センスはないけど

写真を撮るのは好きだ。

好きだけど得意じゃない。
あんまりセンスがない。
他の人が撮った写真が素敵過ぎて、毎回ちょっと落ち込む。

友人Kは写真を撮るのが好きで得意だ。
ミラーレスカメラも持っている。
彼女の撮る写真が好きで、彼女がどこかに出かけて写真を撮った際はなるべく共有してもらっている。
その写真を小説投稿サイトで作品の表紙に使わせて貰ったことも多々ある。

彼女ほどの腕前はないけれど、私もお出かけする度にちゃんと写真は撮っている。
最近は水晶ごしの世界にはまっている。
見慣れた景色も水晶を通すだけで、逆さになって、小さくなって、私の手の中に収まる世界になる。
それが楽しくて、最近はお出かけのときはいつも水晶を持ち歩いている。

先日鹿児島に帰省した際も、もちろん持って行った。
スーツケースに入れて衝撃で割れたら困るので、機内持ち込みの手荷物の中に忍ばせた。
しかし保安検査場で引っかかり、係員さんに「この丸いのなんですか」と聞かれて「水晶です」と白状させられ、鞄から出して再度ベルトコンベアに流すことになったときはちょっと恥ずかしかった。
羽田空港の早朝、皆がお出かけ前で寝ぼけている時間帯のことである。

まあそんなちょっとしたトラブルがありつつも、一応無事に水晶は私と共に空を飛び、鹿児島空港に降り立った。
ちなみに帰りの検査の際は最初から鞄の外、トレーに出してベルトコンベアに流した。
水晶で係員さんのお手を煩わせるのは申し訳ないとの配慮からである。

水晶で写真を撮るときは主に屋外になる。
先程も述べたように私は広い世界を水晶に閉じ込めるのが好きだからだ。

だから毎回 、日差しでやけどしそうになる。
水晶に閉じ込められた太陽光が水晶を持つ私の親指の付け根あたりを突き刺そうと暴れる。
なので毎回痛みと戦いながら、手早く済ませねばならない。
美しい一瞬を切り取りたいとかじゃなくて、身体制限的な時間の制約がある。
何も犠牲にすることなく成果だけを得ようなんてそんな虫のいい話ないですもんねそうですよねすいません、と思いながら毎回撮っている。

そして水晶は結構重い。
保安検査も引っかかるし、物理的にも重いので持ち運びは大変。
鹿児島空港では鞄の紐が急に外れて焦った。
幸い留め具が重さに耐えきれなくなっただけで、修復可能だったので助かった。
レジに並んでいるときだったので恥ずかしかったけど、それくらいの事故で済んで良かったと思う。

ぐちぐちと並べ立てたが、私は水晶で写真が撮りたいので頑張っている。
継続は力なりって言うから、きっと続けてれば上手くなると信じてる。
今後も多少の苦労には目を瞑り、水晶で写真を撮り続けていきたい所存である。


ちなみにこれが今回撮った写真。
薩摩富士こと開聞岳を水晶に閉じ込めた。


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