見出し画像

<日記> 今の全力でいい - 3年ぶりのトライアスロン、新潟村上

3年ぶりのトライアスロンは新潟県北端の村上大会51.5km、2019年9月15日。写真は当日の朝5時19分、西の空、日本海に浮かぶ月。

日本海では東が山なので、朝陽は直接に現れることはなく、柔らかに空を明るませてゆく。この日、ちょうど前夜夕陽が沈んだ方角に、中秋の満月を過ぎたばかりの大きな月が朝陽に照らされていて、弱い太陽のようだ。何か呼び名があるそうで、見返りの月、だったか、忘れてしまった。今回、両親の新潟旅行に合わせ村上で現地集合。夕焼けを見せたくて瀬波温泉の宿を取ったら、この景色がオマケでついてきた。撮影はフルサイズでも1.8MBの古いスマホ、補正なし。

レースの朝は、清々しい緊張感に包まれる。この感じ、やっぱり好きだ。

僕にとって村上とは、きっかけは9年前、ミーハーにトライアスロンを始めてみて、もしかしてランキング入りできるかも?と出場可能な大会を探して、ちょうど条件良くて出場を決めただけ。「こんなところ、一生で二度と来ないだろう」と(当時は)は思って、直後に佐渡自転車一周という予定も入れていた。おかげで年間ランキング2位という分不相応なタイトルを獲得できた。2日後、筋肉痛の残る脚で一人周った佐渡190kmも楽しかった。

村上大会はシーズン最終かその1つ前であることが多く、トライアスロンにしては大規模といえる1,000人近い参加者数と伝統によりJTUランキングのポイントも高い。僕のタイトル獲得に重要であり続けたし、そのレース中の強烈な記憶は、一人練習しかしない僕のトレーニングの質を多いに高めた。当時のブログは、2010年9月〜2011年2012年2014年など。

でも、レースの順位やタイムは数字の優劣にすぎない。あのときの体験は、ただ1つだけ、確かに僕に残っている。

やり切った、と心から思えて、何年か経って、過去最低の準備で臨んだ今大会。走り終えて、それはそれでいいんだなと思えた。

大人のスポーツには、「今の自分」なりに力を出し尽くす快感がある。トライアスロンであれば、3種類の環境、道具、動作、それぞれに全力を使い尽くすことができる。その場に自分がいて、今の自分なりに力を出し尽くすことができれば、それは幸福なことだと思えた。

そんな出場報告をこれから書くけど、トライアスロン興味ない人いがいはマニアックすぎるので、これ以上読んではいけません。興味あったとしても個人的日記すぎるので為になりませんし、仮になったとしても7,000字も読みませんよね?

途中までお読みいただきありがとうございました。

(ページ離れる前に素晴らしいSwim+Bikeコース全景だけ見てね)

画像5

・・・ここから"Rトライアスロン"な日記・・・

レースまで

村上に今、出るのは「3年以内の51.5km以上レースの完走歴」が参加条件の大会は多いから、3年に1度の免許更新のようなものだ。最初は未体験の佐渡Bに申し込むも、落ちて、その日に先着順の村上に申込んだ。(新潟ばかりなのは訪ねたい先があったから)

そんな経緯から、必要なのは、①レース自体がきちんと開催されること、②僕が制限時間=4時間以内にゴールへとたどり着くこと。①去年の村上は台風接近のため距離が半減され、そうなると条件クリアできなくなってしまうから、まずは神に祈る。②過去2時間数分でゴールしてきた大会を4時間で完走するために必要なのは、ケガせず自転車のトラブルもないこと。目標は明確だ

目標の力とは偉大で、パフォーマンス向上へのモチベーションがない笑。習慣として1日平均30−40分くらいか、移動ついでのクロスバイクやランニングは続けていたのだけど、プールはこの3年間、年1度くらいしかいってない(世田谷区の無料開放日)。

バイク準備

レース自転車も記憶では3年で1度だけ乗ったきりだ。さすがにまずいので10日前にホコリを払ってみる。前輪に空気が入らない。チューブラータイヤの空気入れ金具との接合部に穴が空いている。入るわけがない。このVittoriaタイヤ、2011年にホイール(Bora)買ってから替えた記憶がない。接合テープの張り替えはメンテ時にしてもらってると思うけど。まさか2016年大会まで5年持たせた?? (後輪は2015ごろ交換)

教訓:タイヤ交換時期には注意を払いましょう!!

