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2023年の振り返り〜衛星開発研究室の修士学生の一年〜

2023年も色々ありましたね!

1年間お疲れ様でした!
自己紹介をしつつ,今年1年を振り返っていきたいと思います.

自己紹介

Who?

私は静岡大学大学院の機械科に所属している服部航平です.

プレゼン中の服部(右)

研究室で「STARS-X」というテザー衛星を開発しています.
宇宙エレベータの実証実験ということで,ロマンがありますよね.
名前だけですが,学生PM(プロジェクトマネージャー)もやっています.

©静岡大学 能見研究室 / STARS Space Service Inc.

衛星開発では,主に電気系(電装系)に携わっています.また,研究は姿勢系に関することを行っています.
また,機械系であるので,構造解析や振動試験などにも参加しています.
若干広く浅くという感じもしますが,開発を行っている研究室ということでそのようになるのは致し方ないという感じです.

研究室では,インフラ周りなどを担当していて,以下のような研究室HPの担当であったりします.

インターンシップ(バイト)にもいくつか参加していて,
静大発ベンチャーのSTARS Space Service(SSS)にもインターン生として宇宙活動法などの資料を作成したりしていました.
また,大きな会社でソフトウェア開発にも関わったりしていました.スクラム開発を経験したりと,衛星開発とは異なる開発方式も経験できました.


といった感じのゴリゴリのエンジニアの卵です.
目指せフルスタックエンジニアという感じです.

やりたいこと

愛知県出身故にモノづくりに魅せられて育ってきました.

なので,今の少し元気のない日本のエンジニア界に少しでも貢献して,技術で最強な日本になってほしいと思っています.

そのためには,次の世代を担う小中高生にモノづくりを面白いと思ってもらう必要があると考えています.

ですので,noteやYouTubeというコンテンツでなるべくモノづくりを始めやすいような環境を作っていきたいと思っています.

しかし,現状自分もその将来のエンジニアとして頑張るべき状況にあると思っていますので,まずは始めやすい研究室の後輩向けの情報などを書いたりしています.

出来るだけ技術的な事柄や行った取り組みをオープンな状態にしておき,後の人たちが同じところで困らないようにしたいなと考えています.

その他

職業病なのか技術的なことや新しく挑戦したようなことを書きがちですが,漫画やアニメなども良く見ます.

ONE PIECEやHUNTER×HUNTER,NARUTO等は家に揃っているため,何週も読んできました.

ゲームも,ポケモンやドラクエ,スプラ,pubg,cod,and so on.

日本酒やウイスキーなども好きです.

Contact us

以下のメールまでご連絡ください.

hattori.sat@gmail.com


2023年の振り返り

就活と中間発表

そして,なんやかんやで就職活動が終わりました.
無事第一志望の会社に内定いただきました。

大学院生の就活というのは一般的ではないと思うので説明をしておくと,大学院1年の冬から大学院2年の春にかけて就活の最終面接があったりします.

私は最初からエンジニアになりたかったので,そこまで多くは迷うことはありませんでした.しかし,インターン先の方からほかの業種も見ておいた方が良いと言われたので,コンサルやSIerなども一応見ておきました.

就職先のインターンにも行きましたし,宇宙関係の重工にもインターンに行きました.本当に行って分かることが多いです.宇宙関係のところは大体予想がついていたのですが,まぁおおむね予想通りな感じではありました.

最終的に,日本のエンジニアの活気を取り戻すためには必要不可欠な会社に入ることが出来ました.名前は伏せておきますが,エンジニアとして働くことが出来そうです.

大学院生になると基本どこの大学でもあまり変わらないと思いますので,これまでの経験を論理的に言えるようにして堂々としていくとよいと思います.

  • 論理的か

  • 再現性があるか

などが重要なポイントになると思いますがここでは割愛したいと思います.

唯一やり直せるとしたら,就活サイトはいつでも切れるようにすべて設定を覚えておくとよいと思います.メールがかなりウザいです.

そして,中間発表も終わりました.


新入生と新しい挑戦

4月になると学部4年生が研究室に配属されます.
新規配属生の教育というのは重大なタスクです.
昨年は,B4生への研究紹介は私の仕事だったのですが,引継ぎの観点で良くないと思いM1に任せてみました.

幅広いことをとりあえず知識として知っておくべきだと私は思っていたのですが,私の考えとは違い,今年はB4には限定的な知識を教育するような感じにしたようでした.(このような現状や私の考え方から,のちにshort動画などを作るようになるのですが)

とはいっても,今年は人工衛星の試験が多く,教育どころではなかったような感じでもありました.

