしても言うことが聞けないならば呼びません。代表選手は、日本中から選ばれてきているわけで、一切保護はされていません。代表選手の意見にあわせて監督が作戦を変えるというのほうが非常識なわけです。

ホンジュラスU-20などで指導者経験がある山野陽嗣さんもこのように書いています。海外でもエース選手が不満を言うということもありますが、ばっさり切られます。そんなことを許していたら勝てないからです。

選手たちが怒りをためて、爆発寸前だったという論調を組んでいますが、そうではなく選手と個別に話をして、その選手の成長のために色々なアドバイスをしてきているという筋の話も出ています。

例えば浦和レッズの槙野選手は、ことあるごとにハリルホジッチ監督のアドバイスを聞いていたこともあり、以前よりも遙かに合理的な判断をする恐ろしい選手になりました。

呼ばれなくなる選手にとっては悪い監督ですが、呼んでもらえるようになった選手にとっては救世主です。選手全員の意見を聞くわけでもなく、こういった記事によってハリルホジッチ監督を悪人に仕上げる方法は紛れもなく「卑怯」です。

スポーツジャーナリズムではなくゴシップです。不倫した女性をみつけたらとりあえず叩いておこうというレベルのものですね。

と心が荒んだ中、我々の心を救ってくれたのが、川島選手の記事でした。その前に本田圭佑選手のツイッターから……。

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ここまで3500字程度です。ここから8000字程度を有料記事とさせて頂きます。1記事あたり200円で、12000字くらいを目処にしようと思います。

有料記事であれば、言いたいことが強く言えます。この記事はいかんなと思うものには容赦なく言っていこうと思いますが、ネガティブなことをいうのが趣旨ではなく、どちらかというと良い記事を紹介していきたいと思います。

ではよろしくお願いします!


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ハリルホジッチ監督の緊急解任の波紋【サッカー記事キュレーション&考察】

中村慎太郎

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