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Jun Yamamoto 音楽を語る(2)

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クラシック音楽のいいとこどりをして語ります。
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2020年2月の記事一覧

Chausson "Poem"

ショーソンの「詩曲」冒頭。

全体がショーソンの発明といってもいいと思うが、基本的にはEb minorの上に、Ebm → Cb7 とか D7 → B7 とかの属七和音で三度平行移動するというアイデアが頻出している。属七の5度下方変位(7b5) や 短七和音の5度下方変位(m7b5)も使われているが、各声部がなめらかに動くことで魅力的な和声的背景を作り出している。

Faure Requiem "Offertoire"

フォーレの愛すべきレクイエムから奉献唱の一部を。

フォーレの和声マジック。要は偶成和音なのですが、D A7と来て次がF7になるという不思議な進行であります。本来の調性のD Major であれば C# E F# であるはずの音が、ひっくり返ってC Eb F になってしまい、しかもAはそのままなので連続性が保たれる。一瞬長三度下のBb Majorに行っていると解釈できるでしょうか。F7 はさらにひろ

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Barry Mann/Cynthia Weil "Just Once " in The Dude by Quincy Jones

Quincy Jonesの The Dude に入っている "Just Once" であります。ポップスの作法のお手本みたいな曲で、ここでもお約束のIV度へのII-Vが出てくるのでご紹介します。

14小節目がサビ頭の印象的なリズムですが、直後(15小節目)にIV度へのII-Vが出てきます。ここではベースが変わった動きをしてさらに効果を強めます。(クラシック的には増4度ないし減5度の跳躍であまり歓

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