なんやかんや,研究や開発に取り組んでいたところ,大学から一通のメールが届きました.いつもは則削除するのですが,なぜかフラグを立てていました.

それが「起業・ビジネス人材育成ゼミ」への第一歩でした.正直なぜ参加したのか覚えていないのですが,大学発ベンチャーが増えてきた時期でスタートアップを立ち上げるメリットが多そうだなと思ったのとビジネスを学びたいというのが理由だった気がします.

最初は,宇宙系のビジネスで,宇宙開発に参画したいなと考えていたのですが,最初からその方向で行くと自分の得意分野であるエンジニアリングだけしかやらなく成りそうだと思ったので,服飾系のアイデアで挑みました.

どんなアイデアかと言うと,服の知識がないエンジニア向けのファッションコーディネートみたいな案でした.

まぁあまりビジネス的には良くない案だった気がしますし,私自身がいまだに服に興味がないのでそこまでの熱意が出せませんでしたが,起業ゼミのようなモノにも参加していました.

これのせいで土日の休みがなくなりましたが,

  • スタートアップにおけるエンジニアの重要さ

  • 伝え方(一般向けのプレゼン法みたいなこと)

  • 仮説検証の方法

  • 人へのインタビュを行うことの大変さ

を学べました.

アイデアが実現しないとあまり意味ないと思いますが,想定していなかったメリットもありました.それは色んな人に会えるようになったことです.

起業家は起業家にひかれ合うようで,色んな方とお会いすることができました.本来,静岡大学は総合大学(医学部はない)なので文系はいるはずなのですが,サークル以外で会う機会はありませんでした.そんな幻の文系学生や他大学の学生,先生方などと語り合えたのは良い経験でした.

ちなみに後々「STAPS」という起業ゼミにも参加してきました.
何となく起業のメリットについても書いた記事を以下に貼っておきます.

STAPSでは,隣の研究室の方と宇宙関係のビジネス(自分の専門ではないところ)をやり始めました.

また,これらを機に大学支援の「しずはま起業部」の醸成にも関わってきました.アイデアを実現できる場所を作りたいなぁという感じで活動しています.


また,これらの活動を通じて,原田精機の原田社長ともお話したりして宇宙関係のことを話しながら飲んだりしてきました.

こんな感じで,6~10月は土日を犠牲に,研究以外の活動も行ってきました.


新聞,ラジオ,TVへ

人工衛星STARS-Xは,革新的衛星技術実証3号機です.

実はこの革新3号機は,打ち上げ失敗したイプシロンロケット6号機に搭載予定でした.

つまり,本来は打ち上げでなくなっているはずの衛星でした.
しかし,QPS研の衛星が代わりに搭載されたことで,たまたま生き残りました.その関係でSTARS-Xの開発・試験は続いていたのですが,その過程で様々なメディアに載ることが出来ました.


まずは,新聞に載ることが出来ました.静岡新聞はいつもプロジェクトを見守ってくださっているようで,今回は学生にインタビュをしていただきました.

写真も撮影していただいた.服部(左)が後輩と話している写真なのだが,どう見ても私が指導教員にしか見えないと言われた.

引用:https://www.at-s.com/news/article/shizuoka/1253302.html

インタビュで話した内容も以下のように使っていただいています.

同大大学院2年の服部航平さん(23)は本年度で修士課程を修了し、就職する予定で「運用時の様子までは論文に盛り込めそうもない」と残念がる。一方、「打ち上げの遅れは、地上で試せる時間が延びたということ」と肯定的にも捉える。人工衛星は宇宙に放てば、修理ができない。服部さんは「念入りに準備を重ね、不安要素を一つでも減らしたい」と意気込む。

https://www.at-s.com/news/article/shizuoka/1253302.html

次にラジオに出演させてもらった.

ここでは,衛星開発関係のお話をさせていただいた.
曲の紹介で間違えるなど,めちゃくちゃだったが,これも良い経験になった.自分でもアーカイブを聞いていないので,将来聞くのが恥ずかしい.
しかも,このラジオは熱真空試験に行った後の週だったので,とても死にかけている状態での本番だった.試験中に事前打ち合わせをしたことが記憶に新しい.

そして,TV出演なのだが,これは少しずるい.動画の終わりの方にひっそりと映っている(映りこんでいるが正しい)

それにしても,NHKなどの報道の切り抜き方はとても上手い.連続して教授が話していたはずなのに,必要なところを上手く切り抜いて,より簡易な説明にしている.しかも,説明が正しい.取材に来るということはある程度,事前に調査していると思うが,それにしても撮影してから数時間しかなかったのにあの報道はすごいなぁと感動していた.


