Toru Takemitsu Viola Concerto "A string around autumn"

注文しておいた武満徹「ヴィオラコンチェルト」の楽譜が届いた。

気になっていたところをチェックしたが、三善晃さんあたりのスコアとくらべるとはるかにわかりやすい。

(1)15分もかかる大曲なのに、アレグロがない(そういう概念がない)

(2)対位法的なパッセージがない。糸がもつれるようなのはあるが、対位法的とは言いがたい。一瞬で終わるし。

(3)オーケストレーションは職人技。

(4)和声の構成は、3度の積み重ねか、4(5)度の積み重ねか、せいぜい二つの三和音をアマルガムしたもので構成されており、解釈可能。

この辺が武満さんの特徴かな。聞いていてここちよいのはこの辺に理由があるように思います。逆にそれが限界にもなっている。

最初の方だけ少々メモしてみたのでご紹介します。

まず、出だしの部分。

最初はホルン4本のソリである。

2小節目のバスに出てくるBナチュラルはやや特殊だけれど、後は上の段にしめしたように、ほぼ三度堆積和声の範囲内で解釈可能である。響きはもちろん美しい。これらのコードはジャズ畑の人にはまったく普通のものだし、ドビュッシーやラヴェルにも出てくる。連続のさせ方が現代的ではあるが、響きそのものはむしろオーセンティックだ。

音はこちら

続いて、少し先、6小節目。

ここは、弦が4度堆積の和音を鳴らしているが、上段に示したように、二つの三和音の組み合わせと解釈することもできる。6小節目の最後にでてくるFとAbは弦の和音に含まれている音ではあるが、#系からb系にかわることで新鮮に響く。7小節めの和音もF#m とG#mの組み合わせと解釈することもできる。いずれも6度の和音の形になっており、響きは安定している。音はこちら

続いて練習番号Iから4小節目。

同様に和音は三度堆積であり、十二音音楽的な厳しい音程の積み重なりがなく、響きは駘蕩としている。音はこちら

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