買い置きのタイヤがあり、交換。やってみて気づいた、自分でチューブラー交換するのは始めてた。おそるおそる接合テープを張り、タイヤ接着すると、空気入れのエクステンションが必要なことに気づいて、ゴミ箱に一度は突っ込んだ古いのから外して付け替えた。でもエクステンションの接合が完璧ではないのか、一晩経った後のエア抜けが大きい気もする。

こうドタバタしているうちに、マトモな練習がなされないまま、家の近所の生活道でおそるおそる低速で乗ってみるだけで終わる。安全性能を重視して、重心が後方になるようにサドルとハンドル位置を調整しておいた。スピード最優先に設定した2013KONAよりも重心位置は10−15cmくらい後ろかも。ていうか6年前よくもあんな前×低い位置で5時間も車上にいたもんだと自分に感心する。

フィジカル面でのトレーニングは8月に入り、インドアの固定バイクで、2分×5本、30秒休みとかのインターバルを5回くらい行う。直前には最大心拍183/分まで上げて、心臓くんをレース特有の興奮に慣らせておく。

スイム準備

スイムは7月下旬から再開。ちょうど世田谷区プールの1週間無料開放期間があり、7日連続で通う。50mプール片道50秒から。2010年5月に初めてトライアスロンの練習を始めた頃とほぼ同じタイムだ。以後、週2ペースで、50−100mを休憩ちょい長めで繰り返して、フォームを思い出す。

体力が落ちているので、普通に泳ぐとフォームが乱れてしまう。そこで、浮力の強いZeroDウェット素材ハーフパンツを直前まで使った。補助輪つき、というか浮き輪を履いて、技術に集中できる度合いを少しでも高めたい。この判断は少しGood.

練習はしていなくても、2015−16年頃、三浦広司コーチとの講座運営を通じて「言語化」はできているので、泳ぎを思い出すのは楽。体力が落ちても、落ちたなりの今の体力の範囲内で使い切るまでだ。

だんだんと調子が上がってきて、レース2日前には500m×2本、8:05−7:55(30秒休憩)、100m平均1:35は練習内容の割に悪くない。片道50mのストローク数ははじめ40、最後48、落ちるのは筋力不足のせい。まあ、1.5kmの海でもなんとかなるだろう。大事なのは、溺れずに泳ぎ切ることなのだから。

ラン準備

ふだん二足歩行しているので10kmの移動は問題ないと判断。これが優先順位だ。かっこ悪いので、新しいシューズだけ買っておいた。

・・・

前日に自転車かついで電車でGo! こちらは後でFacebookにでも書こうか。2015年に「電車で自転車かついで大会出場する僕の方法」というブログを書いてます。このダサい自撮りは新宿ー大宮、体の前に自転車抱えた、コンビニ前に座り込む不良少年的中年男。

画像2

レース展開

5回目の出場で初めて会場の瀬波温泉の宿を使ったので、当日朝の準備はとても楽。朝食ブッフェでは僕にしては控えめに、カレーと味噌汁と米だけに絞って(たくさん)食べるだけにしておいた。

バイクラックで準備していると、2つ隣くらいに有名人の堀江貴文さんが迷彩Ventumとともに表れる。同い年で名前がHとFだからレースNoが近い。ついでに大学同期入学で担当弁護士さん同じクラス。でも有名無名関係なくレース会場では男子45−49歳カテゴリの男性という点で同じ、誰もが一参加者なのである。

スイム25:16 総合52位/部門(第3ウェーブ)9位

目標は、溺れずに無事に完泳すること。最も安全なのは集団前方なので(人口密度が低く周りのスキルも高いから)、前方から流れに乗りたい。

スタートはイン端の2列め、代々木の人気治療院Mackey's Athlete 松崎鍼灸接骨院さんの、なぜかWattBikeと筋トレルームが(おそらく経費で)設置されている接骨院さんの、後ろからスタートする。

はじめ左側後ろの良い位置につくも、30cm, 50cmとあき始める。ここが最初の分かれ道。練習不十分によるスピード不足により、また当日朝、負荷の高いウォーミングアップができていないせいでもある(そこも練習不足による体力不安がある)。

