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君のトナリで

ユキは、思わず不気味に笑って見せた。
クラス中が「こわっ、さっきの笑い何?」と怖がって居た。
ユキがナルの横を通り過ぎ行く時に「嘘つき。僕に良いところなんて全然ないじゃないか?」とナルを押し倒した。
ユキは涙を流し、ナルが「待って、ユキ」と手を持とうとすると振り払われた。
ユキは「もう、僕と話をしないでよ」とナルを嫌がって居た。
ナルは「ユキ、どうしちゃったんだろう?」と不思議そうに見て居た。
ミツハは、「どうしたの?その怪我?」とナルの膝を見て居た。
ナルは「これは、私、どっかぶつけちゃったんだよね?もう、大丈夫だから」とミツハの心配を他所に、テニスを始めた。
ボン、ボンと壁際でボールの打ち合いをして、その後、試合で相手とタックルを組んでダブルスで対戦をしていた。
ナルは「もう、僕と話をしないでよ」と言われた事がぼんやりと頭から離れなかった。
ナルは、頭にボールがぶつかりそうになり避けた。
他の部員から「ナル、どうしたの?さっきからボーっとしているけど…」と心配で声を掛けた。
ナルは「あはは。今日はちょっと休みます。お疲れ様でした」と汗を拭きながら元気のないナルは寂しげな背中を見せて帰って行った。
ユキの携帯に電話を掛けようとしたが、電話をかけるのをためらっていた。
テルコが「どうしたの?ナル」と心配で部屋に入って来ても、ナルは「私にどうしろって言うんだろう?ユキにも嫌われるし、友達だったのになんだか遠くに存在を感じるの」と困っていた。
テルコが「大丈夫よ。そう言う時は、相手の話を静かに聞いてあげるのよ」とナルに親身になって返事に答えた。
ナルは「そうだよね?私、きっとうまくいって居るから相手の苦労とか困って居る事に気づいてあげられなかったんだ」と今になって我に帰ってユキの立場に立った。

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