若手育成

夏過ぎからは,若手育成(後輩教育含む)が多くなってきた.後輩については,少し衛星の試験が落ち着いたからという理由もあった.

まずは高校生の起業家育成ゼミの学生メンターをしていました.
2か月程度の伴走でしたが,高校生の元気さを思い出させてもらいました.

高校生に気づきを与えるという0→1を目指して私は取り組んでいました.
下記の動画のような内容になってしまい,ビジネス的には怪しい感じになってしまいましたが,十分に高校生が学べたのではないかと思います.

最終発表後の動画では,高校生たちとのにこやかな雰囲気でいられたことが思い出せて嬉しいです.


次も起業関係ですが,1日で中高生とのアントレプレナーシップ研修にサポータとして参加してきました.その日に会ったばかりの高校生と経済について学びましたが,ゲームへの献身的な取り組みなどここでも中高生の若さにやられました.ここでは,研修を取りまとめてくださいっている会社の方や加藤喜昭さんともお話できる私にとっても最高の機会でした.

中学生?なのか,とてもプレゼンが上手い子がいたので大学生側も何かいいことを言っておかねばと,なんとかメンツを保とうとした記憶が...
(サムネも飾れていますね!やったー!)


次に研究関係の方で,大学祭では小中学生向けにイベントを開催しました.
テーマは,「宇宙デブリお掃除大作戦」です.

テクノフェスタと呼ばれるイベントの一環として行ったものでした.昨年もイベントを開催したのですが,ハードを作ることが今年は難しかったのでソフトウェアを使ってのイベントにしました.

ゲームを用いて説明するという展開で,以下のようなゲームを作って,遊んでもらいました.

結果としては,2日で300人程度の方に来ていただきました.

プレゼン中の服部

しかし,いくつか失敗した点がありました.

まずは,小学生は宇宙デブリを知らないし,知っていてもそこまで興味を引ける代物ではありませんでした.この辺りは私の宇宙機や宇宙へのロマンに対する理解が足りませんでした.ニーズの読み違いをしていましたね.

次に,発表や進行が良くなかったです.静大TVや外部の報道局の方にも来ていただきましたが,おそらく報道出来る感じには出来なかったのでしょう.このような機会で広報として機能できないというのは良くないですね.
昨年はハードを使っていたので,まだ見栄えはしたでしょうが,実際に体験する人以外の見え方というのも考えるべきではありました.

まぁ反省点は次に活かすとして,小学生の楽しんでいる姿や将来のエンジニアである子たちに宇宙の技術的な面白さを知ってもらえたと思います.

また、この時、スマホゲームもリリースしようとMacBook Airを購入しました(無金利の分割で)。結局、今年リリースできなかったのが悔やまれますが、宇宙関係のゲームを作っています。
買った所感としては、やはり実験に使うならwindowsの方が良いかなぁと思いますが、事務系(画像処理など)やプログラミング、資料作成をする分にはとても使いやすいなぁと思いました。あとキーボードの打ち心地が良い。


そして,この大学祭を盛り上げるという目的でYouTubeに後輩教育用の動画をアップするということを始めました.(1か月程度)

例えば,こんなshort動画です.

short動画の中毒性を利用して,教育を楽にしようと考えての行動でした.
また,来年度の教育用に後輩が使ってくれるかなという期待を込めていました.

まぁしかし,逆にshort動画の方が難しかったような感じでした.内容を詰め込んでしまったりしたのかなぁと少し反省しています.

今後はshort動画を補完するような普通の動画やまだ説明できていない内容のshortsをupしていけたらいいなと思っています.

また,後輩教育用の動画として,以下のような動画も作っています.機械系では習わないようなところは技術継承として残そうと思い作成していました.この動画は100回再生超えて嬉しいなぁという感じです.(目標を掲げていこうと思います.)


輪読等と外部試験

ここは時系列も何もないが,少しだけ輪読をしようと友達を誘って行っていた時期もあった.

人工衛星を開発しているとあまり研究ライクのことが出来ていない気がしていて,何か他の分野の知識を吸収しようと思ったのがキッカケであった.

と言っても衛星から離れすぎても使えないなと思い,とりあえず研究が盛んそうなロボティクスの分野で行うコトにした.

行ったのは,Pattern recognition and machine learningである.本当は確率ロボティクスを行いたいところであったが,これは自分でやるだろうということで,PRMLにしてみた.