すると、後ろから上がってきた方が前に出たがっている気配を感じ、少し左に動いてスペースを譲る。さらに、もう2人にも先行してもらう。水中なのでもちろん無言だけど、意思疎通できている気がする。こうした動きがスムーズなのが、スイム巧者の集団の良いところだ。もっと後方では、こんな時に「バトル」が発生するんだろうな、幸いにも僕は経験したことないけど。

その抜かれた2人が僕にとって良いペース、泳ぎもゆったりしたストローク、コンパクトな2キック、ここは絶対逃してはいけないとこだとついてゆく。これが2つめの分かれ道で、今度は良い方に転がった。ちょっと楽をし過ぎたかもしれないくらいに。

エリート部門の折返しブイを過ぎた400mあたりから、4分前スタートの白キャップの最後尾に追い付き、 エイジ折返しを過ぎた800m以降からは8分前スタートの水色キャップに追いつく。かきわけて抜かしてゆくのに、先導者がいればその後に必ず水路が開くわけで、とても楽だ。

4分で400mを追いつくとは、100m1分のタイム差があるわけで、一瞬でスムーズに抜かすことができる。泳ぎが苦手なので平泳ぎしがちだけど、腰が沈んでキック位置も深いので、あたる心配がない。

でもレース終盤に追いつく相手は、1500m4分=100mあたり16秒(1:40と1:56)のタイム差、「体力はあるがスイムスキルだけない」スイマーも増えて、がんばって負けまいとする人もいるし、追い越しが少し荒れがちになる。(本人に悪気はないはずだが結果的に)絡みつくような泳ぎで無理についてこられる気配があると、ストロークを小さく刻んでアタリに備え、足を捕まれないようキックを2から4に増やして「ついでこないでメッセージ」送ったり、防御体制を取る。

特に怖いのは、最終コーナーを直角に曲がり、ゴールへ向かう100mくらいの最終区間。知人がここで平泳ぎキックをアタマに浴びて鼓膜破裂してしまった。(JTUが対応を検討中で、平泳ぎをなんらか規制するような方針がでるかもしれない)

リザルトをExecelで並べ替えると、身体の大きなSims Davidさん25:11, TIスイム指導者の吉野功哉さん25:13, 八田25:16と3連続し、前後は離れている。やはりベストポジションであった。前衛の吉野さんの先導は的確だし、おそらく吉野さんもDavidさんに助けられている。無事上陸。やれやれ。

バイク1:13:52 総合80位/部門14位(T2通過1:39:08 総合49位/部門8位)

村上のバイクコースは贅沢で、日本海に沿って20kmの公道全封鎖しての折返し。僕の知る範囲では国内最高。ほぼ3年ぶりに走らせるTTバイクは気持ちいい。

事故が心配なコースではないので、器材トラブルが一番怖い。40kmをバイク押して走ってたら制限時間まにあわない。ちょい大きめのポンプ、CO2カートリッジ、スプレーのシーラント、スペアタイヤ、六角レンチ、ガムテープ、と史上最大量の修理キットを搭載。タイヤやポンプは筒状に袋に入れてDHバー間に挟んでおいた。

スタート3kmくらいで、左DHバーのヒジ受けがズレる。「レース強度で十分乗ってないからネジの緩みに気づくチャンスもない」という明白な原因がある。しばらく右腕だけ荷重など試してみたけど、気持ちよくないので、12kmあたり歩道に止まり、六角レンチで締め直す。思うほどスムーズにいかず、1分40秒のロス。サガンが走りながらネジを回してたなんて話もあり、次回はネジ回しの練習をしてタイム短縮しようかな?

まあ、このアクシデントがなくても、最終の部門順位は変わらないタイム差だったので、アクシデントというほどのことでもないか。

正しく機能するTTバイクは気持ちよく、ビューンとスピード上げて、上げすぎて落として、また回復してビューン! と初心者のようなツーリングを楽しむ。やっぱり村上のバイクコース最高!

