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Jun Yamamoto 音楽を語る(2)

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クラシック音楽のいいとこどりをして語ります。
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2018年2月の記事一覧

Canon at unison

同度のミニカノン、やっとできました。同度のカノンは難しい。一応ウロボロスタイプになってます(最後まで忠実なカノンにしてある)。ソプラノをアルトが追いかけ、バスは自由声部です。音はこちら。

Bach Goldberg Variations 3. Canone all'Unisono

同度のカノンは作りにくい。「カエルのうた」とか"Row Row Row Your Boat"式の和音が変わらないようなものはともかくとして、対位法的なカノンを書くのは難しい。

大バッハはゴールトベルク変奏曲で、同度のカノン(第3変奏)とオクターブのカノン(第24変奏)を書いており、いずれも見事なものであるが、それにしてもさすがの大バッハもちょっと調子が狂っている感は否めない。特に同度のカノンにお

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Chopin Étude Op. 10, No. 12

みんな大好きショパンの「革命のエチュード」であります。84小節のドラマ。実際は革命とはなんの関係もないらしいですけど。

左手の16分音符は、ほぼスケールか半音でのアプローチで出来ているので理論的にはそう難しいところはないと思います。

非和声音に赤丸をつけました。倚音か刺繍音になっていますね。順番に和声の分析をします。

8小節の前奏をおいて、9小節目からテーマ。7小節目に青で印をしたのは、属和

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Miniature Vortex Canon

大バッハには足下にも及ばないが、音楽の捧げ物にある、無限上昇カノンを真似して、小さなモデルのようなカノンを作ってみた。大バッハに敬意を表して、三声でソプラノが自由声部、下二声がカノンになる形を踏襲した。バッハのものは8小節もあって、長二度ずつ上昇していくが、私のトライアルは気が短いのでたった4小節で長三度ずつ上がっていく。

下の段はヘ音記号で読めばバスになり、ハ音記号(テノール記号)で読めばテノ

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J. S. Bach The Music Offering Canon 5 a 2

「音楽の捧げもの」から5度のカノン。上声はフリードリッヒ大王のテーマの変形で、その下にニ声の5度のカノンが形成される。バッハが書いたのは下の譜面だけで、一種の謎かけになっている。

下の段に二つの音部記号が書かれており、最初のヘ音記号はあそのまま上声と同時に演奏し、1小節遅れて、ハ音記号(テノール記号)にしたがって演奏すると、見事にカノンになるという趣向である。テノール記号の方は最初はト短調になり

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Tchaikovsky Symphony No.5 2nd Movt.

みんな大好きチャイコフスキーの第5交響曲の第二楽章。49小節目からのひとくだりですが、ここだけでもアイデアが豊富に詰まっています。音はこちら。

例によって、主調のDから下降するバスラインは8小節めの頭までひたすら下降していき、次は2小節これを取り返すように上昇する。

ざっくりニ長調ではあるのだが、53小節目から54小節目はホ長調っぽく、そのあとロ短調っぽくなって、56小節目の頭でB minor

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Schönberg Kammersymphonie Nr. 1 op.9

シェーンベルクの室内交響曲は前にも齧ったが、もう一度。練習番号77、viel langsamerになるところ。

この曲全体が、完全4度の積み重ね和音のスタディといった趣ですが、ここでは完全4度重ね和音を通常の3度重ね和音に接続するという例を見ることができます。音はこちら。

完全4度の積み重ね和音をしつこく提示したあと、譜例の8小節目でFに、14小節目ではGの長三和音に解決しています。

明らか

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