結局途中で忙しくなり輪読会が出来なくなる週が続き,年末になってしまっているが,とても勉強になるため読んでみてほしい.(といっても学部レベルではないのかもしれないが)

probabilistic robotics も含めて,ネット上で無料DLできるはずなのでもし英語でもよければ見てみてほしい.

英語の書籍は,名著も無料で読めることがある.しかし,大学生活を通してこれらはDLだけして読まないことが多いなぁと思う今日この頃である.

輪読は研究外の勉強として取り組んできましたが、研究(というか開発)では帝京大学に熱真空試験をしにいくなどしました。まだ書きかけで時間がですが、色んなことを考えてやってきました。

試験は私が責任者的なポジションだったので、とてもハードワークな試験になってしまいました。この試験で良い収穫だったのは、帝京大学の学生と会えたことでした(先生も含めて)。航空宇宙学科?があるようで、学生たちは学部生なのにとても専門的な技術を身につけていて、CanSatや鳥コン、ましてや衛星開発にも関わっているようでした。

何か自分より若い人に影響を与えられるようになってくる年代になってきたのですかね。

また実験でお世話になった大学から出た宇宙ベンチャーが盛んに活動していることがよくあるなと思っていました。今回の帝京大学でもBULLというベンチャーがあり、やるなぁと思った記憶があります。

航空機実験等も行っていて、大変刺激を受けていました。帝京大学との出会いにはとても感謝しています。宇宙ベンチャーに興味を持つようになったのは帝京大の方々の活動も大きいかもしれません。



首相官邸へ

そして,最後に首相官邸に行ってきた.正直私もよく理解できていない.

12月11日に古川宇宙飛行士との交信イベントが開催された.そこに私も参加することが出来た.

上記リンクからの引用なのだが,この並びで名前が出たことが非常に光栄であった.

【首相官邸特設スタジオ】

岸田 文雄 内閣総理大臣
盛山 正仁 文部科学大臣
高市 早苗 内閣府特命担当大臣(宇宙政策)

JAXA小型月着陸実証機 SLIMプロジェクトに関わった研究室につながりのある現役大学院生のみなさま
荒木 亮太郎さん/大阪大学大学院理学研究科(立命館大学佐伯研究室と共に活動)
井上 元さん/東京都立大学大学院システムデザイン研究科(小島研究室)
伊深 康一郎さん/会津大学大学院コンピュータ理工学研究科(大竹研究室と共に活動)
小幡 勇太郎さん/東京都立大学大学院システムデザイン研究科(北薗研究室)
神山 友里さん/横浜国立大学大学院理工学府(樋口研究室)
服部 航平さん/静岡大学大学院総合科学技術研究科(能見研究室)
宮嵜 隼人さん/明治大学大学院理工学研究科(鎌田研究室)

若田 光一 JAXA宇宙飛行士(進行役)

【国際宇宙ステーション 「きぼう」日本実験棟】

古川 聡 JAXA宇宙飛行士

https://humans-in-space.jaxa.jp/event/detail/003548.html

本イベントはSLIMという月探査機関係の学生が参加できた.私は直接かかわることは出来ていないが,教授が深くかかわっていたため参加が叶った.

盛山文部科学大臣や高市内閣府特命担当大臣,若田宇宙飛行士と共に写真も映ることが出来て,感激でした.

しかし,ここでも反省点がある.それは発言できるような質問を考えれなかったことです.下記動画がイベントの動画なのですが,映れたのは20秒程度でした.映ることが重要なわけではないですが,チャンスを活かすことが出来なかったというのは良くない点でした.


それによって,以下の記事でとても良い写真を掲示していただいているのですが,内容には一切かかわることが出来ずでした.


唯一,大学のHPには広報してもらうことが出来ました.


しかし,まさか首相官邸の中に入ることが出来て,大臣や宇宙飛行士の方とお話をさせていただける機会をいただけるとは思ってもみませんでした.

月着陸,とても面白いのでぜひチェックしてみてください!


最後に

首相官邸に行けた自分はかなり運が良かったなと思います.
その間にも,内定や帝京大での熱真空試験など様々な経験を出来ました.

来年も良い年になってほしいと願うと共に,モノづくりが盛んになることを願って活動してきたいと思います.

ぜひnoteやTwitter(X)のフォローをお願いいたします.

それでは,良いお年を!



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人工衛星を大学で開発しています! いずれは宇宙や衛星,ロケットを題材とした高校生や一般向けの教材を作りたいと考えています!! もしよろしければ応援していただければと思います! 教材をkindleで売る費用や活動費(インタビュなど)で使わせていただきます.