ラン 43:11 総合48位 部門4位

1kmラップは4:36(実質4:20くらい?)-16-32-16-26-14-12-18-27-3:52

練習してない割には、まあ走れたかな。体の各パーツを振り子のようにブラブラさせながら、骨盤を回転させて、筋力を使わずに前に進むイメージ。この手抜きスキルは、2016年のサボり出場の伊良湖に向けた準備中に編み出し、3年後も健在であった。

ただ、バイクで腹筋を使いすぎたようで、上体の力がうまく下半身に伝わってくれず、スピードが上がり切らなかった。練習不足ですハイわかってます…

総合記録 2:22:19 総合37位 部門5位

無事完走、これで「3年以内の51.5km以上レースの完走歴」が参加条件の大会に申込できる状態が2022年まで続く。さらにJTUポイントぎりぎりの5位にも入り、年間ランキング54位にも入った!笑

ちなみに堀江さんは2分54秒だけタイムオーバー。マラソンMGCと同じ日で、東京より暑かった。もう少し涼しければ完走できたかな? 彼がトライアスロンをやる理由は、「大会に出場できる体を維持したいから。それに一緒に参加する仲間とレースが終わった後においしいご飯とおいしいお酒を楽しむというのもある。」と10月掲載のR25インタビューで答えている。その目的以上には練習しない主義のようだ。今回は目標達成ラインをギリギリ逃したとはいえ、ギリギリなコスパを狙ってくるのは彼らしいし、それもまたトライアスロンの1つの在り方。(※彼が言うほど高額自転車はタイムに影響しないと思うけど笑)

それから、美味しいご飯とお酒のために、村上は最高。

画像1

新たな使用機材

ウェットスーツ:鏡花水月

竹内鉄平さんプロデュース「鏡花水月」を1週間レンタル。

http://tri-wet.asutama.com/index

製品は、柔らかい素材で、全身にストレス一切なくフィットしてくれる。着た瞬間に、全身に無駄な圧なく吸い付いてくれて、手足をグルグル動かしても抵抗感が一切ない。泳がなくても最高製品だとわかる。

ウェットスーツで最も重要なのは、身体へのフィット性だ。僕はこれまで海外ブランド既成品を使ってきたけど、どんな最高スペック品であっても、僕のアジア体型だとどうしてもギャップがある。ZeroDはとてもよかったけど、165cm62kgの僕のズンドウな体では合ったのは、数字的に上の167-177cm/67-77kg想定のSサイズ。完全にスムーズではなく、手足は当然長すぎる。

一般に、日本人が欧米既製品を使うなら、体の実サイズよりも1つ上の設定を選ぶと合う場合が多い気がする。かれら手足が長いから。この時点でズレがち。

「鏡花水月」は本来フルオーダー、これはレンタルなので既成サイズ品だけど十分。165cm/62kgでMTサイズ (165-175cm/60-70kg)がベスト。アジア人体型ベースとはこういうこと。

レンタルのメリットも大きい。ウェットはどうしても素材が劣化=硬化する。それでも(本気なら)1着は所有して、海錬とか繰り返すと良い。毎年、何レースもするなら数年ごとに買い替え続ければいい。でも年1−2回(ロング派に多いと思う)なら、大会だけでも信頼できる最新品を借りた方が、競技パフォーマンスも上がるだろう。古いのは練習ならもう少し長く使えるだろうし。これが流行りのシェア・エコノミー、コスパ高い。

ゴーグル:VIEW

VIEWのOWS用ゴーグル ミラータイプ「 DELFINA」。これも良き。ノーズは大きい方に替えた。僕買ったのはゴールドのミラーで、室内プール水中がとても明るい。フィット感も前のアクアスフィアOWS用より少し良い。

実戦では場合によりやや眩しく、最も暗い水色のBLAMD (VLT18%)が良いかも。今ならかなり安いけど、単なる型落ちで、性能差はほぼないだろう。(VLT=可視光線透過率)

あわせてこうなった ↓

画像3

シューズ:On

OnクラウドXの白。Onの25.0cmなら何でも合うことは試走会でわかっていたので、100%デザインで選んだ! レース使用が終わった時の普段履きに、こういう白ベース、ただし白一色ではないスニーカーがほしかったという理由。

今回のような腹筋不足でゆるゆると走るのでも、対応してくれる幅の広さがある。想定したフォームを保てなくなった時に、新たな動作に応えてくれるのは、良いレース器材だ。そんなところがトライアスリートに人気である大きな要因かなと思う。

・・・

結論、「今の自分」なりに力を出し尽くす快感がある。3種類の環境、道具、動作、それぞれに全力を使い尽くすことができるのがトライアスロン。

そして日本海は夕陽も綺麗。この夕焼けを両親に見せたくて、瀬波温泉の宿を取った。

画像4

(note公式 #スポーツ記事まとめ 採用いただきました。11/11)


サポートいただけた金額は、基本Amazonポイントに替え、何かおもろしろいものを購入して紹介していきたいとおもいます